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戦わずに世界を変えた男――教育と物流で“循環国家”を作ったら、いつの間にか大陸が一つになっていた  作者: 慈架太子


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83 アダムス・キンバリーという男

ガイル率いる一行は、再びダンジョンへ向かっていた。


ガイルたち25人にアレクサンドとアンジェラを加えた27人。


そして、その先頭近くを歩いているのがアダムス・キンバリーだった。


今回の目的は魔物の討伐ではない。


アダムスの戦闘を見ることだった。


彼は貴族学校へ通う学生でありながら、すでに数多くのスキルを持っている。


剣士スキル。


槍術スキル。


格闘術スキル。


重力属性。


金属属性。


雷鳴属性。


時空間属性。


さらにポーション作成スキルを始めとした生産系の技術まで持つ。


10属性魔法を扱えることも、ガイルたちは知っていた。


しかし、知識として知っていることと、実際に戦う姿を見ることは違う。


「今日はアダムスに任せる」


ダンジョンの入口でガイルが言った。


「俺たちは見るだけだ」


「分かりました」


アダムスは気負った様子もなく答えた。


一行は魔力循環を続けながらダンジョンへ入った。


薄暗い通路を進んで間もなく、前方から足音が聞こえた。


現れたのはゴブリン5体。


こちらを発見すると、それぞれ武器を構えて走り出す。


アダムスは腰の剣へ手を伸ばした。


次の瞬間。


5体のゴブリンの首が宙を舞った。


「え?」


アンジェラが声を漏らした。


アダムスはすでに剣を振り終えている。


誰も動きを追えなかったわけではない。


それでも、あまりにも速かった。


踏み込む。


斬る。


次へ移る。


余計な動作がほとんどない。


5体を相手にしているにもかかわらず、戦闘と呼べる時間すら存在しなかった。


ガイルが目を細める。


「なるほどな」


Aランク冒険者である彼には分かった。


単純に身体能力が高いだけではない。


距離の取り方。


重心移動。


剣を振る軌道。


次の敵へ移るための足運び。


戦闘術として完成度が高い。


アダムスは倒れたゴブリンを確認すると、何事もなかったように先へ進んだ。


しばらくして、今度はオーク5体が通路の奥から現れた。


大柄な身体。


太い腕。


ゴブリンとは比較にならない膂力を持つ魔物だ。


アダムスは剣を収めた。


代わりに槍を持つ。


「槍か」


レオンが興味深そうに見つめた。


オークが突進する。


アダムスも前へ出た。


槍が走った。


鋭い穂先が横へ流れ、最初の首を刎ねる。


その勢いを殺さず身体を回転させる。


2体目。


3体目。


踏み込みながら4体目。


最後の1体が腕を振り上げるより早く、槍が首を通過した。


5体の巨体がほぼ同時に崩れ落ちる。


「剣だけじゃないのね……」


ミリアが呟いた。


ガレスは槍使いとして、さらに驚いていた。


力任せではない。


槍の長さを完全に把握し、最小限の動きで間合いを支配している。


「槍術スキルも相当高いな」


「ええ」


アレクサンドも頷いた。


教導責任者として様々な戦闘を見る機会が増えた彼女にも、アダムスの技量の高さは分かる。


さらに奥へ進む。


今度はハイオーク5体が現れた。


先ほどのオークよりさらに大きい。


分厚い筋肉に覆われ、武器も大型だった。


アダムスは槍を構えなかった。


剣にも触れない。


ただ右手を軽く上げる。


「テレキネシス」


5体のハイオークの身体が止まった。


直後。


首が不自然な方向へ回転した。


ゴキッ。


ゴキッ。


鈍い音が連続する。


5体のハイオークが、その場へ崩れ落ちた。


戦闘は終わっていた。


「……」


今度は誰も声を出さなかった。


剣でゴブリン5体。


槍でオーク5体。


テレキネシスでハイオーク5体。


合計15体。


すべて瞬殺。


魔法だけに頼っているわけではない。


武器だけでもない。


