87 理解できない
マーレ・シュバリツコフ子爵は、娘の伯爵位授与を喜んでいた。
喜んでいるはずだった。
少なくとも父親としては、誇らしかった。
アレクサンドは王国騎士団へ入り、実力だけで評価を積み重ねてきた。
教導責任者となり、ついには国家プロジェクトの発端となる功績まで挙げた。
伯爵位。
シュバリツコフ家の歴史を振り返っても、これほどの出世を果たした者はいない。
しかも第1王女マーガレット直属の腹心。
騎士団長アイク。
魔導騎士団長アッシュ。
近衛騎士団長ロックウェル。
王国を代表する武官3人より上の職位に、娘は立った。
「伯爵……」
マーレは屋敷の執務室で呟いた。
何度考えても実感が湧かない。
自分は子爵だ。
父から爵位を受け継いだ世襲貴族である。
領地を治め、大きな失政もなく、貴族として恥ずかしくない仕事をしてきたつもりだった。
無能だったとは思っていない。
領民を苦しめた覚えもない。
浪費で家を傾けたこともない。
王国へ求められた役目も果たしてきた。
それでも子爵だった。
娘は違う。
自分の力で騎士になった。
自分の力で教導責任者になった。
戦闘術を学び、魔法を学び、人へ教える力まで身につけた。
そして自分の力で伯爵になった。
父親として嬉しい。
同時に悔しい。
「まさか娘に爵位を抜かれるとはな……」
それくらいの感情は許してほしかった。
娘が特別優秀だったのだ。
そう考えれば納得できる。
問題は、別にあった。
マーレは額を押さえた。
爵位授与の日。
娘が伯爵になった。
第1王女直属の腹心にもなった。
そこまではいい。
問題はその後だった。
娘が男と同棲している。
マーレがその事実を知ったのは、伯爵位授与の日だった。
聞いていない。
何も聞いていなかった。
しかも男1人と娘が暮らしているだけではない。
もう1人、女性がいるという。
「どうしてそうなる……」
理解できなかった。
男の名前はガイル。
Aランク冒険者。
王国でも有数の実力者であり、Aランクともなれば貴族待遇を受ける。
身分だけを問題にするつもりはない。
実績を積み上げてAランクまで到達した男なら、娘の相手として対外的に恥ずかしい存在でもなかった。
そこまでは、まだ理解できる。
問題はもう1人だ。
アンジェラ。
アルタリア帝国からの亡命者。
現在は紡織教師。
教導スキルまで覚醒し、多くの者へ技術を教えているという。
それも分かる。
教師として王国へ貢献しているのなら、マーレも評価する。
しかし彼女には過去がある。
元娼婦。
マーレは椅子から立ち上がり、執務室を歩いた。
「なぜだ?」
娘は子爵令嬢として育てた。
礼儀を教えた。
貴族社会で恥をかかないための教育も受けさせた。
騎士を志した時も反対しなかった。
娘には娘の人生がある。
そう考えて送り出した。
その結果が伯爵なのだから、教育は間違っていなかったと思いたい。
それなのに。
伯爵になった娘がAランク冒険者と婚約し、その男のもう1人の婚約者である元娼婦の亡命者と同じ家で暮らしている。
「分からん……」
マーレは本気で困っていた。
アンジェラ個人を憎んでいるわけではない。
会ったことすらほとんどない。
帝国でどのような生活をしていたのかも詳しく知らない。
現在の彼女が紡織教師として働き、王国へ貢献していることも聞いている。
それでも父親として納得できなかった。
なぜ娘と同列なのか。
アレクサンドは子爵令嬢として育ち、自力で伯爵にまで昇った。
王女直属の腹心だ。
その娘と、帝国から逃れてきた元娼婦が、同じ男の婚約者として並んでいる。
貴族社会の常識で考えれば理解しにくい。
父親として考えれば、さらに理解できない。
「アレクサンドは何を考えているんだ」
答えは出なかった。
