173 表彰
結婚斡旋ギルドが設立されると、初代グランドマスターとなったイメルダ・シュトラウス伯爵夫人は、すぐに職員の育成を始めた。
イメルダ自身、六属性魔法に加えて鑑定、教導、アイテムボックス、飛行、索敵を持っている。
中でも、ここで最も重要だったのは教導だった。
「相手の条件だけを見てはいけません」
大講堂に集まった職員たちへ、イメルダが語りかける。
「年齢、職業、収入、種族、居住地。それらは候補を探すための情報です。婚姻を決めるための答えではございません」
本人の意思を確認する。
どのような家庭を築きたいのか。
仕事を続けたいのか。
子供を望むのか。
相手に何を求めるのか。
生活習慣に大きな違いはないか。
そして何より、一緒に暮らしたいと思える相手なのか。
イメルダは自分が千組もの婚姻をまとめる中で培ってきた経験を、惜しむことなく職員へ教導していった。
「私たちが決めるのではございません。最後に選ぶのは、ご本人たちです」
教導された職員が、さらに新しい職員を育てる。
この世界では婚姻する年齢が早い。
王国には六千六百万人もの国民が暮らしている。
千人規模で始まった結婚斡旋ギルドだったが、職員はいくら増えても困らなかった。
◇
王国を包む結婚ブームは、新貴族たちの背中も押していた。
もっとも、彼らには新しい相手を探す必要などない。
エースとアリー。
レビンとアレクサ。
トレノとゴルディ。
スレットとナターシャ。
ベロニカとマックス。
ジリアンとリッキー。
エミリーとトレイ。
ハーレイとシュー。
アレッタとチャド。
そしてイプシオとアリシア。
すでに十組の男女が、それぞれパートナーとして関係を築いていた。
領地を与えられてからは忙しかった。
ダンジョンの活用。
領民への教導。
インゴットの生産。
ゴーレム馬車の製造。
農地の造成。
紡織、製糖、酒造、畜産。
次々と産業を立ち上げ、領民の生活を安定させることを優先してきた。
自分たちの婚姻を後回しにしていただけだった。
「俺たちも、そろそろ正式に結婚するか」
イプシオが言った。
アリシアが笑う。
「やっと言ったわね」
周囲から笑い声が上がった。
◇
十組の話を聞いたイメルダは、当然のように名乗りを上げた。
「私が仲人を務めさせていただきます」
「相手はもう決まってるぞ?」
「存じております」
イメルダが微笑む。
「だからこそ、あとは私がお世話すればよろしいでしょう?」
双方の意思を確認する。
婚姻に必要な手続きを整える。
日取りを調整する。
領主同士の婚姻後の生活についても相談する。
イメルダは嬉々として動き回った。
そして、もう一組。
エミリアとガレスである。
二人はすでに婚約していた。
「ガレス様。エミリア様」
「はい」
「お二人も、この機会に正式に婚姻なさってはいかがです?」
ガレスとエミリアが顔を見合わせる。
「俺は構わない」
「私もよ」
「では決まりですわね」
イメルダの動きは早かった。
こうして十組の新貴族たちに加え、ガレスとエミリアも正式に夫婦となった。
◇
婚姻の祝いには、二十七人の貴族冒険者たちも集まった。
「おめでとう、イプシオ」
「ありがとうございます」
ガイルが笑いながら肩を叩く。
「ガレスも、ようやくだな」
「お前に言われたくない」
再び笑い声が起きた。
アレクサンドも、アンジェラも心から祝福していた。
アルタリア帝国を改革するために共に動いた者たちが、それぞれ家庭を築いていく。
祝いの席は遅くまで賑わった。
◇
その頃、王宮では一つの報告書がオーキスへ提出されていた。
「千組?」
「はい」
クレインが答える。
「結婚斡旋ギルド設立以前に、イメルダ伯爵夫人が個人でまとめ上げた婚姻です」
オーキスが資料を見直した。
「一人で千組か」
「はい。双方の意思を確認し、仲介し、成立させています」
