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戦わずに世界を変えた男――教育と物流で“循環国家”を作ったら、いつの間にか大陸が一つになっていた  作者: 慈架太子


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181/311

181 ガルテェニカ王国

王国騎士団長アイクは、訓練場に二十人の若手騎士を集めていた。


男性騎士はアギト、ポール、ボーデン、スペンサー、パトリック、チェース、ブレンドン、ジェームソン、シェーン、コルネリズ。


女性騎士はアーウェン、ジェーン、ローラ、ビィナ、キラ、リア、アンナ、シンディ、ケイトリン、ギーナ。


アイクは二十人を見渡してから口を開いた。


「大陸西部には中小規模の国が五十ある。調査では、すべて独裁国家、略奪国家、選民思想国家のいずれかだ」


騎士たちの表情が引き締まった。


「先日の三国、ゼノ・バルト帝国、灰塵の荒野ヴォルガ、神聖アーリア王国と似た国だと思えばいい。統治者は人類の敵だ。だが、そこで暮らす国民は違う」


アイクは机の上に広げられた大陸地図を指した。


「国民の亡命を促せ。可能なら国そのものも潰してこい」


何人かが顔を見合わせた。


「ただし武力行使は禁止だ」


アギトが首を傾げる。


「国を潰すのに、戦わないんですか?」


「戦う必要があるのか?」


アイクは逆に問い返した。


「独裁、略奪、選民。それでしか成立しない国なら、民が離れれば勝手に崩れる。お前たちが滅ぼす必要はない。自滅を促せ」


なるほど、とアギトは思った。


「出発前に新しい超能力を覚醒させる。ソートグラフィー、テレポーテーション、サイコメトリー、ポストコグニション、クレヤボヤンス、クレアオーディエンス、リモート・ビューイング、ステルスだ。調査内容は端末に記録しろ」