マーレにはまだ分かっていなかった。
アレクサンドが身分ではなく、その人物が何をしてきたのかを見るようになっていることを。
そしてアンジェラもまた、過去の身分では説明できない場所まで、自分の力で歩いてきた女性であることを。
マーレの中にある貴族としての常識と、娘が生きている世界の常識。
その2つは、いつの間にか大きく離れ始めていた。
マーレ・シュバリツコフ子爵は、娘と暮らしている2人について調べさせた。
まずはガイル。
Aランク冒険者。
長年にわたり魔物討伐や護衛依頼をこなし、冒険者として十分な実績を積み重ねている。
Aランクともなれば貴族待遇を受ける。
娘の相手として、対外的な身分の問題はない。
さらに現在は教導を受け、魔力循環、魔力操作、戦闘術を鍛え続けている。
10属性。
各種超能力。
剣士スキル。
槍術スキル。
格闘術。
重力属性、金属属性、雷鳴属性、時空間属性まで覚醒している。
「……強いな」
マーレは素直に認めた。
Aランク冒険者なのだから当然と言えば当然なのかもしれない。
少なくとも、娘がどこの誰とも分からない男を連れ込んだわけではなかった。
問題は、もう1人だった。
マーレは次の報告書を手に取る。
アンジェラ。
アルタリア帝国からの亡命者。
元娼婦。
現在は紡織教師。
冒険者修行中。
ガイルの婚約者。
そしてアレクサンドと同じ家で暮らしている。
ここまでは聞いていた。
マーレが理解できないのは、その先だった。
教導スキルレベル7。
「……レベル7?」
思わず声が出た。
娘のアレクサンドはレベル10。
それには及ばない。
しかし教導スキルレベル7が低いはずもなかった。
自分で技術を使えるだけではない。
他者へ教え、成長を促すことができる。
アンジェラはすでに紡織教師として多くの者を育てていた。
さらに報告書を読み進める。
10属性。
各種超能力。
剣士スキル。
槍術スキル。
格闘術スキル。
紡織スキル。
ポーション作成スキル。
薬師スキル。
マーレの目が止まった。
もう1度読む。
それから娘の能力をまとめた別の書類を見る。
再びアンジェラの報告書を見る。
「ほとんど同じではないか」
教導スキルのレベルには差がある。
しかし魔法、超能力、戦闘術、生産技術に関しては、アレクサンドとほぼ同じところまで到達していた。
ポイズンスパイダーを解体した時もそうだった。
アダムスが毒腺と毒袋から解毒ポーションを作った。
アンジェラは糸袋を見ると、すぐに紡ぎ機を取り出した。
糸を紡ぎ、機織り機を使い、その場で魔布へ加工した。
しかも周囲の者たちは魔力循環と魔力操作を続けながらその作業を見て、紡織スキルまで覚醒している。
「……元娼婦なのだよな?」
誰に確認するでもなく呟いた。
報告書にはそう書いてある。
アルタリア帝国では娼婦だった。
王国へ亡命した。
それが今では教師である。
しかも戦えば強い。
生産もできる。
薬も作れる。
魔法も超能力も使える。
人まで育てられる。
マーレは椅子の背もたれへ身体を預けた。
「どうなっているんだ……」
娘と同列にいる女性が何者なのか確認したかった。
調べれば納得できると思っていた。
ところが逆だった。
余計に分からなくなった。
元娼婦だから娘とは釣り合わない。
最初はそう考えた。
しかし現在の能力だけを見れば、その理屈が崩れる。
教導スキルレベル7の紡織教師。
10属性。
各種超能力。
複数の戦闘スキル。
ポーション作成。
薬師。
さらに冒険者として修行まで続けている。
現在のアンジェラだけを見れば、王国が重要な人材として扱っても何もおかしくない。
「いや、違う」
マーレは首を振った。
能力が高いから納得できるという話でもない。
父親として引っかかっているのは、そこではなかった。
