109.南
「やっぱり納得できない!」
暗い部屋の布団中、明子が叫ぶ。
「ちょっと、みんなようやく眠りについたんですから!やめてもらえますか」
大部屋でいくつかは規則正しく・・・・2つほど雑に並べられた布団の中、明子の叫びに松本が返事する。
暗闇で顔は見えないが明子は松本と実を正確に引き当て、腕を引っ張り外に連れ出す。
「いてて、さすがの怪力・・・ってなんすか一体」
「納得できない、なんなんだよ、お前ら。なんでこうもペラペラと」
酒臭さが残る明子の横で眼鏡をかけた実は呆れてまとめに入る。
「松本君、私たち最初は貴方たち二人をビビらせて帰らせてやる、って実、なんなら真、お前らなにしてんだ・・・って私も、・・・大ちゃんまで!・・・・と言いたいようです」
松本は首をかしげる。
「つまりはこんなにあれやこれそれ、語って教育するつもりは」
「ねえよ。なんなんだよこれ」
明子は手に持っていないグラスを飲む仕草を繰り返す。
「なにって言われましても。とりあえず南を有名な手品師にする。その修行になるからって」
暗闇から声がする。
「確かに明子さんは有名だったし、俺らはブレーンみたいな扱いだったにん?でも手品で有名な人のところに弟子に行くとか、テレビのオーディションでも受けるだろう。普通。・・・にんにん」
「うわ、びっくりした。大先生いたんですか」
「そりゃお前、人間の目で見回りも大事よ、にんにん」
明子は実に手を出し、やれやれとポケットに手を入れた実。
受け取った缶酎ハイを手に明子は松本に詰め寄る。
「南は怪しい。普通じゃねえよ。なんか知ってんだろ?」




