69話 ブライン・ミクロライト公爵子息
「お兄様、今日はエイ様とお出かけの予定ではありませんか?」
若干呆れたような声をしている。
予定忘れるの日常茶飯事なのだろうかこのイケメンは。
「あぁ……エイが予定被らせちゃって、明日になった」
「またですの!?」
あ、相手側が日常茶飯事なのね?
婚約者相手とはいえ何度も予定変更が起こるのって大変じゃないか?
「相手のエイ様って、そんなに多忙なお方なの?」
「かなり多忙な方よ?」
忙しいと予定組み立てるの大変だけど、何度も予定被らせるほど多忙な方って一体……。
「何せ第二王女だしな?」
「へぇ…………王女様!?」
エイ様は王女様!? つまりーー
「じゃあ『エイ・オリスティナ』様!?」
「あれ、知らないのか?」
「ヒカリちゃん……もう少し世間を知った方が……」
シャイナちゃんが若干呆れてるけど、どこからそんな情報仕入れてるのかの方が気になる。
「まぁそんなことで暇になっちゃって、今日お客様来てること忘れてて……」
「お兄様も大概ですわね?」
「あはは……」
なんか、お似合いのカップルだな。忘れ癖で将来苦労しなければの話だけど。
「でも丁度良かった。俺も気になってたんだよね、君のこと」
「え、私?」
「おにいさま!?」
ブラインさんは柔らかい目つきで僕をじっと見つめる。
「あ……あの……?」
「お・に・い・さ・ま!?」
「おいシャイナ!」
シャイナちゃんは僕を見つめるブラインさんを無理やり引き離す。
「婚約者いる身だし何もしないよ。ただ、シャイナが言ってた通り可愛い子だなって!」
「えっと……ありがとうございます?」
「これ以上ヒカリちゃんにちょっかい出すなら、エイ様にお兄様が私の友達口説いてたって言いますわよ?」
「それは勘弁してくれ!」
ごめんな〜と一言添えて、シャイナちゃんに押されて物理的に距離を取る。
「あはは!」
「ヒカリちゃんもあんまり笑っちゃダメ! 直ぐ調子に乗るんだから!」
このきょうだい、かなり面白いかもしれない。
「冗談はこれくらいにして、確かにシャイナの言う通り、学園入ったら絶対狙われるぞヒカリちゃん」
「スーちゃんのお父様も似たようなこと言ってましたけど、どう言う意味ですかそれ?」
純粋に見た目が良いからなのか、世間知らずのお嬢様だから利用しやすいのか。
「ヒカリちゃんさ、自分でお茶会開いたことある?」
「……自分で、どうやって開くんですか?」
「え?」
「は?」
「へ?」
ん?
「「…………」」
「まぁ良いや、続けるね?」
なんか凄い変な間があった気がするけど今は良いや。未来の自分の境遇の方が大事だ。
「ヒカリちゃんって、今結構幻の存在なんだよ。お茶会も開催しないし、伯爵家で初めて王族の婚約者の最終候補に残ってるし」
「なるほど……」
お茶会の開催云々はしょうがないとして、王族の婚約者最終候補はレオン様の裁量なんだよな……。
「それに、初対面の公爵家の人間にも分け隔てなく話してるし、あんまり身分とか気にしないでしょ?」
「はい、平民の友達もいるので、多分気にしない寄りだと思います」
ナツとルカはかなり特別寄りだけど、前世の価値観が色濃い僕には、貴族や平民の差なんて大してない。
まぁ流石に公爵家とか王族相手は緊張しちゃけどね。
「学園は貴族とか平民とか関係ない場所なのは知ってるよね?」
「はい……」
学ぶための場所に身分があっては、教師の買収などの不正に繋がってしまう。
流石に自然に出来てしまうカースト制度はどうしようもないけど、前世の学校でもあったものだから、どうにか掻い潜るしかない。
「『身分とか関係ない』って言われても、どうしても階級は気になっちゃうんだけど、ヒカリちゃんは学園外の僕でも臆せず話せてる。つまりーー」
「つまり?」
「『身分とか関係ない』って意識が少しでも頭の隅にある人は、ヒカリちゃんの性格が非常によく刺さる。人としても、恋愛対象としても」
「……うそ」
「学園に通ってる俺がそう思ってるんだから、確実だと思うよ?」
ヒカリちゃん、モテフラグが立ちまくってます!?




