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戦わずに世界を変えた男――教育と物流で“循環国家”を作ったら、いつの間にか大陸が一つになっていた  作者: 慈架太子


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88 大規模戦

ガイル率いる25人は、王都から離れた森林地帯へ向かっていた。


目的は大規模な魔物の群れの討伐だった。


事前の索敵によって確認された数は尋常ではない。


ゴブリン1000体。


オーク1000体。


フォレストウルフ5200体。


アースベア500体。


さらに、それぞれ約1割が上位種だった。


合計7700体。


通常なら冒険者ギルドだけで処理する規模ではない。


騎士団への応援要請を出し、複数の冒険者部隊を集め、長期戦を前提として作戦を組む。


それほどの数だった。


しかし今回は違う。


現地へ向かっているのは25人だけだった。


彼らは風魔法による飛行を使い、森林上空を進んでいた。


以前なら、それだけでも常識外れの光景だった。


今の25人に、その自覚はほとんどない。


魔力循環を維持する。


魔力操作によって飛行を安定させる。


さらにテレパシーで互いの位置を共有する。


誰かが指示し続ける必要はなかった。


それぞれが周囲を索敵し、自分の役割を判断している。


先頭を飛ぶガイルが森林を見下ろした。


木々の間を大量の影が動いている。


「見えたな」


返事の代わりに、25人の意識がテレパシーを通じて重なった。


フォレストウルフの群れが最も広範囲に展開している。


その奥にゴブリン。


さらにオーク。


アースベアは複数の群れに分かれていた。


上位種も混ざっている。


魔物たちは周辺地域へ向かって移動を始めていた。


放置すれば村や街道へ被害が出る。


25人は高度を下げた。


武器を抜く者はいない。


剣も槍も弓も必要なかった。


最初に動いたのは、右翼へ展開した班だった。


「グラビティ」


重力属性魔法が発動する。


森の一角へ強烈な重力が落ちた。


ゴブリンの群れが一斉に地面へ押しつけられる。


上位種も例外ではない。


立とうとしても身体が動かない。


さらに重力が増した。


地面が沈む。


ゴブリンたちは抵抗することさえできず圧殺された。


別方向ではオークの群れが25人へ気づいた。


咆哮を上げながら走り出す。


その瞬間、複数の冒険者がテレキネシスを発動した。


見えない力がオークたちの身体を捉える。


首だけが固定された。


次の瞬間。


捻る。


鈍い音が連続した。


数10体のオークが同時に崩れ落ちる。


その後ろから上位種が突進してきた。


身体が大きい。


筋力も通常種とは比較にならない。


しかし接近することすらできなかった。


テレキネシス。


首を固定。


捻る。


それだけだった。


ガイルは周囲を確認する。


誰も慌てていない。


以前なら強敵として警戒した上位種さえ、今では通常種と処理方法が変わらなかった。


左翼ではフォレストウルフの大群が広がっていた。


5200体。


今回確認された魔物の半数以上を占める最大勢力だ。


森の中を高速で移動し、包囲するように散開していく。


25人も散開した。


空を飛べる彼らに、地上からの包囲は意味を持たない。


複数の者が上空から手を向けた。


「サンダーボルト」


雷鳴が森を揺らした。


雷撃が地上へ落ちる。


さらに次。


その次。


魔力循環を続けながら魔力操作によって威力と範囲を調整する。


雷撃がフォレストウルフの群れを次々と貫いた。


上位種が跳躍する。


届かない。


サンダーボルトが直撃する。


その身体が地面へ落ちた。


別方向から迫った群れにはグラビティ。


逃げようと散開した個体にはテレキネシス。


距離を取った群れにはサンダーボルト。


25人がそれぞれ状況を見て、最適な方法を選んでいた。


指揮官から、


次はこれを使え。


