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35話 レオンの決め手


「おまちください!!」


 ルージーが声を上げて立ち上がる。


「君は…………ルージー・セッカ侯爵だったかな」

「はいレオン様。お一つだけ、よろしいでしょうか……」

「何かな?」


 震える手足と声を力んで封じ込め、一つ深呼吸。


「何故、今なのですか?」

「今、とは?」

「婚約者候補は、私たちにとってもレオン様にとっても大切なモノのはずです。なぜ今決めたのですか!」

「そうだね……」


 少し考える仕草をした後、レオン王子は王族の仮面を捨てて、クシャけた笑みでこう言った。


「僕は、人を好きになれる人が好きなんだ?」

「それ……は……どう言う……?」

「……」


 幼い頭で理解するのは難しいだろう。


 このお茶会をなぞるなら『人を泣かせてヘラヘラしている君たちは嫌い』。


「それに、さっきも言った通り、父上も婚約者候補を二、三人にしても良いって言われていたので」


 それだけ言い残し、何事もなかったようにお茶会を去っていき、止まっていた馬車に乗り込んで去っていった。



 お茶会の空気は完全にお通夜状態。


「シャイナ! 私たち候補者に残ったわ!」

「『おうひ教育』頑張らないとねぇ?」


 否、公爵令嬢の二人はそんな事関係なく嬉しそうにしていた。


「ヒカリちゃんも、婚約者候補に残ったのだから、一緒に喜びましょ?」


 シャイナ様は無邪気に僕の手を取り「ね?」と笑いかける。


「そう……ですね、シャイナ様」

「シャイナでいいわよ?」

「へ?」

「じゃあ私も! スーちゃんって呼ぶのを許してあげるわ!」


 スティア様も僕の手を取り、ニカリと笑顔を浮かべる。


「じゃあ、シャイナちゃん、スーちゃん、これからよろしくね?」

「えぇ!」

「よろしくねぇ?」


 気付けば僕は、四大公爵の三人に気に入られていた。


 後ろでは居た堪れなくなった侯爵が帰宅の準備を始める。


 そしてーー


『許せない……』

「っ!?」

「ヒカリちゃん?」

「どうしたのよ急に?」


 突然恨みのこもった声が聞こえ、思わず振り返る。


 帰宅準備してるものの、まだ全ての侯爵令嬢が残っており、誰が言ったかなんてわからない。



 一つ言えるのは……。


 このお茶会で、確実にヒカリちゃんは婚約者候補だった者から恨みを買った。


 あの声は、確実に『私』に向いた憎悪だ。





「おかえりヒカリ!」

「ただいま戻りました、お母様!」


 馬車でのんびりくつろいでいたお母様と合流し、家に向かって動き出す。


「どうだったかしら?」

「スーちゃん、えっと、スティアちゃんと仲良くなったよ?」

「スティアちゃん……あら〜、オーラライト公爵令嬢と……凄いわね〜……」


 ガチで驚いているけど、その一人だけじゃないんだよな。


「あとね、シャイナちゃんもお友達になってくれたの!」

「あらら〜……ミクロライト公爵様も……」


 お母様から乾いた笑いが溢れてる。


「あとね、途中でレオン様も来てね? ヒカリ、婚約者候補に残ったんだ?」

「つまり?」

「ヒカリと、スーちゃんと、シャイナちゃんが婚約者候補だよ?」

「あらららら〜……」


 若干引いているような気がするけど、事実としてそうなったからしょうがない。


 流石に恨みを買ったことは話せなかったが、確実にお父様のコネクトとしては大収穫。


 まぁそんなつもりでお茶会来たわけじゃないんだけど。



「なら尚のこと、レオン王子のところに通うようにしないとね?」

「うん」


 あの場でレオン王子に本気で恋して脱落した人もいたんだし、これ以上のらりくらりと交わすわけにはいかない。


「まっ、とりあえずお家に帰ったらオズワルドに報告して、最終候補者おめでとうって祝いましょ?」

「うん!」


 僕を優しく撫でる手は温かく、緊張がほぐれていくのがよくわかる。



 こうして突如始まったお茶会は幕を閉じた。

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