ギルドの実績ではない。
イメルダ個人の功績だった。
その実績があったからこそ、バイオレットは結婚斡旋ギルドの設立を後押しし、初代グランドマスターにイメルダを据えたのである。
「ならば、きちんと報いねばならんな」
オーキスは表彰を決めた。
◇
表彰の日。
王宮で行われる式典が、投影魔法によって王国各地の大空へ生中継された。
風魔法による拡声で、音声も王国中へ届く。
オーキスの前へイメルダが進み出た。
「イメルダ・シュトラウス伯爵夫人」
「はい」
「そなたは一人で千組もの縁を繋ぎ、新たな家庭の成立に尽力した。その功績を称え、王国より表彰する」
「身に余る光栄にございます」
イメルダは深く頭を下げた。
王宮を大きな拍手が包んだ。
その功績は教導管理システムへ記録された。
そして結婚斡旋管理システムにも。
**《イメルダ・シュトラウス伯爵夫人――千組の婚姻成立に寄与。その功績により王国功労表彰》**
一人の世話焼き伯爵夫人が積み重ねた仕事が、王国の正式な功績として刻まれた。
イメルダ・シュトラウス伯爵夫人が、個人で千組もの婚姻をまとめ上げた功績によって表彰されてから、まだそれほど時間は経っていなかった。
だが、結婚斡旋ギルドはすでに別物と言っていいほど成長していた。
最初は千人規模だった職員も、今では二万人を超えている。
理由は単純だった。
必要とする者が多かったのである。
王国には六千六百万人もの国民がいる。
人間だけではない。
獣人、エルフ、ダークエルフ、ドワーフ、魔族。
様々な種族が同じ王国で暮らしている。
飛行魔法が普及したことで、住んでいる場所の違いも大きな障害ではなくなった。
結婚斡旋管理システムによって、別の領地に暮らす者同士でも候補を探せる。
双方が望めば、飛行魔法で会いに行けばいい。
それでも最後に必要になるのは人だった。
◇
「希望条件が一致したからといって、すぐに紹介してはいけません」
イメルダは今日も職員を教導していた。
「必ず双方の意思を確認してください。そして会った後にも話を聞くこと」
「はい!」
二万人もの職員を、イメルダ一人が直接育てたわけではない。
最初に教導された職員が、次の職員を育てた。
その職員が、さらに次を育てる。
教導が連鎖したのである。
経験も共有される。
こんな組み合わせは上手くいった。
こういう場合には慎重に進める。
異種族間では生活習慣の違いを先に確認する。
貴族と平民なら、身分だけでなく婚姻後の生活について十分に話し合わせる。
イメルダ個人の経験から始まったものが、組織の知識へ変わっていった。
「私より上手な方が出てきても構いません」
イメルダは笑う。
「むしろ、そうなっていただかなくては困ります」
グランドマスターがいなくても仕事が回る。
それが組織だった。
◇
そして数字が伸び始めた。
一万組。
三万組。
五万組。
十万組。
相談件数ではない。
正式に婚姻した夫婦の数だった。
結婚斡旋ギルドを利用しなくても、王国全体で結婚を考える者が増えている。
友人が結婚する。
兄弟が結婚する。
同僚が結婚する。
領主まで結婚する。
それを見て、自分たちも家庭を持とうと考える。
王国を包んだ結婚ブームは、さらに大きくなっていった。
そしてついに――。
結婚斡旋ギルド設立後に成立した婚姻が、二十万組を超えた。
◇
その報告が王宮へ届いた。
クレインが資料を読み上げる。
「結婚斡旋ギルドの職員数、二万人を突破しております」
「二万人か」
オーキスが驚く。
「婚姻成立数は?」
「二十万組を超えました」
オーキスが黙った。
以前、イメルダを表彰したのは個人で千組の婚姻をまとめた功績だった。
それだけでも十分に大きな成果だった。
しかし今度は違う。
一人の能力が、一つの組織になった。
千人を育て。
その千人がさらに人を育て。
