38話 魔力測定とは
「あれ、二人ともいる!」
「スーちゃん久しぶり!」
「お久しぶりです!」
スーちゃんことスティアちゃんもレオン王子にエスコートされて合流。
どうやらスーちゃんが最後の一人だったようで、合流して早々に壇上の人が話を始め出す。
「十歳になられた皆様、まず最初に、今日であろうとなかろうと、お誕生日おめでとうございます!」
「あ……」
「ヒカリちゃん?」
「ううんなんでも!」
「?」
凄い今更だけど、シャイナちゃんも同い年なのか。
なんか、一つ上のレオンだけハブってるみたいになってしまったな……。
王族なのに、ほんまごめん……。
「あと十年もすれば、皆様も大人の仲間として『ポーンロンド王国』或いは『他国』で活躍するでしょう」
「……」
「しかしーー」
やばい、長くなる予感しかしない。
これあれだ。朝礼の校長先生のお話だ。ガチ辛い。
「その上でーー」
まぁようやくすると、あと二年で学園生活だね? 気を緩めず頑張ってね? 十年後には大人だよ?
マジで五分も十分も時間かける意味ない……。
「では続いて、魔力測定の説明です」
「ま、まだ話あるのぉ!」
「スーちゃん、静かに!」
「辛い……」
「ヒカリちゃんも!?」
全てをシャイナちゃんに委ねて、僕とスーちゃんは溶け始めた。
「もう、伯爵と公爵が情けないわよ!」
シャイナちゃんがなんとか僕とスーちゃんを肩に担いで横転を防ぎ、重さに負けてゆっくり座る。
「勘違いしている人も多いですが、魔力測定は魔力の強さを測るものではありません」
「へ?」
違うの? 魔法バンバン使うために測るんじゃないの?
「魔力測定は、魔力欠乏を起こさないために、自分の限界を定義するものです」
「限界を定義?」
「どう言うことかしら?」
溶けながらも耳だけは一丁前に傾いている僕とスーちゃん。
「中には『限界は超えるためにある』と仰る方もいますが、限界を超えた先が『死』であったら超えてはいけません」
「うえぇ……」
要するに『死にたくないなら無茶するな』というかことだ。
文字通り、無茶したら死ぬ。
(ふざけんなぁぁぁ!!)
あのクソ女神、とんでもない世界に転生させてくれたな!
まさか魔力欠乏=死だとは思わないじゃん!?
だから幼い頃は魔法使っちゃダメなのか! クソぉ!
「……帰りたい」
「ヒカリちゃん!?」
なんか、どうでもよくなっちゃった。
もう気分悪い。
*
気付けば説明が終わり、前方にいた人から適当に測定という名の検査が始まった。
「ヒカリちゃん大丈夫?」
「うん……」
そんな中、僕は結構な虚無感に襲われていた。
魔法の存在を知ってから苦節五年。魔法でドンパチする想像は何度もして来たのに、目の前には死という名の壁があった。
「顔真っ青だよ? 倒れる?」
「もう倒れそう……」
シャイナちゃんの心配も、スーちゃんのストレートな言葉も上手く汲み取れない。
いやはや、人間大きなショックを受けるとこんなにもふらつくんだね?
五年も待ったらこんな風にもーー
「ヒカリちゃん!?」
「ちょっと! 本当に倒れちゃったよ!?」
「…………あれ?」
身体に……力が…………入らない…………。
「……ちゃん……っかりし……」
「誰か!…………んが倒れち……た」
ぼやぼやと遠くから声が、二人の声が、聞こえる……。
「はっ!」
ようやく意識が鮮明になった時には、何故かベッドで眠っていた。
ヒカリちゃん、マジで何があったの……?




