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戦わずに世界を変えた男――教育と物流で“循環国家”を作ったら、いつの間にか大陸が一つになっていた  作者: 慈架太子


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142 魔力循環を高速で回せ

三騎士団への教導は続いていた。


王宮の訓練場では、これまで聞いたこともなかった能力が次々と覚醒している。


その中でも、ライアンが担当する百人の教導は少し変わっていた。


訓練場には大小さまざまな石と鉄球、木箱が並べられている。


ライアンは百人を前にして声を上げた。


「魔力循環を高速で回せ!」


百人の騎士が一斉に魔力を循環させる。


すでに何度も繰り返してきた。


高速循環を維持したまま魔法を使うことにも慣れ始めている。


「もっと速く!」


魔力がさらに加速する。


ライアンは足元に置かれた石を指した。


「最初はグラビティだ」


重力。


物を重くする。


「難しく考えるな。あの石が重くなるところをイメージしろ」


一人の騎士が石へ意識を集中する。


魔力循環は止めない。


十キロほどの石。


それが二十キロ。


五十キロ。


さらに重くなる姿を思い描く。


「循環を落とすな!」


石が僅かに地面へ沈んだ。


「そのままだ!」


騎士がさらに集中する。


石の下から小さな音がした。


地面にめり込んでいる。


ライアンが笑った。


「覚醒したな。次!」


次々と騎士たちが石を重くしていく。


やがて訓練場のあちこちで地面が軋み始めた。


「解除も覚えろ! 重くするだけじゃ駄目だ!」


重力が戻り、石が元の重さへ戻る。


ライアンは次の教材を指した。


木箱だった。


「次はサイズ」


触れた生物以外の物体の大きさを自由に変える。


「触れろ」


騎士たちが木箱に手を置く。


「大きくなるところをイメージしろ」


魔力循環を高速で維持する。


一つの木箱がゆっくり膨らんだ。


「もっとだ!」


人が入れるほどになる。


別の木箱も大きくなる。


「今度は小さくしろ!」


巨大になった木箱が縮み始めた。


元の大きさを通り越し、手のひらに載るほどになる。


騎士たちから驚きの声が漏れた。


「遊ぶなよ!」


ライアンが笑いながら注意した。


「最後はテレポーテーションだ」


空気が変わった。


瞬間移動。


ライアンは訓練場の反対側を指す。


「向こうへ移動する」


一人の騎士が尋ねた。


「走らずに、ですか?」


「当たり前だ」


笑いが起きる。


「ここにいる自分と、向こうにいる自分をイメージしろ。途中はいらない」


ライアン自身の姿が消えた。


次の瞬間、訓練場の反対側に立っていた。


「こうだ」


百人の顔つきが変わる。


「魔力循環を高速で回せ!」


再び魔力が加速した。


「移動しているところを考えるな! 向こうにいる自分をイメージしろ!」


一人の姿が揺らいだ。


消える。


数メートル先に現れた。


本人が目を見開く。


「できた……」


「止まるな! もう一度!」


二度目。


今度は十メートル。


三度目はさらに遠くへ。


その頃、別の訓練場ではアレックスが百人を担当していた。


こちらで行われているのは超能力ではない。


属性魔法だった。


「魔力循環を高速で回せ!」


百人の魔力が巡る。


「六属性は忘れなくていい。そのまま新しい属性をイメージしろ」


アレックスが手を前へ出した。


「時空間属性だ」


何もない空間が僅かに歪む。


「空間を意識しろ。自分が立っている場所。向こう側にある場所。その二つを繋げる」


騎士たちが集中する。


「魔力循環を落とすな!」


一人の騎士の前で空間が揺れた。


アレックスがすぐに気づく。


「その感覚だ! 維持しろ!」


歪みが大きくなる。


「時空間属性を掴め!」


騎士の魔力が変化した。


アレックスが頷く。


「覚醒した。次は転移魔法だ」