今では二万人が王国各地で働いている。
そして二十万組もの家庭が生まれた。
「……また表彰することになるな」
オーキスが呟いた。
クレインが僅かに笑った。
「前回から、それほど経っておりませんが」
「功績を立てる速度までこちらの都合に合わせてはくれんだろう」
「仰る通りです」
オーキスは決裁書へ署名した。
◇
再び表彰の日が訪れた。
王国各地の大空へ、巨大な映像が投影される。
王都。
農村。
新貴族領。
亜人たちの町。
魔族街。
各地で人々が空を見上げた。
風魔法による拡声が始まる。
映し出されたのは王宮だった。
「またイメルダ伯爵夫人だ」
「この前も表彰されてなかった?」
「今度は結婚斡旋ギルドだって」
そんな声が各地で上がる。
王宮ではイメルダがオーキスの前へ進み出た。
「イメルダ・シュトラウス伯爵夫人」
「はい」
「先日は、そなた個人が千組の婚姻をまとめた功績を称えた」
オーキスが一度言葉を切った。
「そして今回は、そなたが初代グランドマスターを務める結婚斡旋ギルドが、設立から僅かな期間で二万人を超える職員を育成し、二十万組を超える婚姻を成立させた」
王国中へ、その言葉が響いた。
「一人の力を組織へ変え、多くの者を育て、その者たちがさらに国民の縁を繋いだ。この功績を称え、再び表彰する」
大きな拍手が起こった。
「身に余る光栄にございます」
イメルダは深く頭を下げる。
その姿を、シュトラウス伯爵も誇らしそうに見つめていた。
世話焼きだった妻が、今では二万人を率いるグランドマスターである。
鼻が高かった。
表彰の記録は教導管理システムへ保存された。
結婚斡旋管理システムにも同じ記録が残る。
**《イメルダ・シュトラウス伯爵夫人――結婚斡旋ギルド初代グランドマスター。婚姻成立二十万組突破の功績により、二度目の王国功労表彰》**
最初は、一人の世話焼きから始まった。
だが今では、その世話焼きを二万人が受け継いでいた。
イメルダ・シュトラウス伯爵夫人の功績は、二度目の表彰でも止まらなかった。
むしろ結婚斡旋ギルドは、そこからさらに勢いを増していった。
二万人を超えた職員たちは、王国各地で婚姻を望む男女を支えている。
しかも職員は、ただ相手を紹介するだけではない。
本人の希望を聞く。
相手との生活を考える。
問題があれば教導する。
すでにパートナーがいる者には仲人を務める。
婚姻後の相談にも乗る。
イメルダが一人で行っていた仕事を、今では多くの職員が受け継いでいた。
結婚斡旋管理システムも活用される。
そして飛行魔法によって、領地の違いはほとんど障害にならない。
王都の女性と辺境の男性。
人間と獣人。
エルフと人間。
ダークエルフと魔族。
これまでなら出会う機会すらなかった男女が、互いを知るようになった。
◇
婚姻数は増え続けた。
二十万組。
五十万組。
百万組。
それでも勢いは止まらない。
結婚した夫婦から紹介されて、兄弟や友人が登録する。
職場単位で相談に来る者まで現れた。
結婚することそのものが目的ではない。
生活が安定した。
仕事がある。
食べ物がある。
住む家もある。
医療も衛生環境も整っている。
未来を考える余裕が生まれたからこそ、家庭を持とうとする者が増えていた。
やがて結婚斡旋管理システムに、とてつもない数字が表示された。
婚姻成立――一千万組。
報告を受けた職員たちが静まり返った。
「……一千万?」
「はい」
「間違いではありませんか?」
「確認しました。重複もありません」
その報告を聞いたイメルダ自身も、しばらく言葉が出なかった。
「随分……増えましたわね」
最初は千組だった。
自分一人で縁を繋いだ。
それが二十万組になった。
そして今、一千万組である。
◇
変化は婚姻数だけではなかった。
王国各地で子供が生まれていた。
産院。
町。
農村。
