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36話 王妃教育の概要


 こんにちは、ヒカリちゃんです。


 お茶会から時は過ぎ一ヶ月後。


 スーちゃんことスティアちゃんがあいも変わらず上から目線の手紙を送って来て、三人でお茶会をすることになりました!


 事実として立場が上だからいいんだけど、これじゃ勘違いされちゃうよ?


 というかシャルはゴリゴリに勘違いしてた!『自己顕示欲が透けて見える』とか言ってた!


 結果ただのお茶会だった! てかスーちゃん超優しかった!



 そんなわけでお茶会当日なんだけど……。


「えぇ!? レオン様お茶会に飽きてらしたの!?」


 スーちゃんが目をまん丸にして声を荒げた。


「うん、だからヒカリはお外に行って、気を晴らせたらなって」

「下町に行ったって、そういうことでしたのね?」


 対してスティアは関心したように手に口を当てる。


「そうだったのね? レオン様がヒカリちゃんを候補者にしたのもわかるわ? 私ももっと頑張ろう!」

「わたくしたちが楽しくても、お相手様も楽しいなんてことはないのですね?」


 きっとこういう学べる姿勢が、公爵家たる所以なのだろう。


 侯爵だったら喚き散らかしてたのかな……?


「でもレオン様が来たのはビックリしたわ? 来るならちゃんと言ってほしいわ?」

「「……」」


 スーちゃんの言葉に、僕とシャイナちゃんは硬直。


(この様子だと……)


 シャイナちゃんも前日に手紙送られて来たな?


「そ、それはともかく! ヒカリちゃんは教えてよろしかったのですか?」

「なにがですか?」

「レオン様がお茶会に飽きていること。話さなかったらヒカリちゃん、王妃になれたかもしれないのよ?」

「うーん……」


 仲良くお茶会しているが、僕たちはあくまで王妃の座を奪い合うライバルなのだ。


 正直王妃がどうのとか、元男の僕にはあまり魅力を感じない。だからと言って興味ないかと言えば、ヒカリちゃん的には興味が出てきてる。


 でも、それ以上に話した理由が一つ。


「レオン様がこのまま過ごすのって、可哀想だから」

「どういうこと?」


 レオン王子がつまらない想いで二人と話すのなんて、全員が可哀想。


「レオン様が『誰を王妃に選んでもよかった』って思ってほしいから……選ばれなかった人が『この人ならしょうがない』って思えてほしいの」

「「ヒカリちゃん!」」

「……へ?」


 ものの見事に声がハモる。


「ヒカリちゃんって、アホっぽそうなのにしっかり考えてるのね?」

「アホっ……!」

「スーちゃん……」


 そんなこんなで楽しい時間はあっという間に過ぎ、公爵二人とのお茶会は終わった。





 屋敷に帰り、部屋に戻る途中お父様に呼び出されて現在執務室。


「ヒカリ、王妃教育について詳細が送られて来たんだ」

「おお〜!」


 そう言えばあのお茶会でそんなことを言っていたような気がする。


「みたいです!」


 お父様から王妃教育についての手紙を受け取り、おおまかに読み解く。


 簡単に言えば、同盟国の言語、マナー、立ち振る舞い、それらを十二歳〜二十歳の八年かけて叩き込むというもの。


 仮に王妃になれなくても、望んだ就職先を見繕うと約束してくれるらしい。


「すごいね?」

「ヒカリも、すごいんだよ?」


 外国に憧れを持つ人なら、王妃教育受けるためだけに婚約者候補に名乗り出る人もいそうだ。


 いやそうじゃなくて! 僕はそれに選ばれたんだ!


「…………」

「嬉しくないの?」

「うれしいよ?」

「なら、どうして沈んでいるんだい?」

「……」


 なんか、ズルした気分になっちゃった。


 伯爵なのに婚約者に残ったのも、きっと前世が男だったからレオン王子との距離感が合致しただけで。


 あのお茶会の中には、本気でレオン王子とのが好きな人もいたのに……。


「ヒカリ」

「お父様?」


 お父様は椅子をたち、ゆっくり僕の前に座る。


「ヒカリが何を考えてるのかわからないけど、どんな形であれ、ヒカリ自身の力で婚約者候補に残ったんだから」

「うん……」

「今から他の人に譲る?」

「いやだ……」


 それは本当に、心の底から絶対いや。


「なら、胸を張って婚約者候補を名乗ろう」

「あい」


 泣きそうな気持ちを必死に堪え、僕は自分のほっぺを引っ張って目を見開く。


「おうひ教育頑張る!」

「まだ六年先だよヒカリ!」

「じゃあすくじょ教育頑張る!」

「それも四年先!」

「じゃあ音楽教育!」

「それは、今やってるから、一緒に頑張ろうね!」

「ん!」


 何一つ叶わなかった転生先でも、未来はそれなりに明るそうだ。

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