203 残された者たち
二十カ国から四億人の保護が完了した。
教導管理システムには、二十万人の騎士が行った鑑定結果が残されている。
誰がどこにいるのか。
何をしてきたのか。
誰が被害者で、誰が加害者なのか。
すでに調べ直す必要はなかった。
アイクは王国騎士団本部で最後の集計を確認していた。
アッシュが尋ねる。
「保護対象は?」
「全地域で確認を終えた」
「家族の捜索は?」
「継続中だ。別の国へ売られた者もかなり見つかっている」
ロックウェルが腕を組む。
「なら、もう人質に取られる者はいないな」
「ああ」
アイクは教導管理システムを開いた。
二十カ国。
王族。
貴族。
役人。
軍人。
商人。
奴隷商人。
犯罪組織。
身分も職業も関係なく、鑑定結果だけが並んでいる。
アイクが見ているのは肩書ではなかった。
「始める」
二十万人の騎士へ念話が繋がった。
『保護対象の安全を確認した。処理を開始する』
『了解』
二十カ国で騎士たちが動いた。
ステルス。
姿を消したまま飛行し、それぞれの対象へ向かう。
城門を突破する必要はない。
王城を包囲する必要もない。
軍隊と戦う必要もなかった。
アルカディア王国。
王都の貴族街では、一人の男が屋敷を出ようとしていた。
奴隷売買。
殺人。
暴行。
鑑定結果には多数の犯罪歴が記録されている。
「馬車を出せ! 急げ!」
使用人が慌ただしく荷物を運ぶ。
男はすでに異変に気付いていた。
所有していた奴隷が消えた。
農園からも鉱山からも人がいなくなった。
何が起きているのか分からない。
だから逃げる。
それだけだった。
「国外へ出るぞ!」
男が馬車へ乗ろうとした。
その姿が消えた。
「……旦那様?」
使用人が周囲を見る。
誰もいない。
馬車だけが残されていた。
別の場所でも同じことが起きる。
奴隷を虐待していた貴族。
人身売買を行っていた商人。
住民を殺して財産を奪った役人。
犯罪を繰り返した兵士。
教導管理システムに登録された鑑定結果を確認し、騎士たちは対象だけを処理していく。
逃げても意味はない。
変装しても意味はない。
屋敷に隠れても、地下へ逃げても索敵にかかる。
だが、隣にいる人間に犯罪歴がなければ何もしなかった。
「隊長、この屋敷に貴族が三人います」
『鑑定結果は?』
「一人だけ対象です。残る二人に犯罪歴はありません」
『なら一人だけだ』
「了解」
爵位は関係ない。
王族であろうと同じだった。
ヴァルフレア王国の王城。
王弟が処理された。
その隣にいた国王は残った。
国王は何が起きたのか理解できず、弟が立っていた場所を見つめていた。
「……なぜ私は生きている?」
答える者はいない。
アルデバランの騎士は姿を見せなかった。
国王には犯罪歴がなかった。
ただ、それだけだった。
軍の施設でも同じだった。
兵士だから処理されるのではない。
命令を受けて城門を守り、訓練し、家族を養っていただけの者には誰も手を出さない。
一方で、命令を理由に略奪や殺人を繰り返していた者は対象になった。
二十カ国で、同じ基準が適用されていった。
数時間。
処理対象の数が猛烈な勢いで減っていく。
ポリーは上空からクリスタリア王国の王都を見ていた。
「終わったわ」
スカーレットが教導管理システムを確認する。
「こちらも対象者は残ってない」
十三歳の少年が尋ねた。
「残った人たちはどうするんですか?」
ポリーは眼下を見る。
王族がいる。
貴族もいる。
役人も兵士もいる。
犯罪歴のない者たちだった。
「何もしないわ」
「保護しないんですか?」
「希望するなら別よ。でも、この国で暮らすのか、どこかへ行くのかまで私たちが決めることじゃないでしょう?」
少年は少し考えてから頷いた。
「そうですね」
「自分たちで決めればいいのよ」
