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配信者ランキング1位の俺、 実はリアルダンジョンを VR配信だと思われている  作者: 八乙女モモ


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第57話 ノアの正体?

 「黒鞘・終ノ太刀」


 ヴェガの剣先から


 黒い光の奔流が放たれた


 ……来た


 まっすぐ俺に向かってきた


 空間ごと、断ち切るような


 巨大な斬撃


 俺は


 虚空断ちを構えた


 ……斬る


 ……たぶん、斬れる


 本気をほんの少し


 出せば


 でも


 その瞬間


 左腕に


 ずきっ、と


 痛みが走った


 ……っ


 さっき、斬られた左腕


 大量の血が流れている


 体が


 ほんのわずか


 鈍った


 ……あれ


 ……間に合わない?


 黒い奔流が


 目の前に


 迫る



   ◆ ◆ ◆



 その瞬間だった


 俺の前に


 誰かが


 ふわり、と


 降り立った


 小さな影


 ……ノアか?


 でも


 いつもの擬人化じゃ、なかった


 もっと大きい


 俺と、同じくらいの背丈だった


 白い髪が


 ふわっ、と、広がって


 背中に


 光る翼が二枚


 ノアが手をかざした


 その、手の先に光が集まって


 巨大な盾が現れた


 黄金色の盾


 見たことのない、紋様が刻まれていた


 ドォン!!!


 終ノ太刀がその盾に


 ぶつかった


 黒い奔流と黄金の盾が拮抗した


 空間が軋んだ


 光が爆ぜた


 そして


 終ノ太刀が


 消えた


 同時に


 ノアが出した盾も消えた



   ◆ ◆ ◆



 しん、と、なった


 俺は


 ぼんやりと


 ノアの背中を見ていた


 大きくなったノア


 光る翼


 黄金の盾


 ……ノア


 ……そんな力


 ……あったんだ


「……ノア」


 俺は言った


『……マスター』


 ノアの声が


 ちょっと、震えていた


『……すみません。勝手に、体が動きました』


「うん?」


『マスターが斬られそうで。気づいたら、こうなってました』


「……そうなんだ」


『……自分でも、よくわからないんです。こんな力、使ったのはたぶん、初めてで』


 ノアがふらり、と、よろけた


『……っ、う』


「ノア!?」


『……だいじょうぶです。ただ、ちょっと』


 ノアが


 また、小さなミニ擬人化に


 戻った


『……魔力を使いすぎました。これ以上は、たぶんもう』


「無理しないで」


『……はい。あとは、マスター。お願い、します』


「うん。わかった」


 俺はノアを


 そっと、ステラに預けた


「ステラ、ノアを頼む!」


「は、はい!」


 ステラが、ノアを両手で受け取った




   ◆ ◆ ◆



 ヴェガは


 固まっていた


 仮面の奥の目が大きく、見開かれていた。


「……今のは」


 ヴェガの声が


 初めて揺れた


「私の、終ノ太刀を。あの、生き物が。防いだ、だと」


「……」


「あの翼、あの盾、あれは、人間の力じゃ、ない」


 ヴェガが


 じり、と


 一歩下がった


「ボスは、言った。『ノアの、姿を、確かめてこい』、と」


「……」


「私はその意味を、今、理解した」


 ヴェガの声に


 初めて


 怯えに近いものが混じっていた。


「あれはただの、使い魔ではない。あんなもの、を。あの、男は」


 ヴェガが


 俺をじっと見ていた


 ……あれ


 ……ヴェガ、なんか。


 ……びびってる?


