229 消えた国々
王宮へ向かう馬車の中で、ローゼンクランツ公爵は何枚もの報告書を膝の上に広げていた。
アリッサは向かいの席から、その紙束を見る。
五十四か国の消滅。
約十四億人の保護亡命者。
そして第2から第130アルデバラン王国。
それだけでも十分すぎるほどの変化だった。
だが、父の話はまだ終わっていない。
「五十四か国が消えたことで、大陸が落ち着いたわけではない」
「先ほどおっしゃっていた、清算を始めた国々ですか?」
「ああ。現在、我々が確認しているだけでも百を超えている」
「それほど……」
「自ら清算を決めた国もあれば、すでに統治能力を失い、形式上の手続きを進めているだけの国もある」
公爵は一枚の報告書を抜き出した。
「問題は清算そのものではない。その過程だ」
「騎士や兵士ですか?」
「それだけではない」
公爵は首を振る。
「もともと各国にいた盗賊、犯罪組織、奴隷商人。国の統制が弱まったことで逃亡した者がいる」
別の報告書を重ねる。
「牢から逃げ出した犯罪者もいる。国境の監視が機能しなくなり、他国へ逃れた者もいる」
「そこへ、解散した軍まで加わった」
「ああ」
アリッサは武家の公女だ。
軍が解体された後に何が残るのかは想像できる。
剣を持つ者。
鎧を着た者。
集団で戦う訓練を受けた者。
それまで命令を与えていた者も、俸給を払っていた者もいなくなる。
「もちろん、騎士や兵士のすべてが犯罪者になったわけではない」
「それは分かっています」
「故郷へ帰った者もいる。新しい仕事を探した者もいる。だが、そうできなかった者もいる」
公爵の表情が険しくなる。
「食料がない。金もない。帰る場所もない。それでも武器だけは持っている」
アリッサは何も言わなかった。
その先は聞かなくても分かる。
「最初は小さな集団だった」
公爵は報告書へ目を落とした。
「数人、数十人で食料を奪う。それが別の集団と合流し、百人、千人と膨らんでいった例がある」
「村を?」
「ああ」
「民は抵抗できません」
「だから被害が出た」
公爵の声が低くなる。
「略奪だけでは済んでいない。殺害も確認されている」
アリッサの顔が強張った。
「さらに酷い地域では、虐殺としか呼べない被害も出た」
「……なぜ、そこまで」
「理由など知らん」
公爵は冷たく言った。
「食料を奪うためだったのか。抵抗されたからなのか。あるいは統制を失った集団が暴走しただけなのか。理由が何であろうと、殺された民には関係ない」
アリッサは窓の外を見る。
王都では人々が普通に暮らしている。
商人が店を開き、荷馬車が行き交い、親子が歩いている。
少し前までなら、何も考えずに眺めていた光景だった。
「私は……何も知りませんでした」
「お前だけではない」
公爵は即座に答えた。
「我々もすべてを把握できているわけではない」
「ですが、お父様はこれだけの情報を」
「届いた情報を読んでいるだけだ」
公爵は一枚の報告書を持ち上げた。
「これがいつの大陸を示していると思う?」
「いつ……?」
「事件が起きる。生き残った者が近隣の街へ知らせる。役人や商人が情報を持ち出す。国境を越え、いくつもの街を経由して、ようやく我々へ届く」
アリッサは報告書を見る。
そこに書かれている出来事が、昨日のことだという保証などない。
「では、この暴徒たちは今も?」
「分からん」
「すでに捕縛されている可能性も?」
「ある。逆に別の集団が発生している可能性もある」
公爵は報告書を膝の上へ戻した。
「五十四か国という数字も同じだ」
アリッサが顔を上げる。
「我々が五十四か国の消滅を確認した時点で、現地ではすでに次の段階へ進んでいる可能性がある」
「百を超える国の清算も……」
「ああ」
公爵は頷いた。
「我々が清算中だと思っている国が、すでに清算を終えていても不思議ではない」