アルデバラン王国が彼らの人生を決める理由はない。
悪事を働いた者は処理した。
助けを求めた者は保護した。
それで役目は終わりだった。
やがて二十万人の騎士たちが撤収を始める。
占領軍は残らない。
総督も置かない。
新しい領主も任命しない。
アルデバランの旗すら立てなかった。
そして二十の王国に、残された者たちだけが立っていた。
王はいる。
役人もいる。
兵士もいる。
王城もある。
国庫もある。
だが、その国を支えていた民の大半は、もういなかった。
誰も彼らへ命令しない。
これからどうするのか。
その答えを出すのは、残された者たち自身だった。
二十カ国での処理は、数時間で終了した。
二十万人の騎士たちは、教導管理システムに登録された鑑定結果を確認しながら対象者だけを処理していった。
奴隷売買。
殺人。
略奪。
拷問。
暴行。
人を売り、奪い、傷つけることで利益を得てきた者たち。
身分は関係なかった。
王族もいた。
貴族もいた。
役人もいた。
商人も兵士もいた。
同じ貴族家でも、犯罪歴のある当主だけが処理され、妻や子供が残った家もある。
軍でも同じだった。
犯罪を重ねた将軍が処理され、副官が残った部隊。
将軍には犯罪歴がなく、配下の一部だけが処理された部隊。
所属ではなく、本人が何をしてきたのか。
判断基準はそれだけだった。
処理された者の遺体も放置しない。
アンデッド化不能処理を施す。
分解する。
そして森へ運び、土へ還す。
やがて木々や草花を育てる養分になる。
死体を残せば、アンデッドとなって新たな被害を生む可能性がある。
だから命を奪った時点では終わらない。
森へ還すところまでが処理だった。
全てを終えた騎士たちは撤収した。
占領軍は置かない。
領土も奪わない。
新しい統治者も置かない。
アルデバラン王国の旗を立てることもなかった。
後には、犯罪歴のなかった者たちだけが残された。
アルカディア王国。
王宮では朝から会議が続いていた。
「もう一度、分かっていることを整理しよう」
国王の言葉に内務官が立ち上がった。
「地方の人口が激減しています。農村、鉱山、農園、工房、各都市でも同様です。役人がいなくなり、行政機能を失った地域もあります」
「国境は?」
「異常ありません」
「戦闘は?」
「確認されておりません」
「城壁や関所は?」
「破壊された形跡はありません」
軍務官が続ける。
「侵入した軍勢を確認した部隊もありません」
「つまり、何が起きたのか分からない」
「はい」
国王は報告書へ目を落とした。
民だけではなかった。
王弟がいない。
複数の貴族もいない。
役人、商人、兵士にも行方の分からない者がいる。
だが、無差別ではない。
国王は残った。
ある貴族家では当主だけがいなくなり、妻子は残っている。
別の家では長男がいなくなり、父親と次男が残った。
軍でも将軍がいなくなった部隊があれば、将軍は残り、一部の兵士だけがいなくなった部隊もある。
宰相が呟く。
「何らかの基準で選ばれたと考えるべきでしょうな」
「私もそう思う」
国王は頷いた。
「だが、今は基準を推測している場合ではない」
財務官が書類を机へ置く。
「その通りです。こちらをご覧ください」
「税収か」
「はい」
国王が数字を見る。
「厳しいな」
「今後さらに減るでしょう」
農民がいない。
鉱山労働者もいない。
職人も商人も減っている。
税を納める者そのものが激減していた。
「国庫だけで、どれほど持つ?」
「現在の国家機構を維持するなら長くありません」
「軍は?」
軍務官が答える。
「縮小が必要です。それ以前に、辞職を希望する兵士が増えています」
「家族か」
「はい。妻や子供、両親、故郷の住民がいなくなった者が大勢います」
一人の貴族が口を開いた。
「止めるべきではないでしょう」