 俺には


 よく、わからなかった。


 まあ、ノアがすごい力を、見せたのはわかったけど。


 ……でも


 ……今は


 ……これ、終わらせよう。


 左腕は


 まだ、痛い


 でも


 俺の中で


 さっきから


 眠っていた、何かが


 ゆっくりと目を覚ましていた



   ◆ ◆ ◆



「ヴェガ」


 俺は、言った。


「うん。もう終わりにしよう」


「……っ」


「ノアが、()()()()()()から。俺も、ちょっと本気出すよ」


「……本気、だと」


「うん。ちょっとだけ、ね」


 俺は


 虚空断ちを


 構え直した


 ……ちょっとだけ


 ……ほんの、ちょっとだけ


 目を覚ます。


 その、瞬間


 空気が


 変わった


 黒い空間が


 しん、と静まり返った


 俺の足元から


 見えない力が


 すうっ、と立ち上った


「……っ、なんだ。この、圧は」


 ヴェガが


 初めて後ずさった


「お前。さっきまでと、まるで、()()


「そう? いつも通りだけど」


「違う。明らかに、違う」


 ヴェガが


 剣を構え直した


 でも


 その、剣先が


 わずかに震えていた


「……来い、REN。全力で来いと、言ったのは私だ」


「うん。じゃあ、行くね」



   ◆ ◆ ◆



 俺は地面を蹴った


 でも


 今までとは速さが違った


 ヴェガの目の前に


 一瞬で着いた


 あのヴェガが


 全く反応できなかった。


 ……え、という顔をしていた


 たぶん


 俺は


 虚空断ちを


 振るった


 ほんの軽く


 でも


 その、一振りで


 黒い空間が


 びりっ、と裂けた


 ヴェガの剣が


 俺の虚空断ちとぶつかった


 ガキィン!


