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47話 一人で出掛ける外の世界


「はぁ……」


 アリアちゃんと下町に遊びに行くまで後三日。


「暇……」


 十二歳になったナツとルカは学園生活始まって忙しいから、ユースがコウの家庭教師をやってても中々うちに来ない。


 魔法を教えてくれる教師は探し始めたばかりで、そんな直ぐ見つかるわけもなく。


「ちょっと、頑張りすぎたか?」


 アリアちゃんと一緒に色んなことやりたい一心で全教育課程頑張ったけど、こうも暇になるとは。


「おねえちゃん、おべんきょうおしえて?」

「コウ、たまには自分で頑張らないとダメよ?」

「でも、むずかしい……」


 冊子とペンを抱えて僕の部屋に入ってきたコウは、ちょっと頼り過ぎだけど、あいも変わらず頑張り屋。


「どこがわからないの?」

「ここ」


 そんなわけで僕は最近、コウの勉強を見て時間を潰している。


 スマホがあった前世が本当に羨ましい。


 あのコンテンツ無限供給は暇を許さない仕様だった。


 そんなこんなで勉強を一時間ほど見て、コウが疲れて去っていき、再び暇な時間が訪れる。


 こんな時、令嬢系のラノベ主人公って何してるんだろう。


 領地改革? それはお父様が既に終わらせてますね?


 領地防衛? この世界に魔物っているのかな?


 追放? こんなに溺愛されてる僕が?


 料理? 僕に知識がないからできないよね?


 娯楽? 大昔ポーン王妃とロンド陛下がある程度普及させてるね?


「絶対あの二人のどっちか日本人だよな……」


 歴史上の人物だからもう会えないけど、異世界にけん玉とか将棋がある時点でグレーな存在。



「そうだ!」


 家に篭ってるから暇なんだ。外に出てふらつけば何か新しい発見あるかもしれない。


 僕は急いでメイ様に買っていただいたゴシック調の服に着替え、お仕事中のお父様のいる執務室へ向かう。


「お父様、おでかけしたいのですけど、行ってもよろしいですか?」

「随分と突然だね? 何か欲しいものがあるのかい?」

「いいえ? 私、下町の様子をちゃんと見たことなかったので、少し歩いてみようかと」


 今まで外に出る時は馬車に乗って移動しており、唯一下町で遊んだ記憶がレオン様と下町に行った四歳が最後。


 もう一度くらいちゃんと下町を自分で歩きたい。


 今度はレオン様と遊ぶためじゃなくて、下町の様子を見るために。


「正直うちには護衛なんていないからダメって言いたいけどーー」

「旦那様、私が公務を変わりますので、お供されてはいかがですか?」


 ミューゼはペンを置いて、今にもお父様の仕事を変わろうと椅子を立つ。


「いや、今は全員手が離せないだろう? ヒカリ、あまり遅くはならないこと、路地裏には行かないこと、遠くに行きすぎないこと。守れるかい?」

「勿論ですお父様!」


 前世分の経験値があるとはいえ、ヒカリちゃんはまだ十歳の少女なのだ。


 自分のミスで自分を危険に合わせるわけにはいかない。


「フィリアとシャルにも出掛けることは伝えるんだよ?」

「わかりました! ありがとうございますお父様!」


 僕ははしたなく扉を豪快に閉めて執務室を後にする。



 そしてーー


「お母様、シャル! 少し外に行ってきます! お父様には許可貰ってます!」

「え、え? ヒカリ、一から説明してちょうだい!」

「お嬢様……」


 お母様とシャルのいる部屋に駆け込み、いきなりシャルに呆れられた。


 ざっと事の経緯を話し、遅くはならない、路地裏には行かない、遠くに行かないを条件に外出を許可された。


「まぁそれならいいけど、本当に気をつけてね? ある程度治安は良いけど、誘拐がないわけじゃないからね?」

「わかりました! それじゃあ行ってきます!」

「行ってらっしゃい!」

「行ってらっしゃいませお嬢様」


 再びはしたなく扉を閉め、廊下を駆け、靴を履いて正面玄関の扉を開き、庭を駆け、正門を抜ける。



 ヒカリちゃん、初めて一人で外の世界を歩きます!

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