表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
77/131

76話 カルラ・セルライト公爵子息


 メイ様の服の話の流れでアリアちゃんとカルラくんもメイ様監修の服に着替えることになり、子供組は全員平民服になった。


「それじゃあ僕はオズワルドさんと相談してくるから、皆んなも自由にね?」


 そう言い残してお父様とメロード様は応接室から去っていく。


「そうだ! どうせなら皆んなで下町に遊びに行ったらどうかしら!」


 お母様は手をポンと叩いて四人を見回す。


「いいじゃない! 私とフィリアさんも仕事の話するからアリアもカルラも入れないし、それにーー」


 メイ様は少し含みのある溜めを作る。


「カルラ、ヒカリちゃんの服買ったあとデートできなかったでしょ? 今からしたくない?」

「したいです!」

「カルラ……」


 カルラくんも勢いの良い返事にアリアちゃんは若干呆れている。


「というわけでヒカリちゃん、あの時の約束の続きをお願い出来ない?」

「私は良いですよ?」

「〜〜っ!」


 声にならない喜びをあげているけど、一旦反応するのは後でいいや。


「アリアちゃんとコウはどうするの?」

「なら私はコウくんと一緒に回ろうかな? コウくん下町は初めて?」

「はじめて、です」

「じゃあ、お姉さんのお友達が案内してあげるね!」

「あい!」



 それぞれペアが決まり、軽く雑談した後四人でセルライト家を出て下町に向かう。


「じゃあ夕の鐘が鳴る頃に戻ろっか!」

「わかった! アリアちゃん、コウをお願いね?」

「勿論よ! ヒカリちゃんもカルラをお願いね!」

「勿論! じゃあ!」


 正面玄関で別れ、まだ決めてない行き先を考えながら歩き出す。





「カルラくんは行きたいところある?」

「行きたいところはないけど、ヒカリちゃんとゆっくり話してみたい」

「なるほどね?」


 アリアちゃんの弟で断片的に話したことはあっても、一対一でしっかり話したことはない。


「お母様から少しお金貰ってるし、どこか座れそうなところ行こっか!」

「はい!」


 そんなわけで少し彷徨いて、お菓子の甘い匂いに誘われて適当なお店に入ろうとした時、カルラくんが手を引いてストップをかける。


「どうしたの?」

「あそこ……」


 指差した先には、噴水と花壇とベンチがある小さな広間があった。


「どうせならあそこがいい!」

「じゃあ、あそこでゆっくりお話ししよっか!」

「はい!」


 少しウキウキしているカルラくんに手を引かれ、空席のベンチに二人で座る。



「ここ涼しい……!」

「っ!」


 噴水から聴こえる水の音が、静かに吹く風に乗って香る花の匂いが気持ちいい。


「カルラくんどうしたの?」

「…………」

「カルラくん?」

「……あっ! いや、なんでも」

「?」


 目をキラキラさせて見てたけど、今の状況で見惚れる要素あったのかな……?


 それとも、恋は盲目的な何かが働いたのか。



「それで、ゆっくり話したいって言ってたけど、何か聞きたいことがあるの?」

「いや……特に聞きたいことがあるわけじゃないんだけど……」


 少し俯いて慌てて答える。


 まぁ突然何か聞きたいことがあるかと言われて直ぐ思いつく人の方が少ないか。


 今のは質問が悪かったな。


 こういう時は、歳上が頑張る時だ!


「ねぇカルラくん」

「はい」

「カルラくんは他の貴族と交友ってあるの?」


 コウの交友関係の足掛かりになる話が聞ければ嬉しいけど……。


「あるにはあるんですけど……」

「……上手く行ってないの?」

「僕は……上手く行ってないって、思ってて」

「?」


 少し頭の中で整理しているのか、何度か「ええっと」と口にした後、ゆっくり話し出す。


「皆んな『公爵家の人には礼儀正しく』って言うんだ」

「そっか」

「僕はもっと皆んなみたいに遊びたいのに」


『貴族至上主義』の人なら敬われるの好きだろうけど『公平主義』の人には、窮屈に感じる付き合い方なのか。


 僕も今からアリアちゃんに堅く接するの窮屈だし。


「でも女の子に格好つける時には便利じゃない?」

「みんな『公爵』ばかり気にして、女の子ともちゃんと話せないもん」

「そっか」


 同い年と仲良くしたいのに、環境や身分が許してくれないんだ。


「大変だね? よしよし!」

「ヒ、ヒカリちゃん!?」


 ちょっと俯いているカルラの頭を撫でて慰める。


「カルラは偉いよ? 身分とか関係なく友達と仲良くなろうとしてるなんて! とっても偉い!」


「そ、そう言うヒカリちゃんはどうなの! 僕、公爵だけど、公爵の人間として……見てるの……?

「私? そんなわけでないでしょ? カルラくんはアリアちゃんの弟で、私の友達で、アリアちゃんが大好きで仕方ない甘えん坊さん!」

「……僕、ヒカリちゃんの方が好きだよ?」

「うふふ! ありがとね!」


 元気になったっぽいので撫でるのをやめ、大きく伸びをする。


(でも……そっか……)


 カルラくんは、本気で僕が好きなんだ。


 同年代の女の子とも関わってるはずだけど、年齢を気にせず、身分を気にしない。


 純粋にカルラくんを見ているヒカリちゃんが好きなんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