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44話 人たらし王子様


「ヒカリ、その格好凄く可愛いよ?」

「あ、ありがとう……ございます」


 僕は全力でパニックを起こしていた。


(なんで結婚想定で考えたの!? なんでここにレオン様がいるの!? マジで誰か助けて!?)


 無自覚にメイ様の裾を摘み、その姿を見たメイ様がクスリと笑う。


「ちょっと王子様方、ヒカリちゃんに興味があるのは良いけど、背の高い殿方からの視線は怖いのよ?」

「あ、ごめんねヒカリ」

「これは申し訳ない、ウィンガート伯爵さん!」

「い、いえ……」


 的外れな見解だけど、正直ものすごーく助かった。


 頭を整理する時間が欲しい。



 軽く深呼吸をして、頭をクリーンにする。


「おかあさま、この人」

「カルラはまだ会ったことなかったわね? レオン第三王子様、ヒカリちゃんの婚約者よ?」

「まだ候補ですよメイ様! スーちゃんとシャイナちゃんもいます!」

「え……そ……え?」


 あぁ、凄いショック受けてるよ……。


「お兄様もヒカリと会うのは初めてでしたよね?」

「あぁ、アリアからよく名前が出てたから一度会って見たかったんだ!」


 ユアン様が軽い足取りで適切な距離まで近づき、軽く一礼。


「初めまして『ヒカリ・ウィンガート伯爵令嬢』様。私、ポーンロンド王国の第二王子『ユアン・オリスティナ』と申します。以後お見知り置きを」

「は、初めまして『ヒカリ・ウィンガート』です。お見苦しい格好で申し訳ございません!」


 正式な場でないにしろ、王族の前でこの格好はちょっと……。


 いや会うこと想定してないから事故みたいなものなんだけどね。


「しかし、今まで婚約者候補は公爵と侯爵しか残らなかったのに、レオンがこの子を婚約者候補に残したのもわかるな?」

「お兄様?」


 少しイタズラっぽい笑みを浮かべ、レオン様に見せつけるように僕に顎クイをする。


「凄い可愛いね? レオンやアリアから聞くに穏やかで純粋な性格だそうで。俺の婚約者候補でも良かったんだよ?」

「なっ!!?」

「お兄様!?」

(この……このっ……!?)


 やばい、ガッツリ赤面してしまった!


 なんなんだこのイケメンは!? 少女漫画じゃないんだよ!



「冗談ジョーダン! ちょっと揶揄いたくなっちゃっただけだ!」


 ユアン様はケタケタ笑っているが、レオン様は本気で顔を真っ青にしてる。


「ユアン様、あまりお遊びがすぎると、アリアに今のこと言っちゃうわよ?」

「か、勘弁してくださいメイさん!」


 ユアン様はまずいと悟ったのか「すまないねヒカリちゃん」と大急ぎで謝ってきた。


 一方僕はーー


「い……い……」

「い?」

「イケメンだからって……なんでも……許されるわけ……!」

「あはは! ごめんね?」


 本気で鼓動が高鳴ったことを上手く隠せず、ツギハギな言葉で言いたいことを言った。


 そしてユアン様は面白そうに頭を撫でてきた。


(こ、これだからイケメンは!?)


 ヒカリちゃん、ユアン第二王子の第一印象は最悪です。


「ヒカリ、大丈夫?」

「うん、一発殴りたいこと以外は大丈夫」

「全然大丈夫じゃないね!?」

「あはは!」


 少し慌ててるレオン様の態度を見て思わず笑ってしまいました、ようやく正気が戻る。


「そういえば、今日は何してたの?」

「平民服を買いに来てました! 来週アリアちゃんと下町で遊ぼうって約束してまして、それ用です!」

「凄く良いね? 僕も去年下のお兄様、えっと、ユアンお兄様と同じ理由で下町に来たんだ」

「そうなのですね!」


 そんな世間話を咲かせている中、カルラがムッとした表情で僕の肩をたたく。


「その人、ヒカリちゃんの……」

「えぇ、まだ候補だけどね?」

「こちらの男性は?」

「アリアちゃんの弟さんよ?」

「セルライト公爵様の、ってことは、カルラくんだね?」

「え、ぼくのこと知って……」


 カルラくんは驚いた表情でレオン様を見つめる。


 そりゃ会ったことない人から知られてたらびっくりするよね。


 ようやく互いに軽く挨拶を済ませ、カルラくんはいまだにショックを隠せない表情だが、表情はある程度和らいでいた。


「ヒカリ、その姿可愛いね?」

「何回目ですか!?」


 いやレアな姿だけど、そんなに言わなくても。


「うーん」

「えっと、どうしました?」


 何がそんなに不服なのだろうか。少し俯いてしまった。


「ユアンお兄様の時は照れてたのに、僕の時は普通の表情なんだなって」

「いやあれは条件反射ですよ、論外です」

「ろんが……」


 確かにめちゃびっくりして鼓動高鳴ったけど、あれで惚れることは普通にあり得ない。


 元男だろうが現女だろうが、あれはない。


「じゃあ、えっと、失礼するよ」

「へ?」


 レオン様は僕をゆっくり顎クイする。


(え、今論外って言ったばかりだよ!?)


 嫌われたいの? それとも予告すれば良いと思ってる?


「ヒカリ、今日の見慣れない姿、凄く可愛い」

「あ、ありがとうございます……」

「いつも白いドレス姿だったけど、黒いワンピース姿もよく似合っている」

「わ、わかった、ありがとうございます!?」

「本当は真っ直ぐ僕を見てて欲しいけど、照れて視線を逸らす姿も素敵だ」

「なっなっ!?」


(も、もう無理……!)


 僕の顔は真っ赤っかに染まり、頭から煙をあげ、恥ずかしさのあまり動けないでいた。


「レオン様、ヒカリちゃん硬直しちゃっているので、アプローチはほどほどに?」

「……今日はこれで満足です」


 レオン様は頭を優しく撫で「またね!」と手を振ってユアン様と馬車に乗って去っていった。


「ヒカリちゃん大丈夫?」

「な……なんとか……」


 やばい、顔が熱い。どんど鼓動が加速する。


 何やってんだ僕、元男だろう! こんなガチ照れしてどうする!


「カルラ、そんな気を落としちゃダメよ?」

「うん……」


 あの人たらし王子共、マージで覚えておけよ!!


 カルラくんの落ち込む気持ちすら気付かぬまま、そのままセルライトの屋敷に戻っていった。


 カルラくんとのデート? カルラくんが乗り気じゃなくなったからなくなったよね?


 あはは……。

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