113 盗賊狩り
翌日。
盗賊狩りが始まった。
第二村の広場には、村人千人と第一村から同行した十人、そしてガイルたち二十七人が集まっていた。
合計千三十七人。
最初に行うのは索敵だった。
アンドリューが全員へテレパシーをつなぐ。
「広域索敵を始める。昨日教わった通りだ。ウォーターサーチに五属性を混ぜろ」
千三十七人が一斉に索敵魔法を使った。
水。
風。
土。
光。
闇。
火。
六属性を混ぜた索敵が村を中心に広がっていく。
森。
街道。
荒野。
山。
人の集団。
魔物。
動いているもの。
千三十七人が捉えた情報をテレパシーで共有し、確認していく。
やがて三つの大きな集団が見つかった。
レイラが鑑定する。
「見つけたわ」
一つ目。
およそ五百人。
二つ目も約五百人。
三つ目も同規模だった。
三つの盗賊団。
合計で千五百人ほどになる。
アンドリューはそれぞれを区別するため、単純に名前をつけた。
第一盗賊団。
第二盗賊団。
第三盗賊団。
「第一盗賊団から行く」
全員で向かう必要はなかった。
第二村から参加するのは四十班、二百人。
五人一班だった四十班を、その場で再編する。
二十人一班。
十班。
班長も決められた。
シメオン。
ジェーク。
リッキー。
チャド。
ホセ。
パトリック。
シェーン。
ラザロ。
ブレイドン。
コデイ。
十人がそれぞれ二十人を率いる。
作戦行動全体の責任者はアンドリューとレイラだった。
ガイルは指揮を取らない。
アレクサンドも同じだ。
ガイル、アレクサンド、フェリクス、ロイド、ブラッド、レオンらは補佐へ回る。
第二村の住民たちだけでは対処できない事態が発生した場合のみ応援に入る。
もう一つの役目は、ゴーレム魔導師たちの護衛だった。
アンドリューがゴーレム魔導師たちを見る。
「準備を頼む」
「承知しました」
ゴーレム魔導師たちが動き始めた。
今回使うのは二メートル級のゴーレム。
三十機。
目的は盗賊を殺すことではない。
拠点へ先行させる。
攻撃を受けても止まらないゴーレムを中へ入れ、その後から二百人が捕縛する。
昨日決めた司法手続きがある。
捕縛。
拘束。
鑑定。
証拠収集。
裁判。
執行。
その場で盗賊を処刑することはしない。
アンドリューが二百人へ念を押す。
「目的は討伐じゃない。捕縛だ」
二百人が頷いた。
「相手が盗賊でも殺すな。まず捕まえる。拘束する。罪を確認するのはその後だ」
レイラも続ける。
「鑑定だけで決めないわ。サイコメトリーとポストコグニションで証拠を確認する。ソートグラフィーで記録を残す。その後、村で裁判をする」
準備は整った。
アンドリューが号令する。
「移動開始」
二百人が飛び上がった。
アンドリューとレイラが先頭に立つ。
ゴーレム魔導師たち。
その護衛と補佐にガイルたちが続く。
索敵魔法は切らさない。
飛行しながら第一盗賊団の動きを捉え続ける。
やがて森の中に建物が見えてきた。
第一盗賊団の拠点だった。
周囲を柵で囲い、見張りも立っている。
中には約五百人。
アンドリューたちは拠点の手前で停止した。
レイラが索敵で内部を確認する。
「大きな動きはないわ」
アンドリューがゴーレム魔導師たちを見る。
「始めよう」
二メートル級ゴーレム。
三十機。
一斉に動き始めた。
地面を踏みしめ、第一盗賊団の拠点へ向かっていく。
見張りが気づいた。
声を上げる。
盗賊たちが次々と武器を持って飛び出してきた。
剣。
槍。
斧。
弓。
だが、振るう機会は与えなかった。
アンドリューがテレパシーで伝える。
「武器を奪え」
二百人がテレキネシスを使った。
盗賊たちの手から剣が抜ける。
槍が飛ぶ。
斧が宙へ浮く。
背負っていた弓まで引き剥がされる。
拠点内にあった予備の武器も浮かび上がった。
大量の武器が盗賊たちから離れ、一か所へ集められていく。
武器を失った盗賊たちの前へ、三十機のゴーレムが踏み込んだ。
アンドリューの声が二百人へ届く。
「捕縛開始」
十班が一斉に動いた。
十班、二百人が第一盗賊団の拠点へ入った。
先頭を進むのは三十機のゴーレム。
索敵魔法は切らさない。
建物。
地下。
倉庫。
物陰。
森へ逃げようとする者。
六属性を混ぜた索敵で位置を確認しながら進む。
シメオンがテレパシーで伝えた。
「捕縛するぞ」