新貴族領。
亜人たちの集落。
魔族街。
いたるところで赤子の泣き声が聞こえるようになった。
王国の人口統計にも、その変化が現れた。
六千六百万人。
それまで王国が抱えていた人口である。
その数字が六千七百万人を超えた。
六千八百万人。
六千九百万人。
そして――。
「陛下」
クレインが報告書を持ってきた。
「人口が七千万人を超えました」
オーキスが顔を上げる。
「もうか?」
「はい」
オーキスは報告書を読む。
婚姻の増加。
出生数の増加。
移民や亡命者の定住。
様々な要因が重なっている。
その中でも結婚斡旋ギルドが作った流れは大きかった。
オーキスが椅子へ背を預ける。
「……また表彰か?」
クレインの口元が僅かに緩んだ。
「功績を考えますと」
「そうなるな」
◇
そして三度、王国の大空に王宮が映った。
国民たちは、もはや何が始まるのか知っていた。
「あれ?」
「また表彰式?」
「誰だ?」
映像にイメルダが現れる。
少しの沈黙。
「またイメルダ伯爵夫人じゃないか!」
あちこちで笑い声が起きた。
「この人、何回表彰されるんだ?」
「この前も見たぞ」
「今度は何をやったんだよ」
呆れているわけではない。
親しみの混じった笑いだった。
何度も大空へ映し出されるうちに、イメルダの顔を知らない国民の方が少なくなっていた。
◇
王宮では、オーキス自身も僅かに笑っていた。
「イメルダ・シュトラウス伯爵夫人」
「はい」
「またそなたを表彰することになった」
王宮にも小さな笑いが起きた。
イメルダまで微笑む。
「光栄にございます」
「そなたが初代グランドマスターを務める結婚斡旋ギルドは、一千万組もの婚姻を成立させた」
王国中が静かになった。
一千万組。
改めて王の口から聞くと、その数字の大きさが分かる。
「さらに王国の人口は、六千六百万人から七千万人を超えた」
オーキスはイメルダを見る。
「もちろん、これは一人だけの功績ではない」
職員がいる。
家庭を築いた国民がいる。
社会を支える者たちがいる。
「だが、その大きな流れを作った者の一人が、そなたであることも間違いない」
オーキスが表彰状を授けた。
「その功績を称え、王国より再び表彰する」
「ありがたく頂戴いたします」
イメルダは深く頭を下げた。
◇
その姿を見ながら、王国各地で拍手が起きていた。
「世話焼き伯爵夫人!」
「次はいつ表彰されるんだ?」
「もう表彰されるたびに見るのが楽しみになってきたぞ」
笑い声が上がる。
だが、その人気は絶大だった。
貴族だからではない。
王妃から役目を与えられたからでもない。
自分たちの息子。
娘。
兄弟。
友人。
あるいは自分自身。
その縁を繋いでくれた人だったからである。
世話焼き伯爵夫人。
イメルダ・シュトラウス。
その名前は、王国中で親しみを込めて呼ばれるようになっていた。
イメルダ・シュトラウス伯爵夫人の名は、すでに王国内だけのものではなくなっていた。
結婚斡旋ギルド。
一千万組もの婚姻。
種族を問わず、身分だけでも判断しない。
本人の意思を尊重し、必要なら教導し、互いが納得してから縁を繋ぐ。
その仕組みについて、外国から問い合わせが届くようになった。
「我が国にも支部を作ってほしい」
「異種族間の婚姻について教導を受けたい」
「結婚斡旋管理システムを利用できないだろうか」
声は一つの国からではない。
大陸各地から届いた。
特に強く要望したのが、ミストバルカス公国だった。
◇
「公国だけで仕組みを作るより、結婚斡旋ギルドに来てもらった方がいい」
ミストバルカス公国から正式な要請が届いた。
職員の育成。
支部の設置。
結婚斡旋管理システムとの連携。
そして国境を越えた婚姻への対応。
この動きを知った他国や地域からも、次々と要望が届く。
問題になったのは、国境だった。