右を攻撃しろ。


左を守れ。


そんな命令は飛ばない。


必要がなかった。


教えられた戦闘術を理解し、実戦を重ね、自分で判断できるようになっている。


それこそが、彼らが受けてきた教導の成果だった。


やがてアースベアの群れが動いた。


500体。


その巨体が木々を押し倒しながら進んでくる。


中には通常種より明らかに巨大な上位種もいる。


25人は静かに高度を上げた。


剣を抜く者はいない。


槍を構える者もいない。


弓へ手を伸ばす者さえいなかった。


ガイルが自分の腰にある武器を見て、少し笑った。


「……これ、持ってくる必要あったか?」


テレパシー越しに笑いが広がった。


7700体の大規模な魔物の群れ。


本来なら多数の冒険者と騎士が武器を手に挑む戦場。


その中央を飛ぶ25人は、まだ気づいていなかった。


武器を使わなくなった時点で、自分たちがかつて知っていた冒険者の戦い方から、遥か遠い場所まで来ていることに。




アースベア500体が森を進んでいた。


巨体が木々を押し倒し、地面を揺らす。


その中には50体ほどの上位種が混ざっている。


通常種よりひと回り大きく、厚い筋肉と強靱な骨格を持つ個体だった。


まともに接近戦を挑めば危険な魔物である。


25人は上空から群れを見下ろしていた。


誰も降りない。


接近戦をする理由がなかった。


複数の者が同時に魔力操作を始めた。


「グラビティ」


アースベアの群れへ重力がかかる。


巨体が沈んだ。


4本の脚で耐えようとする。


地面へ爪を立てる。


それでも立っていられない。


次々と腹を地面につけた。


上位種だけは耐えた。


太い脚を震わせながら身体を支えている。


それを見たガイルは感心した。


「さすが上位種だな」


しかし、それだけだった。


別の班が魔力を重ねる。


重力がさらに増した。


耐えていた上位種の身体も地面へ沈む。


そこへテレキネシスが重ねられた。


首を固定する。


捻る。


巨体が動かなくなった。


通常種にはグラビティ。


耐える個体にはテレキネシス。


離れた位置にいる個体にはサンダーボルト。


25人は同じ魔法だけを繰り返さなかった。


目の前の状況を見て、それぞれが使いやすい方法を選んでいる。


ガイルもアースベア数体をテレキネシスで捉えた。


以前なら剣を持って接近していただろう。


爪を避ける。


牙を警戒する。


間合いを測る。


隙を見つけて斬り込む。


それが冒険者の戦闘だった。


今は違う。


アースベアの攻撃範囲へ入る必要すらない。


空中から首を固定する。


魔力操作。


捻る。


数体が倒れた。


「……楽になったもんだな」


ガイルが呟いた。


戦闘そのものが雑になったわけではない。


むしろ以前より注意していた。


魔力循環を止めない。


索敵を続ける。


味方の位置を確認する。


攻撃範囲を重ねすぎない。


素材を必要以上に損壊しない。


周囲の森林への被害も抑える。


できることが増えたからこそ、考えることも増えていた。


それでも危険は圧倒的に減っている。


25人が地上へ降りた。


まだ戦闘は終わっていない。


フォレストウルフの群れが森林の奥から次々と現れていた。


数が多い。


サンダーボルトだけで広範囲を攻撃すれば早い。


しかし素材への損傷も大きくなる。


誰かがテレパシーで意思を伝える。


魔力が連動した。


グラビティ。


広い範囲へ重力がかかる。


走っていたフォレストウルフが次々と地面へ押さえつけられた。


その状態で複数の者がテレキネシスを使う。


首を捻る。


また次。


さらに次。


魔物が次々と絶命していく。


上位種がグラビティを振り切ろうとした。


そこへ別方向から重力が重なる。


動きが止まった瞬間、テレキネシスが首を捉えた。


25人の間に細かな指示はない。


誰かが拘束すれば、別の誰かが仕留める。


誰かが広範囲を抑えれば、別の者が逃げた個体を処理する。


討ち漏らしが出れば索敵担当が位置を共有する。