国王が彼を見る。
「理由を聞こう」
「家族を探しに行く者を拘束すれば、残った兵士まで離反します。それに……」
貴族は報告書を見る。
「彼らを無理に残して、何を守らせるのです?」
軍務官が静かに頷いた。
「私も同意します」
「問題は兵士が辞めることではありません」
貴族は続けた。
「兵士が残る理由を、この国が失いつつあることです」
会議室に反論する者はいなかった。
国王も現実を理解していた。
「辞職を認めよう。家族を探したい者を止めるな」
「承知しました」
その決定によって軍はさらに縮小する。
だが、もはや規模を維持すること自体に意味がなかった。
クリスタリア王国では、さらに先の議論が始まっていた。
「現在の人口で従来の国家機構を維持することは不可能です」
財務官の報告に、国王が尋ねる。
「王宮を縮小すれば?」
「当然必要です」
「軍は?」
「必要最低限で十分でしょう」
「地方行政は?」
「管理する住民がほとんどいない地域があります。統廃合すべきです」
宰相が静かに言った。
「そこまで縮小して、なお国家という形を残す意味があるのでしょうか」
国王が宰相を見る。
誰も驚かなかった。
すでに全員が同じ疑問を抱き始めていた。
王城はある。
王冠もある。
国庫にも金は残っている。
だが、王城を維持するために国があるわけではない。
「……私は誰の王なのだ」
国王が呟いた。
財務官が書類を閉じる。
「陛下。存続だけを前提に考える必要はないかもしれません」
「ああ」
国王も頷いた。
「私もそう思い始めていた」
しばらく考え、財務官へ告げる。
「国を畳む場合に必要な手続きを調べてくれ」
「承知しました」
「王家の私有財産と国有財産を分ける。債務も整理する。行政記録も残さなければならない」
「残っている民の権利関係も必要です」
「頼む」
誰かに命じられたわけではない。
降伏したわけでもない。
王冠を奪われたわけでもない。
残された者たちが現実を見て、自分たちで考えた。
そして最初の一国が、国家清算へ向けて動き始めた。
クリスタリア王国の王宮では、国家の今後を決める前に、別の調査が始まっていた。
国王が命じたものだった。
「消えた者について調べ直せ」
宰相が尋ねる。
「民も含めてでしょうか?」
「いや。王族、貴族、役人、商人、軍人だ。同じ場所にいたのに、消えた者と残った者がいる。偶然ではない」
「承知しました」
残された役人たちが記録を集めた。
裁判記録。
衛兵の報告。
商取引。
奴隷の売買記録。
貴族家の帳簿。
軍の報告書。
過去に寄せられた訴え。
数日後。
宰相が分厚い書類を持って会議室へ入った。
「陛下。共通点が見えてきました」
「聞こう」
「消えた者の多くが犯罪に関与しています」
国王の表情が変わった。
「具体的には?」
「奴隷売買、殺人、略奪、暴行、横領。王弟殿下も奴隷商人から金を受け取っていました」
「続けろ」
「消えた貴族も同様です。領民を殺した者、奴隷を虐待していた者、盗賊と繋がっていた者が確認されています」
軍務官も報告書を開く。
「軍人にも同じ傾向があります。民間人への略奪、殺害、暴行に関与した者です」
財務官が尋ねた。
「残った者は?」
「確認できた範囲では、そのような記録はありません」
会議室が静かになった。
王弟は消えた。
国王は残った。
ある貴族家では当主だけが消えた。
将軍が消えて副官が残った部隊もあれば、将軍は残り、配下の一部だけが消えた部隊もある。
「身分ではないな」
国王が言った。
「はい」
「血筋でも所属でもない」
「そう考えられます」
宰相が書類へ目を落とす。
「犯罪に関与した者が選ばれた、と考えるのが最も自然でしょう」
軍務官が腕を組んだ。
「しかし、それなら別の疑問が出ます」
「何だ?」