相手に合わせて、自分が持っている技術の中から適した手段を選択している。


ガイルは腕を組んだままアダムスを見た。


「こいつ、思っていた以上だな」


レオンも苦笑する。


「俺もそう思います」


アダムスは周囲の反応を気にする様子もなく、倒した15体の魔物へ向かった。


次々とアイテムボックスへ収納する。


そして振り返った。


「行きましょう」


それだけだった。


自慢もしない。


説明もしない。


自分が特別なことをしたという顔さえしていない。


アダムスにとっては、これが普段通りの戦闘なのだ。


26人は顔を見合わせた。


今日、自分たちはアダムス・キンバリーという男を見に来た。


どうやらまだ、その実力の入口しか見ていない。


そんな予感を抱きながら、26人は平然と先へ進むアダムスの後を追った。




15体の魔物を収納したアダムスは、そのままダンジョンの奥へ進んだ。


その後ろを26人が追う。


先ほどまで会話を交わしていた一行も、今は静かだった。


剣。


槍。


テレキネシス。


アダムスは3種類の戦い方を見せた。


しかも、どれか1つが得意という戦い方ではない。


どれを使っても魔物を瞬殺している。


やがて通路の先に複数の気配が現れた。


壁を這う音。


天井からも何かが近づいてくる。


現れたのはポイズンスパイダー5体だった。


毒を持つ大型の蜘蛛型魔物。


5体は壁や天井へ散開し、アダムスを囲もうとする。


アダムスは剣を抜かなかった。


槍も持たない。


「グラビティ」


重力属性魔法が発動した。


次の瞬間、5体のポイズンスパイダーが床へ叩きつけられた。


脚を動かそうとしている。


しかし身体が持ち上がらない。


重力によって、その場へ完全に拘束されていた。


「重力を拘束に……」


アレクサンドが呟く。


攻撃する必要すらない。


動けなくしてから処理すればいい。


アダムスは剣を抜くと、床に固定された5体へ近づいた。


首を刎ねる。


次。


さらに次。


危険な毒を持つ魔物でありながら、反撃する機会すら与えられなかった。


5体をアイテムボックスへ収納する。


「行きます」


また同じ言葉だった。


しばらく進むと、今度は硬い足音が響いた。


アーマードリザード5体。


硬質な鱗に覆われた魔物が、通路を塞ぐように並ぶ。


アダムスが右手を向けた。


「サンダーボルト」


雷鳴属性魔法が放たれた。


閃光が走る。


轟音が響いた。


5体のアーマードリザードが一斉に痙攣し、そのまま倒れた。


一瞬だった。


硬い鱗を斬ろうとはしない。


貫こうともしない。


雷撃を通して仕留めたのだ。


「相手によって変えているのか」


ガイルが言った。


「剣で倒せるから剣を使う、じゃないんだな」


レオンも頷く。


「使える手段の中から、一番簡単なものを選んでいるように見えます」


アダムスは倒した5体を収納した。


そして、さらに奥へ進む。


次に現れた魔物を見て、ガレスが目を細めた。


「メタルリザードか」


5体のメタルリザード。


体内に多量の金属成分を持ち、通常の武器では仕留めにくい魔物だった。


アダムスが足を止める。


「メタルテレキネシス」


5体の身体が硬直した。


正確には、身体そのものを止めたのではない。


メタルリザードの体内に存在する金属成分が動いていた。


金属が体外へ伸びる。


形を変える。


脚へ巻きつく。


胴を固定する。


首を押さえる。


瞬く間に拘束具が生成された。


「体内の金属から作ったの?」


アンジェラが目を見開いた。


5体のメタルリザードは動けない。


アダムスはさらに金属を変形させた。


細い針が生成される。


狙う場所は頭部だけ。


「行け」


5本の針が同時に走った。


頭蓋を貫く。


5体のメタルリザードが力を失った。


身体には余計な損傷がない。


皮も肉もほぼそのまま残されている。


26人の視線が倒れた魔物へ集中した。


アダムスは前日に学んだことを、そのまま実戦へ取り入れていた。


素材の価値を守る。


倒せればいいのではない。


可能なら損傷を抑える。


そのために金属属性まで利用したのだ。