アリッサはようやく理解した。
第78で過ごしていた数日の間に、大陸情勢が大きく変わった。
だが、それすら現在の姿ではない。
シュタインフェルトへ情報が届いた時には、すでに過去になっている。
「アリッサ」
「はい」
「我々が掴んでいる情報も、すでに古い可能性がある」
公爵は車窓の向こうへ目を向けた。
「だから陛下に報告するだけでは足りん」
「では?」
「現在を知らなければならない」
馬車は王宮へ向かって進んでいく。
その間にも、公爵の知らないところで大陸は動き続けていた。
アリッサは馬車の窓から王都を眺めながら、父から聞いた話を整理していた。
五十四か国が消滅した。
約十四億人が保護され、あるいは亡命した。
さらに百を超える国が清算を進めている。
その過程で犯罪者が逃亡し、一部の騎士や兵士まで暴徒化した。
だが、それは現在の大陸ではないかもしれない。
「お父様」
「なんだ?」
「第78では、そのような話をほとんど聞きませんでした」
「暴徒の話か?」
「それだけではありません。五十四か国の消滅も、百を超える国の清算もです」
ローゼンクランツ公爵は少し考えた。
「不思議ではない」
「なぜです?」
「お前がいたのはアルデバランだからだ」
アリッサは父を見る。
「どういう意味でしょう?」
「こちらへ情報が届くまでには時間がかかる。だが、アルデバラン側が我々と同じ方法で情報を集めているとは限らん」
公爵は娘へ尋ねた。
「お前は索敵を使えるようになったと言ったな?」
「はい」
「どの程度だ?」
「以前とは比較になりません」
「それを持つ者が、お前一人だと思うか?」
アリッサは答えなかった。
思うはずがない。
ロルフも索敵を使える。
冒険者ギルドで教導が行われているなら、同じ能力を持つ者は他にもいる。
「空も飛べるのだったな」
「はい」
「我々は馬で情報を運んでいる」
公爵は自分たちが乗っている馬車を見回した。
「アルデバランでは、人間そのものが空を飛べる」
単純な違いだった。
だが、その差は大きい。
山があっても迂回する必要がない。
道が壊れていても関係ない。
国境の街道が封鎖されても、その上を越えられる。
「ゴーレムによる物流も見たと言ったな」
「はい。珍しいものとしてではなく、普通に使われていました」
「索敵、飛行、ゴーレム。それだけでも我々とは情報や物資の動く速度が違う可能性がある」
「……確かに」
「まして、我々はアルデバラン本国が何を持っているのか知らん」
アリッサは第78で過ごした日々を思い返した。
ロルフと食事をした。
狩りにも出た。
イメルダと話した。
街の人々は普通に暮らしていた。
大陸の危機を知らずに平穏だったのではない。
すでに対処が終わった後だった可能性すらある。
「では、私が第78にいた時点で……」
「分からん」
公爵は即座に止めた。
「そこを推測で事実にするな」
「はい」
「我々に分かっているのは、報告が遅れているということだけだ。アルデバラン側がどこまで把握し、何をしているのかは確認していない」
アリッサは頷いた。
父の言う通りだった。
アルデバランがすべてを解決したと決めつけることもできない。
反対に、今も大陸中で同じ惨事が続いていると決めつけることもできない。
「一つ、気になることがあります」
「言ってみろ」
「犯罪集団が捕縛されているという情報です」
「ああ」
「それは、いつ頃のものですか?」
公爵は報告書をめくった。
「これも正確には分からん。だが、暴徒化の報告より後に入ってきている」
「でしたら、少なくとも一部では対処が始まっていた」
「そう考えるのが妥当だろう」
公爵は別の報告書を取り出した。
「冒険者ギルドが動いたという情報もある」
「やはり……」
「何か心当たりが?」
「第78の冒険者ギルドです」
アリッサは自分が教導を受けた時のことを話した。