 でも


 今度は


 さっきまでとは、逆だった


 ヴェガの剣が弾き飛ばされた


 ヴェガの体ごと


 後ろに吹っ飛んだ


 黒い地面を


 何度も


 転がって


 止まった


「……っ、ぐ」


 ヴェガが


 よろよろ、と立ち上がろうとした。


 でも


 剣を


 もう


 握れて、いなかった


 手が震えて


 剣が地面に落ちた


 からん、と


 乾いた音が


 黒い空間に響いた



   ◆ ◆ ◆



 俺は


 ヴェガに歩み寄った


 虚空断ちをその、首元に


 突きつけよう……とはしなかった。


 ただ


 ヴェガの前に立った。


「ヴェガ」


「……」


「もう、いいよ。やめよう」


「……なぜ、斬らない」


「うん?」


「私は、お前を殺そうとした。お前の家を壊した。お前を斬った」


「うん」


「私を斬れ。それが戦いだ」


「やだ」


「……は?」


「だって、ヴェガ。()()()()()()()()()()?」


「……は?」


「ないでしょ」


「……何の、話だ」


「あのね」


 俺は


 ヴェガを


 まっすぐ、見た


「卵焼きも、食べないで死ぬとかもったいないよ」


「…………」


 ヴェガが


 固まった


 仮面の奥で


 何かを


 考えるように


 長い沈黙


 それから


 ふっ、と


 力が抜けたように


 ヴェガが


 笑った


 仮面の下で


「……お前は。本当に。規格外、だな」


「うん。よく言われる」


「ステラが。寝返るわけだ」


「……ステラ、いい子だよ」


「……ああ。知っている」


 ヴェガが


 ゆっくり


 立ち上がった


 剣を拾った


 でも


 もう


 戦う気はないようだった


「……今日のところは引く」


「うん」


「だが、REN。これで、終わりじゃない」


「うん」


「ボスはお前をあきらめない。そして、私は」


 ヴェガが


 ノアを見た


 ステラに抱かれた、小さなノアを。


「……あの、使い魔のことを。報告しなければならない」


「ふうん」


「あれは組織にとって。とても重要な、何かだ」


「ノア、大事なやつだよ」


「……そうだろうな。お前が、思っている以上に」


 ヴェガが


 剣を


 鞘に収めた


「黒鞘の間を解く」


 その、瞬間


 黒い空間が


 ぴしり、と


 ひび割れた



   ◆ ◆ ◆



 黒い空間が砕けて


 光が差し込んだ


 崩れた俺のアパートのある


 いつもの、街並みが戻ってきた


 ヴェガの姿は


 もう


 どこにもなかった


 黒鞘の間と一緒に消えていた。


 俺は


 ふう、と


 息を、吐いた


 左腕が


 じんじん、と痛んだ。


 ……あー


 ……終わった


 ……お腹、すいた


 その、時


「蓮さんっ!!!」


「蓮さん!!」


 二つの声が


 同時に聞こえた


 白波さんと


 霧島さんが


 こっちに


 走ってきていた


 二人とも


 息を切らして、顔が真っ青だった



   ◆ ◆ ◆



 白波さんが


 先に着いた


「蓮さんっ、無事でよかった……っ」


 でも


 俺の、左腕を見て


 白波さんの顔が


 固まった。


「……っ、出血がひどい……。腕が凄いことになってますよ!」


「あ、これ? ちょっと斬られた」


「ちょっと、ってどころじゃないですよ!」


 白波さんの声が。


 震えていた。


「私ずっと、外にいました。あの、黒い空間入れなくて」


「うん」


「叩いても斬っても。びくとも、しなくて」


「うん」


「中で、蓮さんが戦ってるの、わかってたのに。何もできなくて」


 白波さんの目に


 涙がにじんでいた


「……また、私間に合わなかった」


 ……あ


 ……白波さん


 ……前も、こんなこと言ってたな


 俺は


 ぼんやり思い出した


「白波さん」


「……っ、はい」


「ありがと。来てくれて」


「……っ」


「嬉しいよ」


 白波さんが


 くしゃっ、と


 顔を歪めた


 でも


 涙を


 ぐっ、とこらえた


「……次は、次こそは間に合わせます」


「うん」



   ◆ ◆ ◆



 霧島さんが遅れて着いた


 俺の左腕を見るなり


 すぐに


 動いた


「蓮さん、動かないでください」


「うん」


 霧島さんがポーチから


 回復薬を


 取り出した


 手際が


 よかった


 さすが、AEGIS


「応急処置します。かなり深い傷ですね……」


「うん。ありがと」


「……本当に本当に、無事でよかったです……」


 霧島さんの声がちょっと枯れていた。


「あの固有空間には、私たち、手も足も出なくて」


「うん」


「司令官もずっと、拳を握って。あなたを信じるしかなくて」


「うん」


「……無事で、本当によかった」


「うん。心配かけて、ごめん」


 霧島さんが回復薬を塗りながら


 うつむいた



 ……でも、この傷


 ……回復薬だけじゃ、治らないほど深いな


 ノアがステラの腕の中で小さく言った


『……マスター。あとで、わたしも治療手伝います』


「ノア、大丈夫なの?」


『……はい。それくらいはなんとか』


「うん。ありがと」


 俺は


 ステラと


 ノアと


 白波さんと


 霧島さんを


 見回した。


 ……みんな


 ……来てくれた


 ……心配してくれた


 ……ありがたいな


 ……瑠花さんのお弁当食べたいな


 左腕は


 まだ痛い


 でも


 なんかあったかい気持ちになった


 ……お腹もすいたし


 ……早く帰って


 ……あ


 ……帰る家なかった


 俺はぼんやりと崩れたアパートを見た


 ……どうしようかな


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   配信アーカイブ・コメント(その後)

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>【攻略ガチ勢】整理する。1) RENが左腕を斬られる。2) 大技が来る。3) ノアちゃんが、突然でかくなって、金色の盾で防ぐ。4) RENが一撃でヴェガを吹っ飛ばす。5) ヴェガ撤退


>【海外視聴者】WHAT WAS THAT SHIELD. NOA HAD WINGS


>【ノア推し】ノアちゃん!? あの姿、何!? 翼生えてた!


>【holodive_master】ノアの正体、絶対、ただの使い魔じゃない。ヴェガもめちゃくちゃ動揺してた


>【陰謀論者】「ノアの姿を確かめてこい」ってボスの命令、伏線だったのか


>【草の民】てか、RENが本気出した一瞬、画面、バグったかと思った。次元が違う


>【ルカたん】蓮くん……RENさん、無事で、本当によかったです……っ


>【攻略ガチ勢】↑ルカたん、また「蓮くん」って言ってる


>【ノア推し】↑ルカたん、絶対、RENの知り合いだろこれ


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