「昨日の解体教導を、もう戦い方に組み込んでる……」


エリックが呟いた。


アダムスは拘束に使用した金属と針を集める。


メタルリザードから取り出した金属も合わせて魔力操作する。


形が変わった。


不純物が分離され、金属が整えられていく。


やがて規則正しい金属塊が完成した。


インゴットだった。


それをアイテムボックスへ収納する。


続いて5体のメタルリザードも収納した。


「……終わりです」


静かに告げる。


26人は返事ができなかった。


剣士。


槍使い。


格闘家。


超能力者。


重力属性魔法使い。


雷鳴属性魔法使い。


金属属性魔法使い。


そのどれかではない。


アダムス・キンバリーは、それらを状況に応じて使い分けていた。


しかも、昨日教わった素材価値の保護まで即座に戦闘へ取り入れている。


ガイルが深く息を吐いた。


「なるほどな」


アンジェラがガイルを見る。


「何がですか?」


「今日の目的だよ」


ガイルは先を歩き始めたアダムスを見る。


「俺たちは、あいつがどれくらい強いのか見に来たつもりだった」


アレクサンドも苦笑した。


すでに意味が変わっていた。


強いかどうかを確かめる段階ではない。


アダムス・キンバリーが持つ技術を、自分たちがどこまで理解できるのか。


26人は圧倒されながら、その背中を追った。




メタルリザードを収納したアダムスは、さらにダンジョンの奥へ進んだ。


26人も黙って後を追う。


剣士スキル。


槍術スキル。


格闘術スキル。


重力属性。


雷鳴属性。


金属属性。


アダムスが持つ力の一部を見ただけでも、十分すぎるほどだった。


しかし、今回見せたかったものは戦闘だけではなかった。


しばらく進んだところで、アダムスが足を止めた。


「ここでいいですね」


ガイルが周囲を見る。


特別な場所には見えない。


普通のダンジョンの通路だった。


「何をするんだ?」


「壁を使います」


「壁?」


アダムスは壁へ近づいた。


そして土魔法で壁の一部を破壊する。


岩と土が崩れ落ちた。


26人が集まってくる。


アダムスは崩れた壁の欠片へ手を向けた。


「以前、ダンジョンの壁を調べていて気づいたんです」


魔力が流れる。


金属属性と精錬技術を利用し、崩した壁に含まれている物質を分離していく。


土。


石。


不純物。


そして、その中に僅かに含まれている金属成分。


それらが次々と分けられていった。


「まず鉄です」


アダムスの手元に金属が集まる。


形が整えられ、1つのインゴットになった。


さらに精錬を続ける。


銅。


銀。


金。


それぞれが分離され、規則正しいインゴットへ姿を変えた。


そこまでは26人も理解できた。


問題は、その後だった。


アダムスの前に別の金属が現れる。


「ミスリルです」


「……え?」


誰かが声を漏らした。


淡い輝きを持つ金属塊が完成する。


さらに魔力操作が続いた。


「これはオリハルコン」


また1つ。


「こちらがアダマンタイトです」


最後の金属塊が完成した。


地面には7種類のインゴットが並んでいた。


鉄。


銅。


銀。


金。


ミスリル。


オリハルコン。


アダマンタイト。


誰も言葉を発しない。


アダムスは気にせず振り返った。


「鑑定してみてください」


その言葉で26人が我に返った。


それぞれが魔力循環を続ける。


体内を巡る魔力を安定させながら魔力操作を行い、並べられたインゴットへ意識を集中させた。


鑑定。


最初は鉄。


純度99.99%以上。


銅。


純度99.99%以上。


銀。


同じ。


金も同じだった。


そしてミスリル。


「99.99%以上……」


アレクサンドが呟いた。


オリハルコンも同じ。


アダマンタイトも同じだった。


26人の視線がアダムスへ集まる。


アンジェラは何度か鑑定を繰り返した。


「本当に……?」


結果は変わらない。


純度99.99%以上。


極めて高純度の金属塊だった。


ガイルが地面のインゴットと、破壊された壁を交互に見る。


「待て」


何かに気づいた。