ウォーターバインド。
シャドウバインド。
ダークバインド。
バインドバレット。
二十人が使いやすいバインド系の魔法を放つ。
水が絡みつく。
影が伸びる。
闇が手足を縛る。
拘束魔法が次々と盗賊を捉えていった。
別の場所ではジェークの班が動いている。
武器を失った盗賊たちが建物から飛び出した。
ゴーレムが前へ出る。
盗賊が方向を変える。
バインドバレット。
続いてウォーターバインド。
拘束。
十班が拠点内へ広がっていった。
盗賊たちの武器はすでにテレキネシスで没収されている。
抵抗すればゴーレムが進路を塞ぐ。
森へ逃げても、上空から二百人が索敵している。
地上をどこへ逃げても位置は分かる。
建物に立て籠もる者もいた。
入口には机や棚が積み上げられている。
テレキネシス。
机も棚も浮き上がった。
入口が開く。
ウォーターバインド。
シャドウバインド。
中にいた盗賊たちを捕縛する。
地下へ逃げた者もいる。
土属性を混ぜた索敵が地下空間まで捉えていた。
ゴーレムを先行させる。
その後ろから二十人が入る。
ダークバインド。
バインドバレット。
地下にいた盗賊たちも次々と拘束された。
その途中、レイラが声を上げた。
「待って。人が多いわ」
事前の広域索敵では五百人規模と見ていた。
だが、拠点へ入って索敵範囲を狭めると、さらに多くの反応がある。
しかも、そのすべてが盗賊ではない。
地下。
倉庫。
牢。
複数の場所に人が閉じ込められている。
鑑定。
「人質よ。巻き込まないで」
テレパシーで情報が共有された。
二百人は盗賊と人質を区別しながら捕縛を続ける。
やがて拠点全域の制圧が終わった。
レイラが索敵と鑑定を重ねる。
「盗賊、五百三十二人。人質、三百七人」
アンドリューが指示する。
「人質を先に保護する」
拘束を解く。
鑑定で状態を確認する。
怪我人。
病人。
衰弱している者。
ヒールバレット。
ピュリフィケーションバレット。
必要な者には体力回復ポーションも飲ませる。
治療が終わると食事を持たせた。
肉。
スープ。
水。
十分な量を渡してから説明する。
「安全な場所へ移す」
三百七人をアイテムボックスの保護空間へ収容していった。
次は盗賊。
五百三十二人。
バインド系の魔法による拘束は解除しない。
そのままアイテムボックスの保護空間へ収容する。
最後の一人が消える。
第一盗賊団の捕縛は完了した。
続いて証拠を集める。
サイコメトリー。
ポストコグニション。
ソートグラフィー。
拠点で起きた犯罪を確認し、映像として記録していく。
誰を襲ったのか。
何を奪ったのか。
誰を殺したのか。
人質をどこから連れてきたのか。
証拠収集が終わると、今度は拠点に残された物資を回収する。
「使える物は残さないぞ」
食料。
衣類。
家具。
道具。
金貨。
銀貨。
木材。
そして金属。
剣。
槍。
斧。
鎧。
鍋。
釜。
農具。
釘。
金具。
さらに人質を閉じ込めていた設備も解体する。
牢の鉄格子。
檻。
手枷。
足枷。
鎖。
金属製の扉。
蝶番。
錠前。
柵に使われている金属部品まで取り外した。
金属属性とテレキネシスを使い、金属部分を分離する。
次々とアイテムボックスへ収納していく。
第二村には鍛冶工房がある。
持ち帰れば精錬できる。
インゴットへ戻し、鍋や釜、農具へ作り直せばいい。
木材も同じだった。
柵。
棚。
寝台。
机。
椅子。
扉。
使える物は回収する。
使えない木材も薪になる。
回収を終える頃には、拠点は骨組みに近い状態になっていた。
レイラが索敵する。
人はいない。
証拠は記録した。
利用できる物も残っていない。
アンドリューが言った。
「壊すぞ」
二百人が土魔法を使う。
残った建物が崩れる。
見張り台が倒れる。
地下室が埋まる。
隠し部屋も潰していく。
数分後。
第一盗賊団の拠点はなくなった。
アンドリューは第二盗賊団の方向を見た。
「次へ行く」
二百人と三十機のゴーレムが動き出した。
まだ二つ残っていた。
第一盗賊団の拠点を処理すると、三十機の二メートル級ゴーレムをアイテムボックスへ収納した。
アンドリューとレイラを先頭に、十班二百人とゴーレム魔導師たちが飛行する。
ガイル、アレクサンド、フェリクス、ロイド、ブラッド、レオンらは補佐とゴーレム魔導師たちの護衛だ。
