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64話 魔法とは


「ちょっと話しすぎたわね? それじゃあ始めまーー」

「ちょっと待って下さい! 魔法とか良いから続き聞かせて!」


 もうそんな関心なくなりましたよ?


 魔法がどうのこうのって話よりずっとインパクトありましたよ?


「そうね、家庭教師で教えられる範囲全部教えられたら、話してあげる?」

「な……何年後……?」


 生涯学習とか言われてるのに、一生話す気ないんじゃ……。


「そんな先じゃないわよ! 魔法なんて本来、学園入ってから教えるものだし、ヒカリちゃんが十一歳になる頃には教え終わってるわ!」

「よ……良かった……」


 まぁ他の異世界と比べて魔法の比重は圧倒的に軽いだろうし、浮かれ過ぎない程度にやれば問題ないだろう。


「じゃあレオンもおいで?」

「はい」

「え?」

「どうしたのヒカリちゃん?」

「レオン様も、やるの?」

「えぇ! レオンも学園前にやる課題全部終わらせて暇そうにしてたから、つい誘っちゃったわ?」

「なるほど……」


 当たり前だけど、自分だけが全過程終わらせて暇してたわけじゃないんだ。



「じゃあまず、二人には魔法がどう日常に溶け込んでるのか説明するわね?」

「日常に?」

「溶け込んでる?」

「そうよ? 用途を知らなければ覚えても使えないでしょ?」

「それは確かに」


 そんなわけで僕とレオン様はメイドと執事が適当に持ってきてくれた椅子に座り、完全に講義を聞く生徒のようになっていた。


「魔法は色々使い道あるけど、一番よく使われてるのは『変装』ね? こんな感じ」

「「おぉ〜!」」


 トワ様が人差し指で自分の頭を軽く叩くと、金色だった髪が白に、茶色い瞳は黒に変色した。


「髪の変色、瞳の変色、爪なんかも変色しちゃえばネイルみたいに出来ちゃう!」

「凄く綺麗です!」

「ありがとうヒカリちゃん!」


 これで町中歩いても『王妃様がいる!』とはならない。だって最早別人だもん。


「でも、持続時間は思ったより短いからそれは注意ね? どれだけ長く保っても三時間かな?」

「意外と保つんですね?」

「そうでもないのよレオン?」


 実際僕も結構保つなって思ったけど、アリアちゃんと下町で遊んだ時も、お話しているだけで二時間があっという間だったし。


 それに『長く保って』三時間だ。二時間で魔法が切れることもあったりしそう。



「魔法は気持ちによって変わる。魔力量とかは一切関係ないわ? それに、魔法が切れたかどうかなんて自分じゃ気付けないもの!」

「えっと、どういう事ですか?」


 自分でかけた魔法なのに、切れたことに気づかない?


「昔の失敗談なんだけど、魔法で変装して下町歩いてたんだけど、二時間くらい経った頃かしら、凄い見られるなって思ったら魔法が切れてて、王妃の素顔のまま歩いてたのよね?」

「え、それって危なくないですか?」

「とっても危ないわよ?」


 うふふ〜なんて笑ってるけど、ボディガードとかいなかったら洒落にならない。



「だから今から二人に教えることは、魔法を使う時の気持ちのあり方よ! 魔法は気持ちに左右されるものだから!」

「「はい!」」


 そこから軽く説明された。


 例えば誰かとデートに行く時『楽しみだけどちょっと面倒くさい』って気持ちで魔法をかける。


 そして待ち合わせをして遊んでいるうちに『面倒くさい』気持ちがなくなっていた。


 それすなわち、魔法の持続時間の低下!


 らしい。


「減点方式みたい」

「ヒカリちゃん難しい言葉知ってるのね? まさにその通りよ! 流石ヒカリちゃん! 可愛い、頭良い!」

「あはは……」


 パチンと指を鳴らして褒め称える。


「当然だけど、魔法をかけた時の気持ちのままいるなんて出来ない。けど、予定によって『殆ど楽しく時間』と『殆ど窮屈な時間』を予想することは出来るから、その気持ち作りの練習ね!」

「「はい!」」

「さて、始めるわよ?」

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