こうして二十人の若手騎士に、新たな任務が与えられた。


          ◇


二十人は五人ずつ四班に分かれた。


最初の調査対象はガルテェニカ王国、サンマウ王国、ヴェロン王国、ヴァレキフ王国。


それぞれの班が別の国へ入り、ステルスで姿を隠しながら調査を開始した。


俺、アギトはポール、ボーデン、アーウェン、ジェーンとともに、ガルテェニカ王国の街中にいた。


五人ともステルスを使っているため、街を歩く人間から俺たちの姿は見えない。


それにしても妙な街だった。


奴隷が多い。


貴族らしい男が五人から十人ほどの奴隷を引き連れて歩いている。


商人も同じだった。


それだけならまだ分かる。


だが、普通の平民らしい者まで一人か二人の奴隷を連れている。


索敵と鑑定を使いながら街を歩いているうちに、おおよその割合まで分かってきた。


自由民一人に対して、奴隷がおよそ百人。


「多すぎるだろ……」


街の外れには大きな闘技場があった。


リモート・ビューイングで中を確認する。


戦闘奴隷が剣を持たされていた。


二人が向かい合い、観客の歓声の中で殺し合っている。


片方が倒れると歓声がさらに大きくなった。


俺は無言で端末へ記録した。


街へ戻る。


今度は奴隷市場を調べた。


一軒や二軒ではない。


そこら中にある。


売られている奴隷も人間だけではなかった。


獣人、エルフ、ダークエルフ、魔族、ドワーフ。


年齢も性別も関係ない。


俺の前を、十人ほどの奴隷を連れた偉そうな男が歩いていた。


奴隷たちは俯き、黙って男の後ろを歩いている。


少し考えた。


別に、この男に奴隷が必要な理由も見当たらない。


だったらいいか。


十人をまとめてアイテムボックスの保護空間へ収納した。


数歩進んだ男が振り返る。


「……おい?」


誰もいない。


「どこへ行った!」


男が慌てて周囲を見回している。


知らねえよ。


俺はそのまま奴隷市場へ向かった。


檻の中にいた奴隷を保護空間へ移す。


百人ほど保護して、次の市場へ向かう。


二軒目。


三軒目。


四軒目。


五軒目。


気づけば五百三十人になっていた。


「奴隷が消えた!」


「何が起きている!」


「探せ!」


あちこちで奴隷商が騒ぎ始めた。


知らねえよ。


念話で仲間に連絡する。


『五百三十人保護した。森へ行こう』


『分かったわ』


アーウェンから返事があった。


俺たち五人は街を離れ、近くの森へ向かった。


人目につかない場所を選び、土魔法と木魔法で拠点を作っていく。


浴場。


トイレ。


食堂。


それから居住用の建屋。


完成した構造物すべてにステルスをかける。


これで外からは見えない。


準備を終え、保護空間から五百三十人を出した。


突然森へ移された奴隷たちは、不安そうに俺たちを見ている。


「安心しろ。売るつもりはない。まず怪我を治す」


五人でヒールバレットを放つ。


続けてピュリフィケーションバレット。


傷が塞がり、身体の汚れが消えていった。


「次は風呂だ」


浄化は済んでいる。


それでも湯に浸かった方が落ち着くだろう。


長い一日は、まだ始まったばかりだった。




五百三十人を男女に分け、順番に浴場へ案内した。


ピュリフィケーションバレットで浄化は済んでいる。それでも温かい湯に浸かれば気持ちは違う。


最初は戸惑っていた者たちも、湯から上がる頃には少しだけ表情が緩んでいた。


その間に、俺たち五人は食事を用意した。


フォレストボアの肉を厚めに切って石板で焼く。骨と腸は浄化して巨大な鍋へ入れ、水と調味料を加えて魔力でじっくり煮込んだ。


酵母パンも大量に焼く。


エールの樽も用意した。


風呂から上がった五百三十人を食堂へ案内したが、誰も料理に手を伸ばそうとしない。


「どうした?」


俺が尋ねると、一人の男がおそるおそる口を開いた。


「これは……私たちが食べてもよろしいのでしょうか?」


「そのために作ったんだ。好きなだけ食ってくれ」


それでも動かない。


俺はステーキを一枚取って食べた。


うまい。


「大丈夫だ。遠慮する必要はない」


一人がパンへ手を伸ばした。


一口食べ、次にホルモンスープを飲む。


その顔が変わった。


隣にいた女もパンを取った。


それをきっかけに、五百三十人が次々と席へ着いていった。