「これ、壁から取ったんだよな?」


「はい」


「ただのダンジョンの壁から?」


「そうです」


アダムスは平然と答えた。


レオンがオリハルコンのインゴットを見る。


ガレスはアダマンタイト。


ミリアとエリックはミスリルを鑑定している。


何度確認しても結果は同じだった。


希少金属が存在している。


しかも、極めて高い純度で精錬されている。


「こんなものがダンジョンの壁に……」


ガイルが破壊された場所を見る。


その瞬間だった。


崩されていた壁が動いた。


土と岩が生成される。


少しずつ穴が塞がっていく。


そして間もなく、そこには元と変わらないダンジョンの壁が存在していた。


沈黙が落ちた。


ガイルが壁へ近づく。


触る。


叩く。


普通の壁だった。


「再生したぞ」


「はい」


アダムスの返事は軽い。


「ダンジョンですから」


「いや、そういう問題か?」


レオンが思わず突っ込んだ。


アレクサンドは再生した壁と7種類のインゴットを見る。


アンジェラもようやく意味を理解した。


壁を壊す。


金属を取り出す。


精錬する。


壁は再生する。


ならば、再び同じことができる。


「永久に……取れる?」


アンジェラが呟いた。


「今のところ、そう考えています」


アダムスが答えた。


26人の表情が固まった。


鉄だけでも国の産業を支えられる。


銅や銀、金もある。


さらにミスリル。


オリハルコン。


アダマンタイト。


それらがダンジョンの再生する壁から取り出せる。


しかもアダムスの精錬によって純度99.99%以上になる。


「ちょっと待て……」


ガイルは額へ手を当てた。


「お前、これを発見したのか?」


「はい」


「いつ?」


「以前ダンジョンの壁を調べた時です」


また平然と答える。


26人は言葉を失った。


目の前にいるのは、戦闘だけが強い男ではなかった。


魔物を瞬殺する。


素材を損壊せず倒す。


金属を操る。


そして誰も価値を見出さなかったダンジョンの壁から、国家規模の資源を取り出してしまう。


アダムスは完成したインゴットを指した。


「持ってみますか?」


誰もすぐには動かなかった。


ガイルたちは、魔物との戦闘では平然としていられる。


しかし今、目の前にあるものが王国へ与える影響を考えると、簡単には言葉が出なかった。


再生した壁。


地面に並ぶ7種類の高純度インゴット。


その間に立つアダムス・キンバリー。


26人はようやく理解し始めていた。


今日見せてもらっているのは、単なる強さではない。


アダムスという男が持つ可能性そのものだった。




再生したダンジョンの壁を前に、26人はしばらく動けなかった。


その足元には、アダムスが精錬した7種類のインゴットが並んでいる。


鉄。


銅。


銀。


金。


ミスリル。


オリハルコン。


アダマンタイト。


純度はいずれも99.99%以上。


ガイルは再生した壁を見てから、もう1度インゴットへ視線を落とした。


「これ、本当に壁から取ったんだよな……」


「はい」


アダムスは平然と答える。


「そして壁は再生した」


「はい」


「つまり、また取れる」


「そうなりますね」


ガイルは黙った。


レオンもガレスも言葉が出ない。


ミリアはミスリルのインゴットを持ったまま固まり、エリックは何度目か分からない鑑定を続けている。


アレクサンドも同じだった。


鑑定。


純度99.99%以上。


結果は変わらない。


「国がひっくり返るわよ、これ……」


ようやく出てきた言葉がそれだった。


アンジェラに至っては、その場へ座り込んでいた。


アルタリア帝国では貧困と飢餓が広がっている。


鉄ですら生活と産業を支える重要な資源だ。


それが目の前では、再生するダンジョンの壁から取り出されている。


しかも金や銀だけではない。


希少なミスリル、オリハルコン、アダマンタイトまで含まれている。


26人が腰を抜かすほど驚いていた、その時だった。


「ん?」


レオンが自分の腕を見る。


身体が淡く光っていた。


レオンだけではない。


ガレス。


ミリア。