移動中も索敵は切らさない。
第二盗賊団の位置を確認しながら進む。
しばらくすると森の中に拠点が見えてきた。
第一盗賊団より広い。
建物。
倉庫。
見張り台。
周囲を囲う柵。
レイラが索敵範囲を絞る。
「五百人より多いわ。それ以外の反応もあるわ」
事前の広域索敵では五百人規模としか分からなかった。
近づいたことで細かな反応まで拾える。
人質もいる。
一行は拠点から少し離れた場所へ降りた。
アイテムボックスからゴーレムを取り出す。
二メートル級。
三十機。
さらに五メートル級のゴーレムを十機取り出した。
巨大な十機が地面へ並ぶ。
合計四十機。
アンドリューが二百人へテレパシーで伝える。
「第一盗賊団と同じだ。人質を巻き込むな」
レイラも続けた。
「索敵と鑑定で盗賊と人質を区別して」
「行くぞ」
五メートル級十機が前へ出た。
その後ろを二メートル級三十機が進む。
四十機のゴーレムが第二盗賊団の拠点へ向かった。
見張りが気づく。
声が上がった。
盗賊たちが武器を持って建物から飛び出してくる。
だが、使わせない。
テレキネシス。
二百人が一斉に魔力を伸ばす。
剣。
槍。
斧。
弓。
短剣。
盗賊たちの手から武器が抜けた。
建物や倉庫に置かれていた予備の武器まで浮かび上がる。
大量の武器を拠点の外へ集めた。
「捕縛開始」
十班が動いた。
ウォーターバインド。
シャドウバインド。
ダークバインド。
バインドバレット。
五メートル級ゴーレムが進路を塞ぐ。
二メートル級が建物の間へ入る。
その後ろから二百人が進んだ。
盗賊が建物へ逃げる。
地下へ隠れる。
森へ走る。
だが、索敵で位置は分かっている。
「倉庫の裏に三十二人」
「地下に二十八人」
「森へ九人逃げた」
情報がテレパシーで共有される。
近い班が向かう。
障害物はテレキネシスで除く。
地下には二メートル級ゴーレムを先行させる。
森へ逃げた者には飛行して先回りする。
バインド系の魔法。
捕縛。
拘束。
一人ずつ動きを封じていった。
五メートル級ゴーレムの前では、盗賊たちは進路を変えるしかない。
変えた先には別の班がいる。
戦闘にはならなかった。
やがて拠点全域の制圧が終わる。
レイラが索敵と鑑定を重ねた。
「盗賊、五百六十一人。人質は二百八十六人」
アンドリューが指示する。
「人質からだ」
牢を開ける。
手枷。
足枷。
鎖。
拘束を外す。
鑑定で状態を確認する。
怪我人。
病人。
衰弱している者。
ヒールバレット。
ピュリフィケーションバレット。
必要な者には体力回復ポーションも飲ませる。
治療が終わると食事と水を持たせた。
事情を説明し、二百八十六人をアイテムボックスの保護空間へ収容する。
続いて盗賊。
五百六十一人。
バインド系の魔法は解除しない。
拘束したまま保護空間へ収容した。
次は証拠収集。
サイコメトリー。
ポストコグニション。
ソートグラフィー。
略奪。
殺人。
誘拐。
確認した犯罪を映像として記録していく。
証拠を残した後は物資を回収する。
食料。
衣類。
金貨。
銀貨。
家具。
木材。
そして金属。
武器や鎧だけではない。
牢の鉄格子。
檻。
手枷。
足枷。
鎖。
金属製の扉。
蝶番。
錠前。
柵の金属部品。
金属属性で分離し、テレキネシスで集め、アイテムボックスへ収納する。
木材も使えるものは回収した。
第二村へ持ち帰れば、金属は精錬してインゴットに戻せる。
木材も家具や樽、薪に使える。
回収が終わる。
「壊すぞ」
二百人が土魔法を使った。
建物が崩れる。
見張り台が倒れる。
地下室が埋まる。
残った柵も崩した。
第二盗賊団の拠点が消えた。
四十機のゴーレムをアイテムボックスへ収納する。
レイラが第三盗賊団の位置を確認した。
「まだいるわ」
アンドリューが頷く。
「最後だ。行くぞ」
二百人が飛び上がった。
第三盗賊団へ向けて移動を開始した。
第三盗賊団の拠点が見えてきた。
一行は拠点から少し離れた場所へ降りる。
レイラが索敵範囲を絞った。
「ここも五百人を超えているわ。人質もいる」
アンドリューが頷く。
「同じ手順で行くぞ」
アイテムボックスからゴーレムを取り出す。
二メートル級三十機。
五メートル級十機。
合計四十機。
五メートル級を前衛に置き、その後ろに二メートル級を配置する。
