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26話 三人の雑談


 こんにちは! ヒカリ・ウィンガートです!


 ヒカリちゃん、気付けば五歳になり、お母様のお腹の赤ちゃんは大きくなり、ベッドで寝たきり生活。


 生まれる日が楽しみでしょうがないです!


 そんな中でも毎日勉強はしなきゃいけないから頑張ってるんだけど……。


「せんせい?」

「……」

「ユースせんせい!」

「……あ! ごめんなさいヒカリ様、えっと、この問題ですね?」

「はい!」


 私より大人たちの方が気が気じゃない。


 お父様は仕事中にも関わらずずっとソワソワしてるし、ミューゼとユースの夫婦はボーッとしてるし、シャルは業務時間外でもずっとお母様のお部屋にいるし。


 他のメイドや執事も平静を装ってるけど、落ち着かない様子がバレバレ。


 今この屋敷で一番しっかりしてる人って五歳のヒカリちゃんじゃない?



「まったく!」


 勉強が終わった僕は庭のベンチに座って呆れていた。


「ヒカリ様、ご機嫌斜め?」

「ルカ、お貴族様相手なんだから、もう少し言葉をつつしんで!」

「はっ、申し訳ございません!」

「いいよ別に? ご機嫌ななめなのは本当だもん」


 ナツとルカが話し相手になってくれてるから嬉しいけど、二人がいなかったら会話のキャッチボールが出来る人がいなくなっちゃう。


 やばいよね? 会話のキャッチボールが出来ないんだよ?


 僕も楽しみだけど、僕がしっかりしなきゃって気持ちになっちゃったんだもん。


 五歳児なのに。


「そう言えばヒカリ様って勉強の方は大丈夫なんですか?」

「大丈夫だよ? ナツとルカに追いついたってユースさん言ってたし」

「うそぉ……」

「流石ヒカリ様!」


 二人は驚いてくれているが、正直前世の力に助けられてる。


 理解力ってすげぇ大事なんだなって思い知らされたよね。


「僕とナツ七歳なのに追いつかれたの?」

「がんばった!」


 理解力あると言ってもまぁ、ヒカリちゃん頑張ったのは事実なので。


「じゃあヒカリ様は音楽も始めるの?」

「おんがく?」

「だって、僕たちに追いついたんでしょ? 僕とナツは始めたよ?」

「あ……」


 あまり考えてなかったけど、僕は七歳に音楽教育が待っている。


 貴族だからしょうがないんだけど……。


「あれ? ナツとルカも貴族なの?」

「ううん? 私とルカは平民だよ? お父さんとお母さんも平民。どうして?」


 ナツは何故今更と言わんばかりに不思議そうに僕を見る。


「音楽とかしゅくじょ教育って、貴族がするものだと思ってたから」

「え、そうなの?」

「え、ちがうの?」

「「……」」


 お互い想像していた事実と乖離があったようで、見事にフリーズしてしまった。


「僕たち『平民でもゆたかなほう』ってお母さんが言ってたから、それなのかな?」

「なにそれ?」

「わかんない」

「あー」


 ナツとルカはちんぷんかんぷんな表情だが、言ってることは理解できた。


 なるほど、前世で言う中流階級の人たちなんだ。


「ヒカリ様、音楽やるなら早い方がいいと思うよ? 本当に難しい」

「うん」


 それは前世で経験済みです。リコーダー吹くのも一苦労だった僕がまともなわけがない。


「ねぇ、ヒカリ様はなにを選ぶの?」

「なにって?」

「音楽教育! 私は沢山あって選ぶの迷っちゃった!」

「二人は何を選んだの?」

「私はバイオリンでルカはミュージカル! ヒカリ様はピアノが似合いそう!」

「ナツ凄いんだよ? バイオリンって難しいのに直ぐ弾けるようになってて」

「そうなの? 今度聞かせて!」

「はい!」


 気付けば音楽教育のお話で盛り上がっており、日が傾く頃には音楽教育をやりたくて仕方なくなっていた。


 五歳児の好奇心、すげぇ!

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