自分はアレクサンドを子爵令嬢として育てた。
礼儀を教えた。
貴族としての振る舞いを学ばせた。
娘が騎士の道を選んだ時も、その意思を尊重した。
その娘が、自分へ何の相談もなくガイルと婚約した。
さらにガイルのもう1人の婚約者と一緒に暮らしている。
「なぜ一言も言わない」
結局そこへ戻ってしまう。
娘は成人している。
今では自分より高位の伯爵だ。
それでも娘であることに変わりはない。
せめて知らせてほしかった。
マーレはもう1度アンジェラの報告書を見る。
過去だけを見れば納得できない。
現在だけを見れば、反対する理由がどんどん消えていく。
「本人を見るしかないか」
報告書では答えが出ない。
ガイルにも会う。
アンジェラにも会う。
そして娘本人から話を聞く。
そう決めたところで、マーレは新たな問題に気づいた。
以前なら娘を屋敷へ呼べばよかった。
しかし現在の娘は伯爵。
しかも第1王女直属の腹心。
自分は子爵。
「……娘を呼びつけていいのか?」
父親なら問題ない。
貴族として考えると妙な話になる。
ならば自分から行けばいい。
そこまで考えて、マーレはさらに悩んだ。
娘の家へ行けば、Aランク冒険者のガイルと、10属性持ちで教導スキルレベル7のアンジェラがいる。
そして娘は伯爵で王女直属。
「なんなんだ、この家は……」
マーレは頭を抱えた。
子爵として長く生きてきた。
貴族社会の作法も知っている。
王宮での振る舞いも心得ている。
それなのに、自分の娘の家をどう訪ねればいいのかだけは、どうしても理解できなかった。
数日後。
マーレ・シュバリツコフ子爵は、ついに娘の暮らす家を訪れた。
結局、手土産も持ってきた。
伯爵への正式な訪問ではない。
娘に会いに来ただけだ。
そう自分へ言い聞かせたものの、何も持たずに訪ねるのも落ち着かなかった。
扉の前に立つ。
マーレは小さく息を吐いた。
娘に会うだけなのに、なぜこれほど緊張しなければならないのか。
扉を叩く。
しばらくして扉が開いた。
「はい」
現れたのは見知らぬ女性だった。
マーレは一瞬で理解した。
アンジェラだ。
「シュバリツコフ子爵様ですね」
アンジェラは丁寧に頭を下げた。
「お待ちしておりました。どうぞお入りください」
礼儀に問題はない。
言葉遣いも落ち着いている。
服装も清潔で、立ち居振る舞いにも乱れがなかった。
マーレは少し拍子抜けしながら家へ入った。
「お父様」
アレクサンドが迎えた。
王宮では伯爵として振る舞っている娘も、父親を前にすると以前と変わらない。
「久しぶりだな」
「はい」
「話がある」
「分かっています」
そこへガイルも現れた。
「初めまして。ガイルです」
頭を下げる。
マーレはガイルを観察した。
Aランク冒険者。
娘の婚約者。
想像していたより普通だった。
巨大な武器を背負っているわけでもない。
威圧するような態度もない。
「マーレ・シュバリツコフだ」
「存じています」
「そうか」
会話が止まる。
アレクサンドが困ったように2人を見る。
アンジェラが自然に助け舟を出した。
「お茶を用意しますね」
「私も手伝うわ」
アレクサンドが立ち上がろうとする。
「座っていなさい」
マーレが止めた。
娘へ話を聞きに来たのだ。
逃がすつもりはない。
「……はい」
アレクサンドは素直に座った。
しばらくしてアンジェラがお茶を運んできた。
マーレの前へ静かに置く。
「どうぞ」
「ありがとう」
思わず普通に礼を言ってしまった。
マーレは少し困った。
もっと理解できない人物を想像していた。
帝国から来た元娼婦。
その言葉から抱いていた人物像と、目の前のアンジェラが一致しない。
礼儀正しい。
穏やか。
娘とも自然に会話している。