やがて食堂に食器の音が響き始める。


「肉はまだあるぞ。足りなかったら言ってくれ」


「おかわりしても……?」


「もちろんだ」


二皿目のステーキを受け取った男が嬉しそうに席へ戻っていく。


エールを飲んだ年配の男が、杯を見つめながら泣き始めた。


隣の男が黙って肩を叩いている。


理由を聞く必要はないと思った。


腹いっぱい食べてもらえばいい。


食事を終える頃には、五百三十人の顔から最初の緊張がかなり消えていた。


次は寝床だ。


十人一部屋で五十三部屋。


それぞれの床には水魔法で作った柔らかいマットレスを敷いてある。


「今日はここで寝てくれ」


一人の男が俺を見た。


「仕事は……何をすればよろしいのでしょうか?」


「今日は何もしなくていい」


男が困ったような顔をする。


「ですが、治療していただいて、風呂まで。それに食事もいただきました」


なるほど。


何もしないまま何かを与えられることに慣れていないらしい。


「気にしなくていい。何かしてもらうために助けたわけじゃない」


男が俺を見る。


「今日は風呂に入って、腹いっぱい食った。それで十分だ。ゆっくり休んでくれ。これからのことは明日、一緒に考えよう」


男はしばらく黙っていた。


やがて深く頭を下げた。


「ありがとうございます」


夜が更ける頃には、建屋から話し声も聞こえなくなった。


五百三十人が眠ったのを確認し、俺たちは鑑定を始めた。


名前。


性別。


年齢。


出身国。


奴隷歴。


確認した情報を端末へ記録していく。


ジェーンが端末を見ながら眉を寄せた。


「この人たち、戦争奴隷みたい」


「俺の方もだ」


ガルテェニカ王国との戦争で捕虜となり、そのまま奴隷にされた者。


戦争奴隷だった両親から生まれ、奴隷として育った者。


出身国も一つではなかった。


俺は街の方向へ索敵を広げた。


奴隷が集中している場所を探す。


すぐに巨大な反応が見つかった。


「……一万人以上いるな」


「一カ所に?」


ポールが聞いた。


「ああ」


別の場所にも同じ規模の反応がある。


さらにその先にも。


数えていく。


十。


二十。


五十。


まだ終わらない。


百を超えた。


「おい。まずいぞ」


四人が俺を見る。


「一万人以上の奴隷がいる建物が百以上ある」


アーウェンが目を見開いた。


「それだけで百万人を超えるじゃない」


「しかも、俺が索敵できた範囲だけだ」


しばらく誰も喋らなかった。


ポールが腕を組む。


「五人では無理だな。騎士団に応援を頼もう」


「それも必要ね」


アーウェンは眠っている五百三十人のいる建屋を見た。


「もう一つ。この人たちを教導するのはどう?」


俺はアーウェンを見る。


「五百三十人を?」


「ええ。魔力操作と魔力循環から教えるの。魔法やアイテムボックスを使えるようになれば、保護する側にも回れるでしょう。もちろん、本人たちが望めばだけど」


ボーデンが頷いた。


「二つともやればいい。応援を要請して、俺たちはこの五百三十人を教導する」


「そうしよう」


俺はアイク団長へ念話をつないだ。


『団長、アギトです。現状を報告します』


奴隷市場と闘技場。


五百三十人を保護したこと。


一万人以上を収容している施設が百以上あること。


そして、本人たちが望むなら五百三十人を教導し、保護活動を手伝ってもらいたいこと。


確認した事実と五人で考えた案を伝えた。


『分かった』


アイク団長は短く答えた。


『応援はこちらで手配する。現地はお前たちに任せる』


『了解しました』


念話が切れた。


俺は四人を見る。


「応援は来る。まず明日、五百三十人に話そう」


教導を受けるか。


俺たちを手伝うか。


それとも別の道を選ぶか。


決めるのは彼ら自身だ。


俺たち五人は、そのためのスケジュールを組み始めた。




翌朝。


俺たち五人が食堂へ向かうと、五百三十人のほとんどがすでに起きていた。


昨夜とは表情が違う。


まだ不安は残っているようだが、少なくとも突然何かを命令されると思って身構えている様子は薄れていた。


朝食は酵母パン、フォレストボアの肉と野菜を魔力で煮込んだスープ、それに果実水を用意した。


全員が食事を終えるのを待ってから、俺は前に立った。


「まず話しておきたい。俺たちはアルデバラン王国の騎士だ」