「私のような外国人でも教導を受けられました。特別な許可を求められたわけでもありません」
「つまり?」
「各地の冒険者も同じように教導を受けているのなら、犯罪集団への対応はそれほど難しくないかもしれません」
「料理人がレッサードラゴン五十体を相手にできるのだからな」
「はい」
公爵は目を閉じ、しばらく考えた。
「妙だな」
「何がです?」
「我々が受け取る報告では、順番が見えんのだ」
アリッサが首を傾げる。
「国が消えたという報告が来る。次に亡命者が保護されたという情報が来る。別の場所からは兵士が暴徒化したという報告が届く。その後に冒険者が捕縛したという話が入る」
「はい」
「だが、それが現地で起きた順番と同じだという保証がない」
アリッサは息を呑んだ。
「国も違えば、距離も違う」
「そうだ。近い土地の新しい情報が、遠方の古い情報より先に届くこともある」
公爵は報告書の束を見た。
「我々は大陸で起きた出来事を見ているつもりだった」
その手が紙束を軽く叩く。
「実際には、時間の違う断片を並べているだけなのかもしれん」
アリッサは何も言えなかった。
二千五百万人という情報を持ち帰った自分も同じだ。
重要な情報ではある。
だが、それが現在のアルデバランを示しているとは限らない。
「陛下には、その点も申し上げる」
「情報そのものが古い可能性を?」
「ああ」
公爵は頷いた。
「五十四か国が消えたことだけを報告しても意味がない。百を超える国が清算していることだけでも足りん」
馬車が王宮へ近づいていく。
「必要なのは現在だ」
公爵は王宮を見上げた。
「この大陸が今、どうなっているのか。それを知らなければ、陛下も判断のしようがない」
アリッサも同じ方向を見る。
父の持つ情報は、自分より遥かに多い。
それでも足りない。
大陸の変化は、シュタインフェルトへ届く報告より速く進んでいた。
馬車が王宮へ近づくにつれ、ローゼンクランツ公爵は口数を減らしていった。
アリッサも話しかけなかった。
父は報告書を読み直している。
だが先ほどまでとは、見方が変わっていた。
一枚目には国家の清算。
二枚目には騎士団の解散。
三枚目には村への襲撃。
別の報告書には冒険者による犯罪集団の捕縛。
これまでは一連の流れとして読んでいた。
だが、本当にそうなのか。
「アリッサ」
「はい」
「お前が第78へ入ったのは何日前だ?」
アリッサは日付を思い返して答えた。
公爵は頷くと、報告書を何枚か選び出した。
「やはり合わんな」
「何がですか?」
「時間だ」
公爵は一枚を娘へ渡した。
「これは遠方の国で騎士団が解散したという報告だ」
「はい」
「こちらは、その騎士団の一部と思われる集団が村を襲ったという報告」
もう一枚。
「そしてこちらは、武装集団が冒険者に捕縛されたという情報だ」
アリッサは三枚を見比べる。
「同じ者たちなのですか?」
「分からん」
「では――」
「我々が勝手に繋げている可能性がある」
公爵は腕を組んだ。
「国も違う。報告者も違う。届いた経路も違う。それを大陸情勢という一つの箱に放り込み、時系列に並んでいるように見ていた」
アリッサは三枚の報告書を父へ返した。
「危険ですね」
「ああ。判断を誤る」
公爵は地図を広げた。
「例えば、ここだ」
ある地域を指す。
「我々の最新情報では、この国は現在清算中だ」
「はい」
「だが、その隣から届いた報告には、すでに旧国軍の兵士が職を探しているとある」
アリッサは首を傾げた。
「清算が終わっている?」
「その可能性がある」
「情報が逆転しているのですね」
「そうだ」
遠くから届いた古い情報と、別の経路から届いた新しい情報。
それらが同じ机の上に並んでいる。
「では、百を超える国が清算中というのも……」
「現在も清算しているとは限らん」
「すでに終えている国がある」