「どうやって知ったのでしょう」
国王が軍務官を見る。
「王弟殿下の奴隷売買は公にはなっていません。軍人の中にも、上官が揉み消した事件に関与した者がいます」
宰相も頷いた。
「貴族にもおりますな。証拠が残っていない者まで消えています」
「誰かが二十カ国全てを調査していた?」
財務官の言葉に、軍務官が首を横に振った。
「別の可能性もあります」
「言ってみろ」
「魔法です」
国王が目を細める。
「我々の知らない魔法があると?」
「この世界に存在する魔法を、我々が全て知っているとは思えません」
宮廷魔法士が頷いた。
「あり得ないとは言えません」
「人が過去に何をしたのか、それを知る魔法か?」
「分かりません。過去を見るのかもしれない。本人から何かを読み取るのかもしれない。別の方法かもしれません」
「そんな魔法は聞いたことがないぞ」
宮廷魔法士は静かに答えた。
「聞いたことがないことと、存在しないことは別です」
誰も反論しなかった。
軍務官がさらに続ける。
「未知の魔法が一つだけとも限りません」
「どういうことだ?」
「今回、国境では誰も侵入者を確認していません。城門も関所も突破されていない。それなのに二十カ国で同じことが起きた」
宮廷魔法士が考え込む。
「姿を隠す魔法……」
「あるいは、城壁そのものを無視して移動する魔法」
「遠距離で情報を伝える魔法も必要でしょうな」
宰相が顔を上げる。
「待て。それを二十カ国で同時に?」
再び沈黙が落ちた。
一人の強大な魔法使いなら、まだ想像できる。
だが今回起きたことは、一人で説明できる規模ではない。
「何人いる?」
国王が尋ねた。
誰も答えられなかった。
国王は苦笑する。
「分からないことばかりだな」
「はい。ただ、分かったこともあります」
宰相が消えた者たちの一覧を見る。
「無差別ではありません」
「ああ」
国王も頷いた。
「なら、民の消失も同じように考えるべきか」
内務官が別の報告書を開いた。
「民については様子が違います。争った形跡がほとんどありません」
村は焼かれていない。
家も壊されていない。
城門も破られていない。
大量の血痕もない。
何千万人もの人間を強制的に連れ去ったとは考えにくかった。
財務官が呟く。
「自分から行った……?」
「その可能性が高いでしょう」
国王が尋ねる。
「では、なぜ行った?」
今度は誰もすぐに答えなかった。
重い税。
奴隷制度。
領主による搾取。
役人の腐敗。
訴えても届かない声。
貧しい農村。
思い当たるものが多すぎた。
宰相が静かに言った。
「選べなかったから、残っていただけなのかもしれません」
「そして、選べるようになった」
「おそらく」
どこへ行ったのか。
誰が選択肢を与えたのか。
それすらまだ分からない。
だが結果は目の前にある。
国王は窓の外を見た。
「ならば、どうやって国を残すかを考える前に、答えを出さねばならんな」
「何にでしょう?」
「なぜ民は、この国を選ばなかったのかだ」
残された者たちは、ようやく原因と結果を繋ぎ始めていた。
クリスタリア王国では、その後も会議が続いた。
だが、議題は変わっていた。
どうすれば以前の国家を維持できるのか。
それを考える者はいなくなっていた。
「民がこの国を選ばなかった理由を、一つずつ確認しよう」
国王の言葉に、宰相が資料を広げる。
「まず税です」
「重かったな」
「はい。特に農村部では、凶作でも税率を変えていません」
財務官が続けた。
「地方領主による上乗せもありました。王宮で把握していた以上の負担を課されていた地域があります」
「奴隷制度は?」
「それも大きいでしょう」
国王は目を閉じた。
犯罪者だけが選別されて消えた。
その中には、奴隷売買で利益を得ていた者が大勢いた。
偶然とは考えにくい。