ざわめきが起きた。


当然だろう。


ガルテェニカ王国の人間ですらない。


「この国を調査するために来た。そこで奴隷市場や闘技場を見た。昨日、お前たちを連れてきたのは俺たちの判断だ」


一人の男が手を上げた。


「私たちは……これからどうなるのでしょうか?」


「それを今から決めてもらう」


男が首を傾げた。


「俺たちが決めるんじゃない。お前たち自身が決める」


戸惑った顔が並んだ。


予想していた反応だった。


長く奴隷として生きてきた者に、いきなり好きにしろと言っても困るだけだ。


俺は続けた。


「いくつか選択肢を用意する。アルデバラン王国への亡命を希望するなら受け入れを要請する。故郷へ帰りたい者がいるなら、それも調べる。今すぐ決める必要はない」


表情が少しずつ変わっていく。


「それと、俺たちはこれから、この国にいる奴隷を保護していくつもりだ」


今度は大きなどよめきが起きた。


「昨日調べた限り、一万人以上の奴隷がいる施設だけで百以上あった」


誰かが息を呑んだ。


「五人では足りない。騎士団へ応援を要請した。それとは別に、お前たちにも一つ提案がある」


アーウェンが俺の横へ出た。


「私たちは皆さんに魔法を教えることができます」


何人かが顔を見合わせた。


「魔法……?」


「ええ。魔力操作、魔力循環から始めます。六属性の魔法、アイテムボックス、治療や浄化、それ以外の能力も覚えられる可能性があります」


ざわめきが止まらない。


アーウェンは急かさず待った。


「覚えたあと、私たちの保護活動を手伝ってくれる人がいれば助かります。でも、手伝うことを条件に教えるわけではありません。教導だけ受けても構いません」


俺は頷いた。


「やりたい奴だけでいい」


しばらく沈黙が続いた。


最初に手を上げたのは、昨夜、仕事をしなくていいのかと尋ねてきた男だった。


「私は……覚えたいです」


「分かった」


「そして、できるなら手伝いたい」


今度は別の場所から手が上がった。


「私も」


さらに一人。


また一人。


やがてあちこちで手が上がり始めた。


全員ではない。


それでいい。


「今決められない奴は、後でいいからな」


俺が言うと、何人かが安心したように息を吐いた。


その日の午前中から教導を始めた。


最初は魔力操作。


自分の中にある魔力を感じ、意識して動かす。


次に魔力循環。


俺たち五人が五百三十人の間を歩きながら、一人ずつ状態を確認していく。


「力む必要はない」


「そう。そのまま身体の中を回す感じだ」


覚醒する速度には個人差があった。


だが、一人が成功すると周囲の空気が変わった。


「できた……」


若い獣人の男が、自分の手を見つめていた。


「身体の中を何かが動いてる」


「それが魔力だ」


隣にいた女が目を閉じる。


しばらくして、その女も目を開いた。


「私も……分かります」


そこから早かった。


成功した者が隣の者へ感覚を伝え始めた。


俺たち五人だけが教師ではなくなっていく。


昼前には、五百三十人の大半が魔力操作と魔力循環の感覚を掴んでいた。


ポールが笑った。


「これなら予定より早そうだな」


「ああ」


俺は周囲を見る。


昨日まで奴隷市場の檻に入っていた者たちが、自分の魔力を確かめながら互いに教え合っている。


午後から六属性の基礎へ進むことにした。


そのとき念話が届いた。


『アギト、聞こえるか』


アイク団長だった。


『はい』


『応援を出した。王国騎士団だけではない』


「え?」


『話を聞いた連中が、行きたいと言い出してな』


嫌な予感がした。


『何人ですか?』


少し間があった。


『一万人だ』


俺は黙った。


五人で始めた調査だった。


どうやら、ずいぶん大きな話になってきたらしい。




午後の教導を始めようとしていたとき、森の拠点に次々と人影が現れた。


時空間魔法の転移魔法だ。


百人、千人と増えていく。


俺たち五人と、保護した五百三十人しかいなかった森が、あっという間に王国騎士団の隊員たちで埋まった。


一万人。


本当に一万人も応援に来たらしい。


先頭にいた男が俺を見つけて歩いてきた。


「アギト」


「マイク先輩」


何度も訓練で世話になった先輩だった。


俺が頭を下げると、マイク先輩は俺の肩を叩いた。