アンドリューが二百人へテレパシーをつないだ。
「これが最後だ。索敵を切らすな。人質を巻き込むな」
四十機のゴーレムが動き出した。
第三盗賊団の見張りが気づく。
警告の声が拠点内へ響いた。
盗賊たちが武器を持って建物から飛び出してくる。
二百人がテレキネシスを使った。
剣。
槍。
斧。
弓。
短剣。
盗賊たちの手から武器が抜ける。
建物や倉庫に置かれていた予備の武器も次々と浮かび上がった。
そのままアイテムボックスへ収納する。
剣が消える。
槍が消える。
斧も弓も消えていく。
予備の武器まで残さない。
「捕縛開始」
十班が動いた。
ウォーターバインド。
シャドウバインド。
ダークバインド。
バインドバレット。
五メートル級ゴーレムが前進する。
盗賊たちの進路を巨大な身体で塞ぐ。
二メートル級は建物の間へ入り、その後ろから十班が続いた。
盗賊が逃げる。
建物へ。
地下へ。
森へ。
だが、索敵で位置は分かっている。
テレパシーで情報を共有し、近い班が向かう。
武器を奪う。
ゴーレムで進路を塞ぐ。
バインド系の魔法で捕縛する。
拘束する。
それを繰り返した。
戦闘にはならなかった。
やがて第三盗賊団の抵抗が止まる。
レイラが索敵と鑑定を重ねた。
「盗賊、五百四十七人。人質、三百二十二人」
アンドリューが指示する。
「人質を先に保護する」
二百人が牢や地下室へ向かった。
手枷。
足枷。
鎖。
拘束を外す。
鑑定で状態を確認する。
怪我人。
病人。
衰弱している者。
ヒールバレット。
ピュリフィケーションバレット。
必要な者には体力回復ポーションも飲ませる。
治療を終えると、食事と水を持たせた。
事情を説明し、三百二十二人をアイテムボックスの保護空間へ収容する。
続いて盗賊五百四十七人。
バインド系の魔法による拘束は解除しない。
拘束した状態のまま保護空間へ収容した。
拠点から人がいなくなる。
次は証拠収集だった。
サイコメトリー。
ポストコグニション。
ソートグラフィー。
二百人が分担して過去を確認する。
略奪。
殺人。
誘拐。
人質に対して行われた犯罪。
確認した内容を映像として残していった。
証拠収集を終えると物資を回収する。
金貨。
銀貨。
食料。
衣類。
家具。
道具。
木材。
金属。
牢の鉄格子。
檻。
手枷。
足枷。
鎖。
金属製の扉。
蝶番。
錠前。
柵に使われている金属部品。
金属属性で分離する。
テレキネシスで運ぶ。
アイテムボックスへ収納する。
木材も使える物は回収した。
残す理由はない。
第二村へ持ち帰れば、金属は精錬してインゴットへ戻せる。
木材も建築や木工に使える。
回収が終わった。
レイラが索敵する。
人はいない。
証拠も記録した。
利用できる物も残っていない。
アンドリューが言った。
「壊すぞ」
二百人が土魔法を使う。
建物が崩れる。
見張り台が倒れる。
地下室が埋まる。
柵も崩れていく。
第三盗賊団の拠点が完全に形を失った。
その時、二百人の身体が光った。
アンドリューとレイラの身体も光る。
さらに後方で補佐していたガイルたち二十七人も光に包まれた。
レイラが自分を鑑定した。
「ゴーレムスキル……」
アンドリューも鑑定する。
同じだった。
ガイルたち二十七人も確認する。
全員がゴーレムスキルを覚醒していた。
三つの盗賊団を相手に、ゴーレム魔導師たちの運用を間近で見続けた。
拠点への先行。
盾。
進路封鎖。
建物への侵入。
地下への先行。
人質を巻き込まないための運用。
二メートル級と五メートル級の使い分け。
見ていただけではない。
索敵とテレパシーで情報を共有し、ゴーレムを作戦の中へ組み込んで使い続けた。
その経験が形になった。
第二村の二百人。
アンドリュー。
レイラ。
ガイルたち二十七人。
二百二十九人がゴーレムスキルを覚醒した。
アンドリューは崩れた拠点跡を見る。
三つの盗賊団。
捕縛した盗賊は千六百四十人。
保護した人質は九百十五人。
証拠も記録した。
物資も回収した。
あとは村へ戻り、司法手続きを進める。
四十機のゴーレムをアイテムボックスへ収納した。
「帰るぞ」
アンドリューの声に、二百人が飛び上がる。
ガイルたちとゴーレム魔導師たちも続いた。
次は裁判だった。