「当然考えられる」
公爵はさらに地図を指でなぞった。
「五十四か国についても同じだ。我々が滅亡を確認する以前に、民の保護も移住も始まっていた可能性がある」
「十四億人ですね」
「ああ」
そこでアリッサは一つ気づいた。
「お父様。でしたら、順番そのものが違う可能性もありませんか?」
「言ってみろ」
「国が滅びたから十四億人が一斉に逃げ出したのではなく、その前から保護や亡命が進んでいた」
公爵は黙って続きを待った。
「人々が保護され、移住し、新しい土地で生活を始める。その一方で、人口を失った旧国家が維持できなくなり、清算された国もある」
「あり得るな」
「さらに、その清算の過程で統制を失った兵士や犯罪者が流出した」
「ああ」
「その者たちが民を襲い、別の場所ではすでに捕縛された」
公爵はゆっくり頷いた。
「その方が、我々の持っている情報とも矛盾しない」
アリッサは第78アルデバラン王国を思い出した。
そこでは人々がすでに暮らしていた。
店がある。
食料がある。
仕事がある。
ゴーレムが働いている。
冒険者ギルドが機能している。
教導まで行われている。
何もない土地へ昨日逃げ込んだ人々の姿ではない。
「第78は、すでに国として成立していました」
「そうだったな」
「保護された人々も、逃げてきたばかりという様子ではありませんでした」
「ならば、お前が見たものの方が新しい可能性が高い」
アリッサは少し驚いた。
「私が?」
「少なくとも第78についてはな。お前は数日前まで現地にいた」
公爵は自分の報告書を持ち上げた。
「こちらは何人もの手を経て届いた紙だ」
そして娘を見る。
「お前は自分の目で見てきた」
アリッサはようやく、自分が王宮へ同行する意味を理解した。
数字を伝えるだけではない。
現在に最も近いアルデバランを知っている。
「陛下には、第78で見たことをそのまま申し上げます」
「そうしろ。評価は加えるな」
「はい」
「豊かだったなら豊かだった。街が清潔だったなら清潔だった。料理人が五十体のレッサードラゴンを相手にしたなら、そのまま話せ」
「分かりました」
「我々が推測を重ねるより、その方が役に立つ」
公爵は報告書をまとめた。
五十四か国の消滅。
十四億人の保護亡命。
百を超える国家の清算。
統制を失った兵士による略奪と虐殺。
冒険者による犯罪集団の捕縛。
それらは事実だった。
だが、**今も続いているとは限らない。**
「情報を集めれば現状が分かると思っていた」
公爵が呟いた。
「違うのですか?」
「ああ」
公爵は苦笑した。
「変化の方が速い」
馬車が王宮の門をくぐった。
「我々は現在を知るために情報を集めているつもりで、過去を追いかけていたのかもしれんな」
アリッサは窓の外を見る。
ならば必要なのは、さらに多くの古い報告書ではない。
今の大陸を見ることだった。
そして、その中心にあるアルデバランを、自分たちの目で確かめることだった。
馬車を降りたローゼンクランツ公爵とアリッサは、王宮の正面玄関へ向かった。
先触れはすでに届いている。
公爵が緊急の面会を求めたため、王宮側も準備を始めていた。
だが、謁見までは少し時間がある。
二人は控えの間へ案内された。
公爵は椅子へ座るなり、持参した報告書を机の上へ並べた。
「最後に整理しておく」
「はい」
「陛下の前では、分かっていることと分からないことを混ぜるな」
アリッサは頷いた。
公爵が最初の書類を指す。
「五十四か国が消滅した」
「はい」
「そこから発生した保護亡命者は、およそ十四億人。先ほどの十三国も、この中に含まれる」
「はい」
「この十四億人については、すでに相当数がアルデバラン側で保護されている」
次の書類へ指を移す。
「さらに百を超える国が清算を始めた」
「ただし――」
「現在も清算中とは限らん」
公爵が引き取った。