「我々は知らなかった、では済まんな」
宰相が頷く。
「知らなかったこと自体が、統治できていなかった証拠でしょう」
「ああ」
誰か一人に責任を押しつけても意味はない。
悪事を働いた者はすでにいない。
残った者たちが考えるべきなのは、その悪事を許した仕組みだった。
軍務官が口を開く。
「兵士たちの話も聞きました」
「何と言っていた?」
「国を憎んでいる者ばかりではありません」
国王が顔を上げる。
「そうなのか?」
「はい。ただ、家族を探しに行くことと軍に残ることを比べれば、家族を選ぶ。それだけだと言っていました」
「……選んだのか」
「はい」
国王は小さく頷いた。
民も同じだったのだろう。
国を憎んだから出ていった者もいる。
逃げるしかなかった者もいる。
だが、全てを一つの理由で括る必要はない。
選べるようになった。
そして、それぞれが自分にとって必要なものを選んだ。
「なら、我々も選ぶべきだな」
国王が言った。
宰相が尋ねる。
「何をでしょう」
「この国を残すのか。それとも終わらせるのかだ」
財務官が準備していた資料を机へ置いた。
「存続させることは可能です」
「可能なのか?」
「規模を大幅に縮小すれば。ただし、王宮、軍、行政を維持するため、残った民から税を徴収する必要があります」
「どれほどだ」
数字が示された。
国王はしばらく眺めた。
「これでは何のために国を残すのか分からんな」
「私もそう思います」
宰相も資料を見る。
「民が減ったから、残った民一人あたりの負担を増やす。それでは、さらに人がいなくなるでしょう」
「そして税収が減る」
「また負担を増やす」
財務官が続けた。
「その繰り返しです」
国王は資料を閉じた。
「終わらせよう」
誰も驚かなかった。
「クリスタリア王国を清算する」
静かな決定だった。
王冠を奪われたわけではない。
敵軍に玉座を追われたわけでもない。
自分たちで調べ、気付き、選んだ。
「国庫から未払いを全て清算する」
「はい」
「国有財産を整理。残った民が使用している土地や建物の権利を確定する」
「承知しました」
「行政記録は保存する。出生、婚姻、相続、土地所有。国がなくなった後も必要になる」
宰相が頷く。
「王家の財産は?」
「私有財産だけ残す。国のものを持ち出す理由はない」
国王は少し考えた。
「それが終われば、私もただの人間だ」
軍務官が笑った。
「何をなさいます?」
「それをこれから考える」
国王も笑った。
クリスタリア王国の清算開始は、周辺国にも伝わった。
アルカディア王国。
ヴァルフレア王国。
セレスティア王国。
ディルムント王国。
どの国でも、すでに同じ議論が始まっていた。
真似をしたわけではない。
数字を確認すれば、似た答えになる。
国王たちは自国の現状を調べた。
なぜ民がいなくなったのかを考えた。
消えた者と残った者の違いを調べた。
そして、自分たちが何を選ぶのかを考えた。
数週間後。
二十カ国全てが国家清算へ向けて動き始めた。
王族だからといって、特別な行き先が用意されるわけではない。
貴族も同じだった。
役人も兵士も、自分の次の生活を自分で決める。
国に残る者。
別の土地へ向かう者。
商人になる者。
冒険者を目指す者。
家族を探しに行く者。
そして、かつて王だった者も例外ではなかった。
クリスタリア王国の国王は、最後の書類へ署名した。
王冠を机へ置く。
「終わったな」
宰相だった男が答える。
「はい」
「さて」
元国王は立ち上がった。
「これからどうする?」
「それを私に聞かれても困ります」
二人は顔を見合わせて笑った。
国を失った。
だが、人生を失ったわけではない。
自分で選べるものが、まだ残っている。
こうして二十の王国は、戦争で滅ぼされることなく、自ら歴史を閉じていった。




