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84話 お泊まり


「お姉ちゃん、コウくんにパジャマ着せちゃったけど……」

「シーっ!」


 カルラとコウくんがお風呂から出てきて戻ってきた時には、ヒカリちゃんは既に寝息を立てて眠っていた。


「おねちゃんねてる?」

「うん、少し疲れちゃったのかもね?」

「か……可愛い!」

「カルラ静かに」


 気持ちよさそうに寝息を立てて眠っているヒカリちゃんは、十歳なのに七歳のカルラよりもずっと幼く見える。


「……」

「お姉ちゃん?」


 そういえばあと二年、いや、一年と少しでヒカリちゃんも学園に入学するんだ。


 カルラがヒカリちゃんと関われる時間も一気に減るし、誰にでも分け隔てないヒカリちゃんは、きっと同学年の人からよく好かれ、よく嫌われる。



「ねぇカルラ」

「どうしたの?」

「お母様に、ヒカリちゃんとコウくん泊まって良いか聞いてきてくれない?」

「え! わかった!」


 カルラはヒカリちゃんと長く関われるのが余程嬉しいのか、嬉々としてお母様の私室へ走っていった。


「ハンナ、客室の掃除お願い出来るかしら?」

「承知いたしました」


 ハンナに指示を与え、応接室には私とヒカリちゃんとコウくんの三人。


「コウくん、カルラとどんなお話してたの?」

「おねちゃんのはなししてた!」

「ヒカリちゃんのお話か!」

「うん! おねちゃんのことたくさんほめてた!」

「そっか〜!」


 確かに姉っ子のコウくんなら、ヒカリちゃん大好きなカルラの話は刺さるかもしれない。


「ねぇコウくん、今日お泊まりしたくない?」

「したい! かるらくんおもしろいから!」

「そうよね〜!」


 カルラが面白いって、本当に一体どんな話したの?


 そんなことを話している内に、お母様とフィリアさんが入ってきた。


「あ、お母様ーー」

「カルラから大体聞いたわ? 大変だったそうね? 良いわよ泊まって!」

「やった!」


 ヒカリちゃんが膝の上で寝てるから立ち上がれないけど、小さく拳を握りしめる。


「やった!」


 そしてコウくんは私の真似をして拳を握りしめる。超可愛い。


「ご迷惑をかけたわねメイさん、お風呂まで貸していただいたみたいで」

「良いのよそんなこと! 怪我がなくて良かったわ!」


「お母様、ハンナが今客室の掃除してくれてるから」

「わかったわ! メロードにも伝えておくわね?」


 そこからトントン拍子でお父様やメイドと執事にも伝わり、ウィンガート家全員でお泊まりしてくれる事になった。





 どうも、ヒカリちゃんです。


 僕が眠っている間に、ウィンガート家全員でセルライト家にお泊まりすることが決まっていました。


 それだけでもびっくりなのに、皆んなで夕食をとっている最中ーー


「メロードさんと話し合った結果、ウィンガート家は侯爵になった方が良いかなって思うんだ。五年後を目安に幾つか足掛かりを作って侯爵家を蹴落とそうと思う」


 とか言い出した。


 理由は単純、お父様の仕事の域が伯爵の域を超えていたからとのこと。


「お父様凄い……」


 どんな領地経営してるのかサッパリだけど、侯爵蹴落とせる実力があることは察した。


「お父様、爵位って簡単に貰えるものなの?」


 アリアちゃんが不思議そうに尋ねてるけど、それに関してはマジで同意見。


「普通は難しいけど、オズワルドさん自体が優秀な方だから、侯爵程度なら直ぐ貰えるよ」

「おとしゃますごい!」


 五年を直ぐと捉えるか、長い道のりと捉えるかは人次第だろうけど、お父様とメロードさんは『直ぐ』と捉えているっぽい。


 とのこと。


 一体何を話していたのやら……。



 そんなわけで現在、客室で過ごしてます。


 私とコウと、アリアちゃんとカルラくんの四人で過ごしてます。


 お父様とお母様はそれぞれメイ様とメロード様の私室で過ごしているそうで、きっと思い思い羽を伸ばしている。


 そして子供サイドもーー


「見てこれ! 先代の陛下が作った『王様ゲーム』っていうやつなんだ!』

「モロじゃん」

「もろ?」

「ううんごめん、どういうゲームなの?」

「私もやるの初めてだから、えっと……」


 アリアちゃんが説明書らしきものを読み始める。


 まぁ合コンでよくやるような『あれ』だ。


 伴侶や婚約者のいない学園の生徒を中心には流行っているとのこと。


 モロじゃん!?


 まぁ合コンならともかく、十二歳のアリアちゃん、十歳の僕、七歳のカルラくん、五歳のコウの四人で危ない話題なんて出るはずがない。


「やりたい!」


 そしてコウが非常に乗り気だ。


「よし、始めよう!」


 そんなわけで、人生初の王様ゲームが開始。

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