訓練場を見ていたアレクサンドが静かに口を開いた。


「超能力と属性魔法には、似たことができるものがあるわ」


周囲の騎士たちが耳を傾ける。


「テレポーテーションと転移魔法もそう。でも、片方だけでいいとは考えないで」


アレクサンドは二つの訓練場を見る。


「両方できた方がいい。選択肢が広がるから」


そして騎士たちが高速で魔力を巡らせているのを確認した。


「魔力循環を高速で回すことを覚えたら、自習でも覚醒できるわ」


騎士たちの表情が変わる。


「魔法も超能力もスキルも、まだまだたくさんあるもの」


アレクサンドは僅かに笑った。


「もちろん、私たちが知らないものもね」


知っている能力だけが世界のすべてではない。


「だからイメージしながらやるのよ」


答えを教えてもらうだけではない。


自分で考える。


自分で試す。


そして、自分で新しい力を見つける。


教導とは、能力を与えることではなかった。


自分で学べる者を育てることだった。




アレクサンドの言葉を聞いた騎士たちは、すぐには訓練へ戻らなかった。


自習でも覚醒できる。


その言葉の意味を考えている者が多かった。


これまでは教師が能力を示し、その感覚を教導によって掴むことで覚醒してきた。


だが、それだけではない。


教師が知らない能力であっても、自分で考え、自分で試すことができる。


一人の騎士が手を上げた。


「アレクサンド侯爵、質問してもよろしいでしょうか」


「どうぞ」


「知らない能力を、どうやってイメージするのでしょう?」


アレクサンドは少し考えた。


「能力の名前から考えなくてもいいのよ」


「名前から?」


「ええ。最初に考えるのは、自分が何をしたいか」


アレクサンドは足元に落ちていた小石を指した。


「例えば、あの石をここへ持ってきたい」


小石が消える。


次の瞬間には、アレクサンドの手の中にあった。


「アポートね」


もう一度、小石が消えた。


今度は訓練場の端に現れる。


「これはアスポート。でも、最初から名前を知らなくてもいいでしょう?」


騎士が頷いた。


「壁の向こうを見たい。遠くの音を聞きたい。離れた場所へ行きたい。物を重くしたい。大きさを変えたい」


アレクサンドは自分の胸元を指した。


「魔力循環を高速で回しながら、その状態を強くイメージするの」


高速循環を維持する。


何をしたいのかを考える。


そして試す。


一度でできなければ繰り返す。


「教導スキルがあれば、きっかけを掴む手助けはできる。でも実際に覚醒するのは本人よ」


別の騎士が尋ねた。


「では、今回の教導が終わった後も自分たちで試せるのでしょうか?」


「もちろん」


アレクサンドは即答した。


「むしろ、やってほしいわ」


騎士たちの間に小さなどよめきが広がる。


「私たちが知っている魔法や超能力やスキルが、世界に存在するもののすべてだなんて誰にも分からないでしょう?」


アレクサンド自身も知らないものがある。


ガイルたちも同じだ。


まだ誰も発見していない能力が存在しても不思議ではない。


「だから自分で試すのよ。できなかったら別のイメージで試す。それでも駄目なら、また考える」


近くで聞いていたアイクが口を開いた。


「アレクサンド侯爵。つまり今回の教導は、能力を覚醒させて終わりではないということでしょうか」


「はい。むしろそこからです」


アイクが頷いた。


「自分たちで学び続けられるようにする」


「その通りです」


アレクサンドは騎士たちを見る。


「教師がいなければ成長できないままでは困るでしょう?」


その言葉に、アイクは小さく笑った。


「耳が痛い話です」


「団長がそれを言いますか?」


「団長だからこそです」


今度はアレクサンドも笑った。


それ以上の軽口は続かなかった。


訓練場では、ライアンの担当する百人がテレポーテーションの練習を再開している。


「距離を伸ばすぞ!」


ライアンの声が響いた。


最初は数メートル。


次は十メートル。


二十メートル。