それぞれが自分で考えて動いていた。


レオンが地上へ降りる。


腰には剣がある。


それでも抜かなかった。


近くにいたゴブリンの上位種が襲いかかる。


レオンはサイコキネシスで身体を弾き、体勢を崩したところへグラビティを重ねた。


地面へ叩きつける。


そのまま圧力を増す。


動かなくなった。


ガレスも槍を持っている。


使わない。


ミリアも弓を背負っている。


使わない。


エリックも杖に頼らなかった。


魔法、超能力、戦闘術。


使える選択肢が増えた結果、武器は数ある手段の1つになっていた。


それでも4人は何も不思議に思わない。


アダムスが剣や槍を使わず魔物を倒す姿を見ている。


自分たちも同じことができるようになった。


ただそれだけの認識だった。


討伐開始から時間が経つにつれ、森を埋めていた魔物の数が急速に減っていく。


ゴブリン。


オーク。


フォレストウルフ。


アースベア。


上位種も含め、25人の連携を突破できる個体はいなかった。


ガイルは索敵で残存数を確認した。


まだ残っている。


しかし最初に見た7700体という数字からは大きく減っていた。


周囲を見る。


負傷者はいない。


魔力切れを起こしている者もいない。


魔力循環を維持しながら戦っているため、余力も十分に残っている。


ガイルは自分たちの姿を見回した。


空を飛び。


重力で大群を拘束し。


念動力で首を捻り。


雷撃で遠距離の敵を倒す。


それでも25人の認識は変わらない。


自分たちは冒険者だ。


少し使える技術が増えただけ。


ガイルは笑った。


「残りも片づけるか」


25人が再び散開する。


剣は鞘の中。


槍も使わない。


弓に矢をつがえる者もいない。


大規模戦は続いていた。


しかし彼らにとってそれは、すでに命を懸けて突破する戦場ではなくなっていた。


学んだ技術を、自分たちの判断で使い切る実戦の場へと変わっていた。




戦場に残る魔物は急速に減っていた。


25人は広く散開しながら索敵を続ける。


最も数が多かったフォレストウルフも、すでに大半が倒れている。


しかし群れの外側へ逃げ始めた個体がいた。


その先には街道がある。


さらに進めば村もある。


逃がすわけにはいかなかった。


ミリアが上空へ上がった。


弓は背負ったままだ。


風属性による飛行を維持しながら森林全体を見渡す。


魔力循環を続け、魔力操作によって索敵範囲を広げる。


「東へ37。北東へ52」


テレパシーで位置を共有した。


返事を待つ必要はない。


近い者たちがすぐに動いた。


レオンはレビテーションで木々を越える。


逃走するフォレストウルフを確認すると、テレキネシスを発動した。


先頭を走っていた数体の首が不自然な方向へ捻られる。


後続にはグラビティ。


地面へ押さえつける。


そこへ別方向からガレスが到着した。


槍は使わない。


拘束されている個体をテレキネシスで仕留めていく。


「こっちは終わった」


その情報が共有される。


別方向ではエリックが上空からサンダーボルトを放っていた。


逃走したゴブリンの上位種が雷撃を受けて倒れる。


周囲には通常種もいる。


エリックは攻撃範囲を絞った。


大きな雷撃でまとめて吹き飛ばすこともできる。


しかし素材まで破壊する必要はない。


通常種にはグラビティ。


動きを止めたところへテレキネシス。


上位種だけをサンダーボルトで仕留める。


以前なら魔物を倒せれば十分だった。


今は違う。


討伐した後には解体がある。


皮。


肉。


骨。


魔石。


それぞれに価値がある。


解体スキルを習得したことで、25人は魔物を見る目そのものが変わっていた。


「なるべく壊すなよ」


誰かがテレパシーで伝える。


「分かってる」


別の誰かが返す。


戦闘中とは思えないほど落ち着いていた。


その頃、ガイルはアースベアの上位種3体と向き合っていた。


巨体が同時に迫る。


ガイルは剣へ手を伸ばしかけた。


そして止めた。


「いや、いらんな」