エリック。


ガイル。


アレクサンド。


アンジェラ。


他の者たちも次々と光に包まれていく。


「これは……覚醒?」


アレクサンドがすぐに自分の状態を鑑定した。


そして固まった。


「剣士スキル……槍術スキル……格闘術スキル……」


まだ続く。


「重力属性、金属属性、雷鳴属性……」


「え?」


アンジェラも自分を鑑定する。


結果は同じだった。


剣士スキル。


槍術スキル。


格闘術スキル。


重力属性。


金属属性。


雷鳴属性。


26人に新たな力が覚醒していた。


ガイルは自分の手を見つめた。


「見ていただけだぞ?」


アレクサンドが首を振る。


「ただ見ていたわけではないわ。魔力循環と魔力操作を続けながら、アダムスの戦い方をずっと見ていた」


ゴブリンを剣で倒した。


オークを槍で倒した。


ハイオークをテレキネシスで仕留めた。


ポイズンスパイダーを重力で拘束した。


アーマードリザードを雷鳴属性で倒した。


メタルリザードの金属成分を操った。


さらにダンジョンの壁から金属を取り出し、高純度のインゴットへ精錬した。


実演を見て、魔力の動きを感じ、使い方を理解しようとした。


それが教導となったのだ。


「アダムス」


ガイルが少年を見る。


「お前、教導までできるのか?」


「俺は見せただけですけど……」


アダムス自身も少し困った顔をしていた。


その反応にレオンが笑った。


「アークさんの弟子らしくなってきたんじゃないか?」


「俺、まだそこまでじゃないですよ」


アダムスは苦笑する。


しかし26人に力が覚醒した事実は変わらない。


アダムスは少し考えた後、周囲を見回した。


「もう1つ見せます」


「まだあるのか?」


ガイルの声に疲れが混じった。


アダムスは数歩先へ出る。


「時空間属性です」


空間が僅かに揺れた。


次の瞬間、アダムスの姿が消えた。


「え?」


アンジェラが振り向く。


アダムスは10メートルほど先に立っていた。


また消える。


今度は反対側。


さらに転移。


前。


後ろ。


右。


左。


短い距離ではある。


しかしアダムスは歩いていない。


空間から空間へ直接移動している。


短距離転移。


敵との間合いを瞬時に詰めることもできる。


逆に攻撃範囲から離脱することもできる。


障害物を避けて移動することも可能だ。


ガイルたちは食い入るように見る。


魔力循環を止めない。


魔力操作を続ける。


アダムスが消える瞬間。


現れる瞬間。


魔力が空間へ作用する感覚。


それを掴もうと集中する。


アダムスが最後の転移を終えた。


「こんな感じです」


直後だった。


再び26人の身体が光り輝いた。


「まさか……」


アレクサンドが自分を鑑定する。


目を見開いた。


「時空間属性」


ガイルも確認する。


レオンも。


ガレスも。


ミリアも。


エリックも。


アンジェラも。


結果は同じだった。


26人が時空間属性へ覚醒していた。


沈黙。


誰もすぐには言葉を出せない。


今日1日で覚醒したもの。


剣士スキル。


槍術スキル。


格闘術スキル。


重力属性。


金属属性。


雷鳴属性。


そして時空間属性。


アダムスは26人の反応を見て首を傾げた。


「成功したみたいですね」


ガイルはしばらく黙っていた。


やがて大きく息を吐く。


「アダムス」


「はい」


「お前、自分がどれだけ無茶苦茶なことをやってるか分かってるか?」


アダムスは少し考えた。


「普通に使っているだけですけど」


その返事に、今度こそ26人が揃って頭を抱えた。


アダムス・キンバリー。


剣を扱える。


槍を扱える。


格闘術も使える。


10属性魔法を操り、超能力を使い、希少金属を精錬し、時空間属性による転移まで行う。


そして今、その技術を見せただけで26人を新たな領域へ導いた。


アークが教えた者が、また人を育てる。


その流れは、アダムスにも確かに受け継がれ始めていた。





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