騎士たちの姿が次々と消えては、離れた場所へ現れる。


「移動先を曖昧にするな!」


一人の騎士が目標地点を見る。


「魔力循環を落とすな! 向こうに立っている自分をイメージしろ!」


姿が消えた。


二十メートル先へ現れる。


「成功です!」


「なら戻ってこい!」


再び消える。


元の位置へ戻った。


ライアンが頷く。


「できたからって止めるな! 距離を伸ばせ!」


一方、アレックスが担当する百人も時空間属性の覚醒を続けていた。


「魔力循環を高速で回せ!」


百人の魔力が加速する。


「二つの場所を意識しろ! ここにいる自分と、向こう側にいる自分だ!」


一人の騎士の前で空間が僅かに揺れた。


「その感覚を逃すな!」


歪みが広がる。


その向こうに、訓練場の反対側が見えた。


「転移魔法へ繋げろ!」


騎士が一歩踏み出す。


姿が歪みの中へ消え、次の瞬間には反対側へ現れていた。


歓声が上がる。


「見物している場合じゃないぞ!」


アレックスが笑いながら声を張った。


「自分も覚醒させろ!」


再び百人が集中する。


アイクは二つの訓練場を見比べてから、アレクサンドへ尋ねた。


「アレクサンド侯爵。テレポーテーションと転移魔法、その両方を習得する意味は、やはり選択肢を増やすためでしょうか」


「それもあります」


「他にもございますか?」


「同じような結果を出せても、使っている力は違いますから」


アレクサンドはライアンとアレックスの訓練場を交互に見る。


「状況によって使いやすい方を選べる。それに、両方を知っていれば組み合わせた使い方を思いつくかもしれません」


「なるほど」


「今は誰も知らない使い方だってあるかもしれませんよ」


アイクは騎士たちへ視線を戻した。


覚醒した能力を使うだけではない。


そこから先を自分で考える。


それこそが今回の教導で得られる、最も大きなものなのかもしれなかった。


アレクサンドが声を張る。


「覚醒した人も魔力循環を止めないで!」


騎士たちが反応する。


「一つ覚えたくらいで満足しない! 自分で次をイメージして!」


高速の魔力循環が、再び訓練場を満たした。


教えられたことを覚えるだけの教導は、少しずつ終わろうとしていた。


これからは、自分たちで新しい力を探していく番だった。




教導開始から一週間が過ぎた。


王宮の訓練場では、朝から三騎士団の騎士たちが魔力循環を続けていた。


王国騎士団七百人。


魔導騎士団二百人。


近衛騎士団二百人。


合計千百人。


その中にはアイク、アッシュ、ロックウェルの三団長もいる。


教導を受ける側に、団長だからという例外はなかった。


そして一週間。


結果は想定を上回った。


千百人全員が、今回目的としていた能力への覚醒を果たしていた。


強化された索敵。


クレヤボヤンス。


クレアオーディエンス。


リモート・ビューイング。


フォアサイト。


プレコグニション。


サイコメトリー。


ポストコグニション。


ソートグラフィー。


アポート。


アスポート。


グラビティ。


サイズ。


テレポーテーション。


時空間属性。


転移魔法。


一週間前には使えなかった能力を、今では千百人が扱える。


それだけではなかった。


アレクサンドが騎士たちの状態を鑑定して、僅かに目を見開いた。


「教導スキルまで上がってる」


隣にいたガイルが振り返る。


「どれくらいだ?」


「全員レベル五」


「千百人全員か?」


「ええ」


ガイルは訓練場を見渡した。


教導を受けるだけではなく、覚醒した者がまだ感覚を掴めていない者へ教える。


先に転移できた者が、隣の騎士へ自分が掴んだ感覚を伝える。


リモート・ビューイングに成功した者が、視点を遠くへ置く感覚を説明する。


そうしたことを一週間、繰り返していた。


いつの間にか教わる側も教師になっていた。


アレクサンドが笑った。


「これなら私たちがいなくても続けられるわね」


ガイルも頷く。


「教導レベル五が千百人か。十分だな」


