74話 コウの交友関係
あれから三日後。
「お父様、スーちゃんとシャイナちゃんに手紙書きたい!」
「……珍しいなヒカリ。遂にお茶会を!?」
「違います! お茶会は……いつか……はい……」
もう直ぐ十一歳のヒカリちゃん、いまだに一度もお茶会を開いていない。
いやそれはともかく!
「もう直ぐレオンが学園入学じゃないですか!」
「そうだね……ん? レオン? ヒカリ、ちゃんと『様』つけないとーー」
「おとうさま!!」
もう! 中断が多くて困っちゃう!
「あと四日で最後の魔法の授業です! なので、二人を呼んで、サプライズで入学祝いしたいの!」
「……そういえばもうそんな時期だったか。入学も確定、というかレオン様は主席だから、婚約者からの祝いは嬉しいかもね?」
「しゅ……主席……」
超頭いいじゃん……。
「じゃあヒカリ、手紙を書こうか」
「はい! え、私が書くの?」
「当たり前だろ? 友人への手紙は自分で書かないと」
「そっか……そうだよね?」
そんなわけで執務室の空いてる椅子に腰掛け、お父様から便箋用の紙を数枚貰う。
「手紙……うーん……」
そういえば、この世界で初めて手紙を書く。
いや、前世含めて初めて書く。
「……かけない」
そんな手紙初心者のヒカリちゃん、書き出しをどう書けばいいのかわからない。
『拝啓◯◯殿』とかは堅すぎるし『お久しぶりです』ほど久しくもない。
初めてスーちゃんから来た手紙は流石に形式っぽい感じだったけど、二回目以降は『明後日お茶会するから来て!』みたいな手紙だった。
「それでいいのかな……?」
二人とも友達とはいえ、公爵家の人間だ。
「もうわかんない! いいや! スーちゃんから書こう!」
『スーちゃんへ! レオン様の入学祝いをしたいんだけどーー』
と、全ての思考を投げ捨て、スーちゃんやシャイナちゃん、アリアちゃんが送ってきた手紙みたいなラフな文書を作成。
「お父様出来ました!」
「お疲れ様! あとは遣いに渡しておくよ」
「ありがとうございます!」
それぞれ『スティア様』『シャイナ様』と書いた封筒に入れ、無事初手紙終了。
「そういえば、メロードさんからヒカリ宛に手紙が来てるよ?」
「アリアちゃんのお父様から?」
「はいこれ」
お父様から手紙を受け取り、開封して読み進める。
「なるほど」
端的にいえば『カルラがヒカリちゃんと遊びたがってるから、うちに来てあげて欲しい』とのこと。
「あと、メイさんからも来てるよ?」
「アリアちゃんのお母様からも!?」
今度はメイ様からの手紙を受け取り読み進める。
簡単に言えば『少し前にフィリアさんがアリアとカルラに服を買ってくれたから、私からも二人にプレゼント!』とのこと。
なんか親同士がすげぇ仲良くなってる。
「コウはまだセルライト公爵家に行ったことないし、近々連れて行ってもいいかもね?」
「うん、カルラくんもコウと仲良くしてくれると嬉しい」
コウの一つ上には第三王妃がいて、僕の知らぬ間に誕生祭に行ったらしい。
そこで交友も少しは出来ただろうけど、僕はコウの友人関係を知らない。
だから、少しでも目に見える交友関係がコウにあって欲しい。
「で、これがメイさんが贈ってくれた服。オーダーメイドらしいから大切にしなさい?」
「ありがとうございます!」
メイ様、総経営者権限を存分に使ってる。
まぁ『素敵な服を着ている人が好き』って言い切るくらいだし、メイ様らしい贈り物だ。
「そんなわけで、明日セルライト家に行こうと思う」
「急ですね!?」
何が『そんなわけで』なのお父様……。
「元々僕はメロードさんと経営で相談があってね、どうせなら家族全員で行きたいなって。メロードさんにも許可は得てるから」
「なるほど……」
絶対元々家族全員で行くつもりだったよねお父様。
「因みに、アリアちゃんとカルラくんは家族全員で来ること知らないから、しっかり驚かせてあげなさい?」
「お父様ってそんなお茶目する人だったんですね?」
「親なんてそんなものだよ? 息子や娘が喜ぶためなら意外となんでもするんだ」




