39話 筒
「ヒカリちゃん!」
「起きた! 良かったぁぁ……!」
「ちょちょっ!?」
目が覚めた時、スーちゃんとシャイナちゃんが半泣き状態でベッドの隣に座っており、途端に抱きついて来た。
「ここどこ? なんで私……」
「その説明は私がするよ」
何もかもが追いついていない状況で、突然陛下が部屋に入って来て、なんか説明するとか言い出した。
マジで何? 本当にもう少し説明が欲しい!
あと二人はちょっと離して欲しい! 苦しい!
「ヒカリちゃん、久しぶりだね」
「お久しぶり……です、陛下?」
何故か挨拶を交わす。いや挨拶は大事だけど。
「オズワルドも心配してるから、手短に何があったか教えるよ」
「お、お願いします」
さて、寝起きの頭でどこまで理解出来るか。
「ヒカリちゃんがあそこで倒れた理由は、体質なんだ」
「体質? 持病持ちですか?」
「どちらかと言うと、特殊体質の方が近いかな?」
「あら〜?」
これ、チャンスとピンチが同時に来ちゃった!
爆発的な魔力か、一切ない魔力かの二択だ。
「一般的には『筒』って言われててね」
「「筒?」」
スーちゃんとシャイナちゃんも興味があるのか、僕に抱きついたまま声をハモらせる。
「簡単に言うと、ヒカリちゃんは魔力がない」
「ない!? 私死んでる!? 欠乏通り過ぎちゃった!?」
「あはは、その発想に至るのは面白いね?」
「おもろくないですよ?」
ついさっき魔力がなくなったら死ぬって言われたばかりなのに魔力ゼロ? 終わってんだろ。
「ちょっと魔法のお勉強をしても良いかな?」
「はい」
何故か急に勉強が始まろうとしているが、確実に説明に必要なことくらいわかる。
「魔力というのはーー」
そこからざっくり魔力について陛下から聞いた。
魔力は体内にも大気中にもどこにでもある、いわゆる第二の空気みたいなものらしい。
魔力欠乏で死ぬ理由は『空気がなくなれば人間死ぬよね?』ってこと。
で、話をヒカリちゃんに戻そう!
ヒカリちゃん、どうやら魔力を溜めることが出来ないらしく、空気中の魔力を使って生きているんだ。
でも、あの会場のホールは、魔力測定のために魔力を遮断していた。
つまり、魔力の供給が外から出来なくなったヒカリちゃん、めっちゃくちゃ命の危機だった!
というわけで……。
「私、死にかけてた?」
「ヒカリちゃん、あれから二日経ってるんだよ?」
「嘘!?」
「心配……じだんだがらねぇ!」
「よがっだぁぁ」
シャイナちゃんもスーちゃんもボロボロに泣いている。
本当に二日経ってるらしい……。
そして二人は二日、王城に泊まったらしい。まじごめん。
「これ、裏を返せば、私って外では絶対に魔力欠乏起こさない?」
「流石ヒカリちゃん、理解が早いね?」
「あら〜」
転生ラノベが好きな元男子高校生、強みに気付くのは早かった。
ねぇ女神様、いつのまにかこんな素晴らしいギフトをくれちゃったんですか?
それとも、今悔しがってるぅ?
*
あのあと特段容体も悪くなく、スーちゃんもシャイナちゃんも家に帰り、僕のお父様の迎えが来たと知らせが来た。
そしてーー
「ヒカリ!?」
「お父様!」
王城ということを忘れ、お父様は僕に全力でハグして来た。
「無事でよかった……!」
「心配かけてごめんなさい」
「良いんだ、無事なら良いんだ……!」
あぁ、なんか、温かいな。
「陛下、娘を見てくださりありがとうございます」
「構わないよ。レオンにもヒカリちゃんが起きたこと伝えておくよ」
あの場にいなかったレオン様も相当心配していたと聞く。
マジでちゃんと謝らないと。
あと、スーちゃんとシャイナのためにお茶会どっかで開こう。
それから直ぐに帰宅して、お母様にも抱きつかれ、シャルにも抱きつかれ、ミューゼがボロボロと泣いており、コウに至ってはーー
「おねーちゃん死んじゃヤダァァ!!」
「生きてるよ? 大丈夫よ?」
「ヤダああぁぁぁ!」
抱きついて延々と泣き続けていた。
なんか、僕が五歳の頃のお母様の出産時を思い出すなぁ……。
僕もボロボロに泣いてたっけ。




