41話 取り付けた約束
「そういえば、学園ってどんな感じなの?」
「うーん」
話題を切り替え、純粋に気になっている学園生活の話を切り出す。
十二歳のアリアちゃんは入学したばかり。
右も左もわからないはずだけど、ヒカリちゃんの好奇心を抑えられなかった。
「すごく広くて迷っちゃうわ?」
「広い?」
「えぇ! 王国をそのまま小さくしたみたい!」
「おぉ」
前世で言うところの……大学? 高校生で死んだから多分だけど、大学なのかな?
「ならユアン様とはどうなの?」
「ユアンとは、うーん」
アリアちゃんは第二王子の婚約者候補の一人。
ユアン様とは会ったことが一度もないけど、アリアちゃんと同い年だし、それなりに進展があったら聞きたい。
「特にかしら? いつも通り優しいわね? 私にももう一人の候補者にも」
「もう一人……え? なんで?」
「当たり前でしょ? 王太子様が二人いる候補者の一人に肩入れしちゃいけないわ?」
「………………」
あれ〜ヒカリちゃん気づいちゃった?
「じゃあレオン様、私に甘々なのって……」
「多分他の候補者にも同じよ? 誰を婚約者に選んでも後悔しないように」
「のーん!!」
やーだー、レオン様確実に僕にガチ恋してるとか思っちゃってた!
全員に同じ対応だったんだぁ〜! 思い上がり甚だしいですわ〜?
「はぁ……」
なんで男って、相手が自分のこと好きって思い込むんだろうね……ほんまに……。
「ヒカリちゃん、レオン様にふられたの?」
「ちがいます!?」
おいカルラ、喧嘩するか? 多分まだ勝てるぞ?
「じゃあレオン様に振られたら、僕に教えて?」
「カルラ!?」
大急ぎでアリアちゃんはカルラの口を塞ぐ。
「カルラくんは、デリカシーをお勉強した方がいいかもね?」
マジピキリしそうなヒカリちゃんです。いや男が好きってわけじゃないけど、今はちょっと不安定なんです。
主に自分の勘違いのせいで。
「ヒカリちゃん、嫌いにならないであげて?」
「善処する」
「善処って、ヒカリちゃんお父様みたいな口調……」
アリアちゃんが苦笑いしてるけど、今のはマジで前世男が全面に出てた。
「でもヒカリちゃん凄いわね?」
「何が?」
「王太子の婚約者候補のことよ?」
「ん?」
レオン王子とは普通に仲良くしているけど。
「伯爵で婚約者候補に残ったの、ヒカリちゃんが初めてなのよ?」
「そうなの?」
「えぇ! 歴史の講義で『前例にない! 王家は限りなく平等だ!』って興奮してたわ?」
「あはは……」
その最初の例が元男の転生者って凄い皮肉だけど、そんなこと他の人にはわからないよな。
「大丈夫よカルラ、まだ候補者だから?」
「おねえちゃん!」
「あ、あはは……」
アリアちゃんから見ても弟の存在って可愛いんだな。ちょっとえげつなかった気がするけど、きょうだいなんてこんなもんか。
「そうだ! ねぇアリアちゃん、今度下町でお買い物しない?」
「良いけど、どうしたの急に?」
「アリアちゃん学園生活であまり会えなくなっちゃうから、一緒に遊びたいなって」
「ヒカリちゃん……!」
僕も二年後には学園に通うとはいえ、魔法の勉強もやってみたいし、アリアちゃんは今学園生活でてんてこまい。
会える時間は限られている。
「じゃあ、平民の格好幾つか見繕わないとね?」
「お母様?」
「アリア、そのドレスで外に出るつもり?」
「あ……」
アリアちゃんが今着てるのは真っ白のドレス。
こんなの、身代金欲しさに貴族の誘拐を目論む連中の餌でしかない。
「そうだ! ねぇフィリアさん! 私はヒカリちゃんを、フィリアさんはアリアを平民コーデしてみない?」
「え?」
メイ様が声を跳ね上げて提案する。
「私、平民服ブランドの総経営しているのだけどーー」
「えぇ……」
ケロリと出して良い話題じゃ、いやでもお母様も多分何かやってるし……。
「どうせなら、可愛い娘には可愛い服を買ってあげたいじゃない?」
「良いわね! アリアちゃん、私で良ければ選ばせてくれないかしら?」
「ヒカリちゃんのお母様が選んでくれるの! やったぁ!」
アリアちゃんも無邪気に喜んで、転々と話が進んで行った。
遊びに行くのは今日から一週間、そしてコーデは今からするそうです。
今からかぁ……。
ちなみに、カルラくんもついて行きたいと声を張り上げ,僕のコーデに同行しました。
まぁ、好きな女の子の服は見たいよね?