そして報告書によれば、10属性と各種超能力を使い、教導スキルレベル7を持つ紡織教師である。
マーレはお茶を1口飲んだ。
「アレクサンド」
「はい」
「まず聞く」
娘の背筋が伸びた。
「なぜ黙っていた」
何についてなのか説明する必要はなかった。
アレクサンドの視線が少し逸れる。
「言う機会を逃しました」
「同棲を始める前に言えばよかっただろう」
「それは……」
「婚約についてもだ」
アレクサンドは黙った。
マーレは怒鳴らなかった。
怒ってはいる。
しかし今日は娘の話を聞くために来た。
「私はお前の人生を決めるつもりはない。騎士になると言った時も認めた。自分で選んだ道を歩けばいいと思っている」
アレクサンドが父を見る。
「しかし結婚に関わる話くらい、父親に知らせてもよかったのではないか?」
「……ごめんなさい」
素直に謝った。
その一言でマーレの怒りが少しだけ弱くなった。
次にガイルを見る。
「君は娘と結婚するつもりなのか?」
「はい」
即答だった。
「アンジェラとも?」
「はい」
こちらも即答。
マーレの眉が動いた。
「そこが理解できない」
部屋が静かになる。
「君がAランク冒険者であることは調べた。実績もある。娘の相手として身分上の問題を言うつもりはない」
そしてアンジェラを見る。
「あなたについても調べた」
「はい」
「紡織教師。教導スキルレベル7。10属性、各種超能力、複数の戦闘スキル。薬師スキルまで持っているそうだな」
「はい」
アンジェラは静かに答えた。
「現在のあなたが優秀なのは認める」
マーレはそこで言葉を切った。
「それでも私には分からない。なぜ娘とあなたが、同じ男の婚約者として同じ家で暮らせる?」
アンジェラはすぐには答えなかった。
代わりにアレクサンドが口を開いた。
「私が望んだからです」
マーレが娘を見る。
「ガイルも、アンジェラも納得しています。誰かに決められたことではありません」
「お前は本当にそれでいいのか?」
「はい」
迷いのない返事だった。
「アンジェラが元娼婦だったことも知っているのだろう?」
アレクサンドの表情が少し変わった。
「もちろん知っています」
「それでもか?」
「お父様」
アレクサンドは父を真っ直ぐ見た。
「私はアンジェラの過去と暮らしているわけではありません」
マーレが黙る。
「今のアンジェラと暮らしているんです」
その言葉に、アンジェラが僅かに目を見開いた。
アレクサンドは続けた。
「私が見ているのは、帝国で何をさせられていたかではありません。ここへ来てから何を学び、何を教え、どう生きてきたかです」
マーレには、すぐには返す言葉がなかった。
娘が何を考えているのか。
ようやく、その一端だけが見え始めていた。
マーレは娘の言葉を聞いても、すぐには納得できなかった。
「今のアンジェラを見る、か」
「はい」
アレクサンドは父親から目を逸らさなかった。
マーレにも言いたいことはある。
貴族には家がある。
立場がある。
子爵令嬢として育てた娘なら、それを理解しているはずだった。
「お前は今や伯爵だ。それもマーガレット殿下直属の腹心だ。自分の立場が以前とは違うことは分かっているな?」
「分かっています」
「なら周囲からどう見られるかも考えなければならない」
アレクサンドは少し考えてから答えた。
「それも分かっています」
「ならなぜだ?」
マーレには、そこが理解できない。
アレクサンドは伯爵になった。
王国でも有数の能力を持つ。
教導スキルレベル10。
10属性。
各種超能力。
王女直属。
その気になれば、もっと条件の良い結婚相手を選べる。
高位貴族から縁談が来ても不思議ではない。
それなのに選んだ相手はAランク冒険者。
しかも、その男にはもう1人婚約者がいる。
