110.違和感
「な・・・・なんだって?!!」
松本の発言に明子、実、真は驚く。
「なんにも知らないってなんだよ!」
明子は缶酎ハイをお替りする。
「お前、・・・はあ。なんか変だと思わないのか?こう。心の中にズケズケと入られている感じ?隠していることなんでも勝手に口を開かせてられている違和感」
壁に手を押し当て、脅迫じみた態度で松本に覆いかぶさる明子。
「違和感。・・・言われてみたらいつもより沢山喋って疲れたってことはあるかもしれませんが」
真は笑う。
「はは、こいつは元からお喋りだから違和感感じなかったってことだろ、俺らは違和感ありありよ」
実は真の笑顔とは対照的に、少し暗い顔をしながら話す。
「・・・使命感?ですかね。南くん。・・・この人には色々伝えなくては。初めて会ったはずの、年下の、しかもですよ。こんな場所に手品のスキルアップに来ているという怪しい二人組」
明子は松本の顎をつかむ。
「ってなわけで、疑問を感じたら解決せよ、ってわけだ。やはりお前にはペラペラ喋る気持ちも起きん。この違和感の正体は間違いなく南だ。」
徐々に口を尖らせられ喋るのを妨げられる松本。
明子を振り払いつつ、松本は服装を整えしっかりと立つ。
「で?どうするんです?俺ら二人を」
松本が身構えると同時に明子は腕組みをして、実、真は戦闘態勢に入る。
「そんなもん、決まってるだろ」
明子は腕組みをしながら凛とした態度で松本の目を見た。
「・・・・協力してやる」
「えっ」
「違和感の正体の一つ目。松本か南か、これはわかった。今・・・寝ている南が明日起きたらどんな小細工をしているか聞いて研究材料にしてやる!!その見返りに・・・手品で有名にでもなんでもなればいい!!がっはっは!!」
松本はふと冷静になる。
(あ、これ探求心に負けて強がってるやつじゃね)
実は松本と目が合い、うんうんと小さく頷く。
珍しく真が話題をそらそうと世間話を持ち出す。
「そういや、昨日のニュース。あれは驚いたなあ」
「なんすか急に」
「昨日一日で都道府県が40から38に減ったんだと」
松本は少し驚き聞き返す。
「誰か怪我されたりしたんですか?」
「県が丸ごとなくなったんだし怪我した人とか聞いてどうするよ。沢山死んだかもしれねえけど」
「なーんだ、怪我された人はいなかったんですね。でもどんどんと減っていきますね」
明子は少しためらいながらも松本に問う。
「死んだり消えてしまったのは悲しくないのか?」
「県がなくなったせいで病気や怪我で苦しんでいる人が出たなら心配ですが」
「そうか、・・・・そうだな。死んだり消えてしまったら悲しいことだって教えられてないもんな、いや。私が変なことを聞いたよ」
「悲しまないといけないなら、悲しみますが」
「・・・・・違うんだよなあ」