「アギト、お前がリーダーだ。俺たちを好きに使え」


「そんな、先輩方に命令なんて……」


思わず恐縮した。


周囲を見れば、俺より経験の長い騎士ばかりだ。


マイク先輩は首を横に振った。


「いいか。俺たちは応援だ。正式に派遣されたのはお前たち二十人だ。現地の指揮権はお前たちにある」


「ですが、一万人も……」


「人数は関係ない。昨日から現地を調査しているのはお前たちだ。俺たちが途中から来て勝手に指揮を執ったら混乱する」


それなら俺が遠慮する方が迷惑か。


「分かりました。お願いします」


「それでいい」


俺は昨日から記録していた端末を取り出した。


説明しようとすると、マイク先輩が手を上げる。


「昨日のお前の報告は全員読んできた」


「全員ですか?」


「ああ」


周囲の先輩たちも端末を持っていた。


奴隷市場。


闘技場。


多数の戦争奴隷。


五百三十人を保護したこと。


一万人以上の奴隷がいる施設を百以上確認したこと。


その五百三十人への教導を始めたこと。


すべて共有されている。


ありがたい。


これなら説明に時間を使わなくて済む。


「では、百人ずつ百班に分かれてください」


一万人がすぐに動き始めた。


応援に来た隊員たちは全員、索敵、鑑定、ステルス、アイテムボックスを使える。


ソートグラフィー、テレポーテーションも習得済み。


さらに時空間魔法の転移魔法も使える。


どの班でも、調査から記録、保護、帰還まで単独で行える。


俺は端末に地図を表示した。


「一万人以上を収容している施設を百以上確認しています。まず確認済みの百施設を同時に調査してください」


「奴隷商や警備兵はどうする?」


マイク先輩が聞いた。


「何もしません。今回の任務では武力行使は禁止されています。ステルスで入って、奴隷だけ保護してください」


「了解」


「帳簿や記録があればソートグラフィーで残してください。出身国や奴隷になった経緯を確認するために必要です」


百班から次々と了解の返事があった。


問題は保護した後だった。


一度に百万人規模が来る可能性がある。


「先に受け入れ場所を作ろう」


マイク先輩の言葉で、隊員たちの一部が動いた。


土魔法による魔法建築が始まる。


居住用の建屋。


浴場。


トイレ。


食堂。


厨房。


治療に使う建屋。


一万人が手分けして作れば早い。


広大な森の中に、巨大な拠点が次々と出来上がっていく。


すべての構造物にステルスをかけた。


外から見れば、そこには森が広がっているだけだ。


準備が整った。


俺は先輩たちを見渡した。


まだ少し緊張する。


だが、任された以上はやる。


「保護作戦を開始してください」


「了解!」


百班が一斉に転移した。


すぐに念話が届き始める。


『第一班、一万二千三百人確認』


『第六班、一万百人』


『第十九班、一万一千四百人。戦争奴隷多数』


『第三十二班、帳簿を発見。ソートグラフィーで記録する』


報告を端末へまとめていく。


やがて内容が変わった。


『第一班、保護完了』


『第六班、完了』


『第十九班、完了』


次々と奴隷が保護空間へ移されていく。


戦闘は起きていない。


建物も壊していない。


警備兵にも触れていない。


ただ奴隷だけが消える。


リモート・ビューイングで街を見ると、すでに大騒ぎになっていた。


奴隷商が走り回り、兵士が門を閉めている。


俺はその様子を端末に記録した。


門を閉じても意味はない。


誰も門を通っていないのだから。


やがて百班が次々と拠点へ戻ってきた。


保護空間から大勢の人々が出てくる。


昨日保護した五百三十人が、その光景を見ていた。


一人の男が俺のところへ来る。


「アギトさん」


「どうした?」


「私にも手伝わせてください」


男は新しく保護された人々へ視線を向けた。


「昨日、私たちがしてもらったことを、この人たちにもしてあげたいです」


その後ろにも何人もの姿があった。


俺は頷いた。


「分かった。できることから頼む」


助けられた者が、今度は助ける側へ回り始める。


俺たち五人で始めた調査は、もう五人だけのものではなかった。


一万人の保護作戦が始まった。





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