グラビティ。


3体の身体が沈む。


上位種だけあって耐える。


ガイルはさらに重力を強めた。


地面へ押さえつける。


その状態でテレキネシス。


首を固定。


捻る。


3体の身体から力が抜けた。


ガイルは倒れたアースベアを見る。


傷はほとんどない。


「こっちの方が素材はきれいだな」


自分で言ってから苦笑した。


少し前までなら、大型魔物を無傷に近い状態で仕留める方法など考えもしなかった。


倒すことが最優先。


生き残ることが最優先。


素材の状態まで気にする余裕は、その後だった。


今は最初から素材価値を考えて戦っている。


戦闘能力が上がったことで、冒険者としての仕事まで変わっていた。


別の場所ではフェリクスたちの班がオークの残存群を処理していた。


グラビティで足を止める。


テレキネシスで首を捻る。


逃れた上位種へサンダーボルト。


武器を使う場面がない。


誰かが笑った。


「剣、置いてくればよかったな」


「冒険者が丸腰で来るのも変だろ」


「もう丸腰でもない気がするけどな」


その言葉に数人が笑った。


本人たちは冗談のつもりだった。


しかし実際、その通りだった。


武器がなくても飛べる。


拘束できる。


遠距離から攻撃できる。


索敵できる。


テレパシーで情報を共有できる。


負傷すれば治癒もできる。


戦闘術も身につけている。


剣や槍は、もはや戦うための唯一の手段ではなかった。


やがて索敵情報が更新された。


残っている魔物は僅か。


25人は自然に包囲範囲を狭めていった。


最後に残ったのはフォレストウルフの上位種を中心とした群れだった。


数10体。


群れは逃走せず、25人へ向かってきた。


咆哮が森に響く。


レオンたちは武器へ手を伸ばさない。


ガイルも同じだった。


誰からともなく魔力が動く。


グラビティ。


群れの動きが止まった。


テレキネシス。


複数の首が固定される。


サンダーボルト。


重力に耐えた上位種へ雷撃が落ちた。


数10体いた群れが短時間で沈黙した。


森に静けさが戻る。


25人は索敵を続けた。


ゴブリン1000体。


オーク1000体。


フォレストウルフ5200体。


アースベア500体。


それぞれに約1割の上位種。


反応はない。


討伐は終了した。


ガイルは周囲を見回した。


25人が立っている。


負傷者はいない。


そして誰の武器にも血が付いていなかった。


「……結局、使わなかったな」


ガイルが自分の剣を見る。


レオンも剣を見る。


ガレスは槍。


ミリアは弓。


誰も使っていない。


7700体の魔物を相手にした大規模戦。


それを25人で終わらせた。


しかも武器を抜く必要さえなかった。


それでも彼らは、自分たちがどれほど異常な戦力になっているのか、まだ正確には理解していなかった。


次に考えたことは、もっと冒険者らしいものだった。


「さて」


ガイルが大量の魔物を見渡した。


「解体するか」


25人が頷く。


彼らにとって戦闘が終わっても、依頼はまだ半分しか終わっていなかった。




7700体の魔物を討伐した森に静けさが戻った。


25人は索敵を続けていた。


ゴブリン1000体。


オーク1000体。


フォレストウルフ5200体。


アースベア500体。


それぞれ約1割の上位種が混ざっていた大規模な群れだったが、周囲に生きた魔物の反応は残っていない。


ガイルが確認する。


「討ち漏らしは?」


「ない」


複数の班から返答が届いた。


それを確認すると、25人は討伐した魔物の回収へ移った。


難しい作業ではない。


アイテムボックスがある。


25人は森林へ散開し、倒れている魔物へ触れて次々と収納していく。


ゴブリン。


オーク。


フォレストウルフ。


アースベア。


大型のアースベアも運ぶ必要はない。


その場でアイテムボックスへ収納すればいい。


内部では時間が停止するため、肉も皮も劣化しない。