その女性は帝国からの亡命者で元娼婦。
マーレの常識では説明できなかった。
「お父様は、私がもっと高位の貴族と結婚した方がいいと思っていますか?」
突然の質問だった。
「選べる立場にはなったと思っている」
「それで私は幸せになりますか?」
マーレが止まった。
アレクサンドは続ける。
「伯爵家の令息や侯爵家の令息と結婚すれば、家としては立派でしょう。でも私は爵位が欲しくてガイルを好きになったわけではありません」
ガイルは黙って聞いていた。
「アンジェラも同じです」
アレクサンドが隣を見る。
アンジェラは少し恥ずかしそうに微笑んだ。
「私は今の生活が好きです」
その言葉は、あまりにも単純だった。
仕事をする。
人を教える。
訓練する。
家へ帰る。
3人で食事をする。
話をする。
笑う。
アレクサンドが望んでいたのは、それだけだった。
「伯爵になっても、マーガレット殿下の腹心になっても、それは変えたくありません」
マーレはガイルを見る。
「君はどうなんだ」
「俺も同じです」
「伯爵になった娘を妻にするんだぞ」
「アレクサンドはアレクサンドでしょう?」
マーレの眉が動いた。
あまりにも簡単に言う。
しかしガイルには本当に、それ以上の意味がないようだった。
次にアンジェラを見る。
「あなたは?」
アンジェラは少し考えた。
「私は……今でも時々、不思議に思います」
「何を?」
「自分がここにいていいのかを、です」
アレクサンドがアンジェラを見る。
「帝国にいた頃の私は、将来を選べるとは思っていませんでした」
亡命者。
元娼婦。
その言葉だけならマーレも知っている。
しかし本人の口から聞くと重さが違った。
「王国へ来て、紡織を学びました。魔力循環を学びました。魔力操作を学びました。魔法も戦闘術も教えていただきました」
そして教師になった。
教導スキルはレベル7。
今では自分が人へ教える側になっている。
「ガイルに出会って、アレクサンドにも出会いました。今の生活は、昔の私には想像もできなかったものです」
アンジェラはマーレを見た。
「だから大切にしたいと思っています」
マーレは何も言えなかった。
目の前にいる女性は、報告書に書かれた「元娼婦」という4文字だけでは説明できなかった。
弱くもない。
無知でもない。
誰かに養われているだけでもない。
自分で働いている。
人を育てている。
戦う力も持っている。
何より、自分の人生を自分で選んでいる。
それでもマーレの中にある長年の価値観が、すぐに消えるわけではなかった。
「……まだ理解できん」
アレクサンドが苦笑する。
「そうでしょうね」
「お前、そこはもう少し父親に気を遣え」
「ごめんなさい」
素直に謝る。
マーレはため息をついた。
しかし家へ来た時とは少し違っていた。
理解できない。
それでも、否定する理由も少なくなっていた。
娘は笑っている。
ガイルも自然に隣にいる。
アンジェラとの間にも無理をしている様子はない。
マーレが最も確認したかったことは、すでに目の前にあった。
娘は幸せなのか。
その答えだけなら、聞く必要もなかった。
「アレクサンド」
「はい」
「次からは先に知らせろ」
「……はい?」
「婚約だの同棲だの、伯爵だの、王女直属だの、後からまとめて聞かされる父親の身にもなれ」
アレクサンドは目を瞬いた。
やがて笑った。
「はい。気をつけます」
「本当だろうな」
「努力します」
「そこは約束しろ」
ガイルが笑い、アンジェラも微笑んだ。
マーレはまだ理解できなかった。
娘の選んだ生き方も。
3人の関係も。
身分を越えて人を見るという新しい価値観も。
ただ、理解できないことと、認められないことは同じではない。
マーレはようやく、その違いだけは理解し始めていた。