教導する者が二十七人しかいない状態とは、もう違う。


千百人が互いに教えられる。


さらに、その千百人が別の騎士や兵士を教えることもできる。


教導する側の人数そのものが、一週間で大きく変わっていた。


だが、アレクサンドは別のことに気づいた。


「終わらないわね」


「何がだ?」


「見て」


ガイルが訓練場を見る。


教導は一区切りついている。


休憩してもいい時間だった。


それなのに、誰も魔力循環を止めていない。


高速で回し続けている。


アイクも。


アッシュも。


ロックウェルも。


千百人が当たり前のように高速魔力循環を続けながら、それぞれ別のことを試していた。


一人の騎士が石を見つめる。


石が浮いた。


テレキネシス。


そのまま重力を加える。


浮いていた石が地面へ落ち、深くめり込んだ。


別の騎士はリモート・ビューイングを使っていた。


遠くを見る。


その状態のままクレアオーディエンスを重ねる。


映像だけではない。


離れた場所の音まで拾う。


さらに別の騎士が声を上げた。


「できた!」


隣にいた騎士が尋ねる。


「何がだ?」


「リモート・ビューイングで見ている場所へ転移できた!」


「距離は?」


「まだ王宮の中だけだ。もう一度やる」


姿が消えた。


しばらくして戻ってくる。


「できるぞ」


「なら俺も試す」


誰も命令していない。


教師も指示していない。


勝手に試し始めていた。


アイクがアレクサンドのところへ歩いてくる。


それでも高速魔力循環は続けたままだった。


「アレクサンド侯爵」


「はい」


「一つ分かりました」


「何でしょう?」


「高速魔力循環は、訓練の時だけやるものではありませんね」


アレクサンドが笑う。


「気づきました?」


「一週間も続ければ嫌でも」


アイクは自分の手を見る。


魔力は絶えず高速で体内を巡っている。


「これを維持したまま生活すればいい」


「そういうことです」


「戦闘が始まってから魔力を整える必要もなくなる」


アッシュも近づいてきた。


「それだけではありません」


彼も高速魔力循環を続けている。


「新しい魔法を考える時も、この状態の方が明らかに感覚を掴みやすい」


ロックウェルも頷いた。


「ならば、やめる理由がありません」


三人の団長が同じ結論に達していた。


アレクサンドは千百人を見る。


一週間前、彼らは命令されて高速魔力循環を始めた。


今は違う。


誰も、


「魔力循環を高速で回せ」


とは言っていない。


それでも止めない。


新しい能力を試す。


組み合わせる。


失敗する。


隣の者に聞く。


成功した者が教える。


また試す。


その繰り返しだった。


アレクサンドは静かに笑った。


教導は成功していた。


目的の能力を覚醒させたからではない。


教えなくても、自分たちで学び続けるようになった。


教師にとって、それ以上の成功はなかった。




一週間にわたる教導の最後に、千百人の騎士たちは王宮の大訓練場へ集められた。


王国騎士団七百人。


魔導騎士団二百人。


近衛騎士団二百人。


アイク、アッシュ、ロックウェルの三団長も最前列にいる。


誰も魔力循環を止めていなかった。


高速で回す。


それがすでに訓練ではなく、日常になり始めている。


そんな千百人の前へ、一人の男が歩いてきた。


アダムス・キンバリー。


アレクサンドが隣に立つ。


「最後に、皆さんに見てもらいたいものがあります」


アイクがアダムスを見る。


すでに名前は知っていた。


十属性魔法を扱い、剣士スキル、槍術スキル、格闘術スキルまで修めている。


だが、知識として知っていることと、実際に見ることは違う。


アレクサンドが続けた。


「アダムス。お願いします」


「承知しました」


アダムスは訓練場の中央へ進んだ。


最初に手にしたのは剣だった。


構える。


次の瞬間、姿が消えたように見えた。


踏み込む。


斬る。


返す。


再び斬る。