以前の冒険者なら、大量討伐の後には別の問題が待っていた。


どう運ぶのか。


何頭の馬車が必要なのか。


解体するまで素材をどう保存するのか。


7700体ともなれば、討伐以上に回収と輸送が大仕事になる。


25人には、その問題が存在しなかった。


「こっち終わった」


「西側も回収終了」


テレパシーで情報が共有される。


索敵で死体の位置を確認し、飛行で移動し、アイテムボックスへ収納する。


作業は急速に進んだ。


レオンが最後のアースベアを収納した。


「終わりだな」


ガイルが改めて周囲を索敵する。


反応はない。


回収漏れも確認できない。


そこでガイルは自分の腰へ視線を落とした。


剣がある。


今日、1度も抜いていない。


レオンも剣を確認する。


ガレスは槍。


ミリアは弓。


他の冒険者たちも、それぞれ武器を持ってきていた。


しかし7700体を相手にして、ほとんど出番がなかった。


「なあ」


ガイルが呟く。


「俺たち、何のために武器を持ってきたんだ?」


一瞬、静かになった。


フェリクスが腕を組む。


「冒険者だからだろ」


ロイドも頷いた。


「魔物討伐に行くのに武器を持たないのは変じゃないか?」


ブラッドまで真面目な顔をする。


「俺もそう思う」


「いや、使ってないだろ」


ガイルの指摘に3人が黙った。


今回使ったのは、グラビティ。


テレキネシス。


サンダーボルト。


武器へ手を伸ばす必要すらなかった。


「まあ、何かあった時には必要だろ」


フェリクスが結論を出す。


「何かって何だ?」


「……分からん」


笑いが起きた。


25人は本気で悩んでいた。


7700体の魔物を25人で討伐したことについてではない。


次回も武器を持っていくべきなのか。


悩んでいるのはそこだった。


ガレスが槍を見ながら言う。


「それより帰るか」


「飛んで帰る?」


ミリアが尋ねる。


以前なら当然の選択だった。


25人とも風属性魔法で飛行できる。


王都まで空を飛べば、地上を移動するより遥かに速い。


しかしロイドが首を傾げた。


「転移でいいだろ?」


また沈黙した。


ガイルが額へ手を当てる。


「……そうだった」


今度は大きな笑いが起こった。


時空間属性。


短距離転移。


アダムスの実演を見て覚醒したばかりの能力だった。


飛行という常識外れの移動手段を手に入れたと思っていたら、その直後には転移まで使えるようになっている。


ブラッドが苦笑した。


「飛ぶ必要までなくなったな」


「じゃあ次から何を持っていけばいいんだ?」


フェリクスが聞く。


「アイテムボックスがあればいいんじゃない?」


ミリアの答えに、また誰かが笑った。


武器はいらない。


荷車もいらない。


大量の食料を持ち歩く必要もない。


馬も必要ない。


魔物を討伐すれば、その場でアイテムボックスへ収納できる。


帰還は転移。


負傷すれば治癒。


連絡はテレパシー。


探索は索敵と遠隔透視。


25人はそこで初めて、自分たちの冒険者としての装備が急速に減っていることに気づいた。


しかし、それを異常とは考えなかった。


「便利になったな」


ガイルが言った。


「そうだな」


レオンも普通に頷く。


それで話は終わった。


7700体を25人で討伐した。


上位種も約1割いた。


負傷者はいない。


武器も使わない。


輸送手段も必要ない。


そして帰還に飛行さえ必要なくなった。


それでも25人にとって、自分たちは少し便利になった冒険者だった。


「じゃあ帰るぞ」


ガイルが時空間属性へ魔力を流す。


25人が魔力循環と魔力操作を維持したまま集まった。


次の瞬間。


25人の姿が森から消えた。


残されたのは、静けさを取り戻した森林だけだった。


王国の冒険者たちが、かつての冒険者とはまるで違う存在へ変わり始めていることを、当人たちだけがまだ理解していなかった。





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