国内なら飛行魔法で自由に行き来できる。
だが国際結婚となれば事情が違う。
移住。
身分。
仕事。
それぞれの国の制度。
異なる文化や生活習慣。
国内の婚姻以上に、支援する組織が必要だった。
そこで動いたのが国際冒険者ギルドである。
「全面的に協力する」
回答は早かった。
国際冒険者ギルドには、大陸各地に拠点がある。
国境を越えて活動するための経験もある。
各地域の事情にも詳しい。
結婚斡旋ギルドが持つ教導と婚姻支援。
国際冒険者ギルドが持つ大陸規模の拠点網。
二つが結びついた。
◇
イメルダは職員たちを集めた。
「これまで私たちは、王国の中で縁を繋いできました」
大講堂には多くの職員がいる。
「ですが、結婚したい方が国境の向こうにいらっしゃるからといって、私たちが断る理由はございません」
職員たちが頷いた。
「ただし、国内と同じやり方をそのまま押しつけてはいけません」
国が違う。
種族が違う。
文化が違う。
家族についての考え方も違う。
「相手を理解することから始めてください」
イメルダの教導が始まった。
外国の制度。
地域ごとの生活習慣。
異種族間の婚姻。
移住を希望する場合の支援。
婚姻後も仕事を続けられる環境。
新たな知識が蓄積されていく。
◇
やがて正式な決定が下された。
国際結婚斡旋ギルドの設立。
王国で生まれた結婚斡旋ギルドを母体とし、国際冒険者ギルドが全面的に協力する。
最初に大きく動いたのはミストバルカス公国だった。
支部が開設される。
職員が教導を受ける。
その職員が新しい職員を育てる。
続いて別の国。
さらに別の地域。
大陸各地へ結婚斡旋ギルドの支部が作られていった。
国境を越えて縁が繋がる。
王国の人間と外国の獣人。
公国のドワーフと王国の人間。
エルフと魔族。
互いに望み、生活について話し合い、納得した者たちが婚姻していく。
国境は残っている。
国も残っている。
だが人の縁まで、国境で止める必要はなかった。
◇
国際結婚斡旋ギルド設立の報告を受けたオーキスは、しばらく黙っていた。
クレインが尋ねる。
「いかがなさいました?」
「いや」
オーキスは報告書を置いた。
「またなのかと思ってな」
クレインが僅かに笑う。
「またでございます」
「そうか」
オーキスも笑った。
「ならば表彰するしかあるまい」
◇
王国の大空に、再び王宮が映し出された。
「まただ!」
「イメルダ伯爵夫人だろ?」
「まだ何も言ってないぞ」
「どうせそうだ!」
各地で笑い声が上がった。
そして映像にイメルダが現れる。
「やっぱり!」
今度は王都だけではない。
国際冒険者ギルドの協力によって、式典の映像は外国にも届けられていた。
ミストバルカス公国。
各国の都市。
亜人たちが暮らす地域。
大陸中の人々が、同じ表彰式を見ていた。
「イメルダ・シュトラウス伯爵夫人」
「はい」
オーキスが語る。
「そなたが始めた婚姻支援は王国の国境を越えた。国際冒険者ギルドの協力を得て、今や大陸各地に支部が作られようとしている」
一度言葉を切る。
「人と人の縁を、国や種族の違いで断ち切らない。その仕組みを大陸へ広げた功績を称え、再び表彰する」
イメルダは深く頭を下げた。
「ありがたく頂戴いたします」
大陸各地から拍手が起こった。
◇
「この方に紹介してもらいたい」
「うちの町にも支部を作ってくれ」
「世話焼き伯爵夫人か。いい名前じゃないか」
外国でも、その呼び名が広がっていった。
国内だけではない。
大陸中からイメルダを称える声が続いた。
最初は、王妃バイオレットから頼まれて二十三人の英雄の縁談を世話しただけだった。
それが千組になった。
二十万組になった。
一千万組になった。
そして今度は国境まで越えた。
世話焼き伯爵夫人。
イメルダ・シュトラウス。
彼女の人気は、大陸規模で絶大なものになっていた。