「我々の情報が古いからだ」
アリッサは改めて、その意味を考えた。
百を超える国が清算を始めたという報告が届いた時点で、現地ではすでに清算を終えている可能性がある。
兵士の暴徒化も同じだ。
「暴徒化した騎士や兵士によって、略奪、殺害、虐殺が発生した」
「はい」
「だが、今も同じ集団が活動しているとは限らない」
「冒険者による捕縛の情報も入っています」
「ああ」
公爵は頷いた。
「ここを間違えるな。被害が起きたことは事実だ。だが、現在も被害が拡大していると断定する材料はない」
「分かりました」
「逆も同じだ。冒険者が動いているから、すでに大陸全土の治安が回復したとも言えん」
アリッサは小さく頷いた。
分からない。
結局、そこへ戻ってくる。
だが以前とは違う。
情報がないから分からないのではない。
大量の情報があるのに、それぞれの時間が違う。
「そして、ここからがお前の情報だ」
公爵が別の紙を手に取った。
「ガルテェニカ王国で保護された約二千五百万人が、本国で教導を受けた」
「はい」
「その一人であるロルフは、元奴隷で現在は料理人」
「はい」
「お前と共にレッサードラゴン五十体を同時に狩った」
「間違いありません」
「お前自身も第78で教導を受けた」
「はい」
「そして今では空を飛び、六属性魔法、鑑定、索敵を使える」
「ピュリフィケーションバレットも使えます」
「そうだったな」
公爵は書き加えた。
そして筆を置く。
「ここまでは事実だ」
「はい」
「では、十四億人全員が教導を受けたか?」
「分かりません」
「百三十のアルデバラン王国すべてで、同じ教導が行われているか?」
「分かりません」
「アルデバラン国民が何人いる?」
「分かりません」
「軍は?」
「分かりません」
公爵は満足そうに頷いた。
「それでいい」
アリッサは少し意外に思った。
「分からないことが多すぎるように思いますが」
「分からないものを分かったことにする方が危険だ」
公爵は地図を広げる。
「まして今は、大陸そのものが動いている」
五十四か国が消えた。
百を超える国が清算を始めた。
その一方で、第2から第130アルデバラン王国が存在する。
昨日までの常識を基準にして判断すれば、間違える。
「アリッサ」
「はい」
「お前は第78を恐ろしいと思ったのだな?」
アリッサは少し考えてから頷いた。
「はい」
「なぜだ?」
「強いからではありません」
答えはすぐに出た。
「強い者が珍しくないからです」
公爵の目が細くなる。
「ロルフは料理人です。冒険者ギルドでは外国人の私にも教導を行いました。街ではゴーレムが荷物を運び、食料も豊富でした」
アリッサは言葉を続ける。
「誰か一人が特別なのではありません」
「なるほど」
「だから、軍の規模を知るだけでは足りないと思います」
公爵は地図を見た。
「社会そのものを見る必要がある、か」
「はい」
しばらく沈黙が続いた。
やがて公爵が小さく笑った。
「緊急帰国したのは正解だったな」
「二千五百万人と聞いて、放置できませんでした」
「それでいい。だが、その数字のおかげで私も一つ気づいた」
「何でしょう?」
公爵は机に積まれた報告書を見る。
「我々はアルデバランの軍事力を知ろうとしていた」
「はい」
「違ったのだろうな」
アリッサは父を見る。
「知るべきなのは、アルデバランという社会そのものだ」
そのとき、控えの間の扉が叩かれた。
「ローゼンクランツ公爵閣下。陛下がお会いになります」
公爵が立ち上がる。
「参ろう」
「はい」
アリッサも続いた。
五十四か国が消えた大陸。
百を超える国が清算へ向かった大陸。
その中で、百三十もの国を成立させたアルデバラン。
だがシュタインフェルトが知っているのは、まだ過去の断片にすぎない。
現在を知るための話が、ようやく始まろうとしていた。