余計な動きがない。


剣士スキル。


十体並べられていた訓練用の人形へ次々と剣が走る。


最後の一体を斬った時、最初の人形がようやく倒れ始めた。


千百人が静まり返った。


アダムスは剣を置いた。


次は槍を取る。


槍術スキル。


突く。


払う。


石突を返す。


間合いが変わっただけではない。


剣を持っていた時とは、身体の使い方そのものが違う。


アイクの目が細くなった。


「剣士が槍も使えるという動きではないな」


隣のロックウェルが頷く。


「槍術として完成している」


アダムスは槍も置いた。


今度は無手。


格闘術スキル。


五体の人形が周囲から襲いかかる。


拳。


掌底。


肘。


蹴り。


身体を回しながら一体を投げ、別の一体へぶつける。


武器がなくても止まらない。


むしろ間合いが狭くなったことで、動きはさらに速く見えた。


だが、ここまでは戦闘術だった。


アダムスが右手を上げる。


「グラビティ」


重力属性。


訓練場に置かれていた巨大な岩が地面へ沈んだ。


硬い地面に亀裂が走る。


解除。


次に金属属性。


地面に置かれた鉄塊が変形した。


伸びる。


曲がる。


分かれる。


いくつもの金属片となり、アダムスの周囲へ浮かぶ。


指が動く。


金属片が一斉に飛び、訓練用の標的へ突き刺さった。


アッシュが息を吐く。


「魔法だけでも、まだ先があるか」


その直後だった。


轟音。


雷鳴属性。


閃光が走り、離れた標的へ雷が落ちた。


一発ではない。


二発。


三発。


標的を変えながら雷撃が続く。


アダムスはそれを見届けることもなく、次の魔法へ移った。


空間が歪んだ。


時空間属性。


姿が消える。


千百人が周囲を見る。


「上だ!」


誰かが叫んだ。


アダムスは訓練場の上空にいた。


再び消える。


今度は騎士たちの背後。


さらに消える。


訓練場の端。


転移を繰り返しながら剣を抜く。


一瞬で間合いへ入り、斬撃。


転移。


槍へ持ち替える。


別方向から突き。


転移。


槍を手放し、格闘。


さらにグラビティ。


金属属性。


雷鳴属性。


一つずつ披露していた能力が、今度は繋がっていく。


剣だけではない。


槍だけでもない。


格闘だけでもない。


魔法だけでもない。


持っているものを、その時もっとも適した形で使う。


アイクは腕を組んだまま動かなかった。


アッシュも同じだった。


ロックウェルも目を逸らさない。


三人とも、自分たちとの差を見ていた。


だが、そこに落胆はなかった。


一週間前なら違ったかもしれない。


今の彼らは知っている。


できないなら学べばいい。


知らないなら知ればいい。


覚醒していないなら、高速で魔力循環を回し、イメージし、何度でも試せばいい。


やがてアダムスが訓練場の中央へ戻った。


剣を鞘へ収める。


「以上です」


静寂。


アレクサンドは千百人を見渡した。


「どうでした?」


最初に答えたのはアイクだった。


「まだまだですな」


自嘲ではなかった。


その目はアダムスを見ている。


アッシュが続いた。


「目標が増えました」


ロックウェルも静かに頷く。


周囲の騎士たちも同じだった。


十属性。


剣士スキル。


槍術スキル。


格闘術スキル。


重力属性。


金属属性。


雷鳴属性。


時空間属性。


一週間で得た能力だけで満足する者はいなかった。


誰からともなく魔力循環が速くなる。


一人。


十人。


百人。


やがて千百人の魔力が再び高速で巡り始めた。


アレクサンドは何も言わなかった。


もう、


「魔力循環を高速で回せ」


と命じる必要はなかった。


千百人全員が、アダムスの立つ高みを見ていた。


そして誰一人として、それを自分には届かない場所だとは考えていなかった。





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