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228話 繋がりの強固化


「あらヒカリちゃんいらっしゃい!」

「アヤメさんこんにちは!」


 普段『新・ダンス部』が活動している体育館へ到着すると、いつも通り多くの生徒が部活動に励んでいる。


 ただ普段と違う点が二つ。


「おぉ……これが『新・ダンス部』のダンス……」

「生で見るの初めてだけど……ヒカリちゃんがやってたダンスにそっくりだね?」


 一つは、モモさんとフィアさんが、驚くほど想像通りの反応をしていること。



 もう一つがーー


「あれ、ヒカリさんが来てる」

「タロウさんーーじゃなくてフィルさんだ!」


 フィルさんがいる。

 以前の会話で『新・ダンス部』所属なのは知っていたが、ちゃんと部活動に参加している姿は初めて見た。



「あれれ? ヒカリちゃんってウチのエースと知り合いだったの?」

「エース? フィルさんが?」

「そうよ? 元々社交ダンスを無理矢理このダンスに流用してたんだけど、フィルが来てから一転! 『新・音楽部』とも繋がれたし、何よりダンスが凄くピンと来る!」

「なるほど」


 そりゃ前世の知識持ちの人間だし、この程度の無双はご愛嬌だよね?



「フィルさん凄い!」

「素直にありがとうって言っておくよ」


 そして居心地悪そうに、そっぽ向いて褒め言葉を受け取ってくれた。

 ちょっと面白い。



「ところで、ヒカリちゃんたちはどうしてここに?」

「そうだ!」


 思い切り世間話に花を咲かせるところだったが、しっかりと用事があるんだ。


「えっと、テスト前の『新・音楽部』の課題といいますか、以前やったことを今度は三人でやろうかなって」

「以前…………あぁ、あの可愛らしいダンスのことね? 勿論協力するわよ? うちとしても『新・音楽部』との繋がりは保ちたいしね?」

「やった!」


 この感じだと、これからもこのコネクションは保てそうだ。


「ヒカリちゃん凄いね……流石ユウ様のお気に入り」

「フィアさん?」


 口を丸くして手を叩いているフィアさんは、若干引いているようにも見える。

 まぁ子爵からしたら、中々恐れ多い景色なことには違いない。


「それより、どうせならフィルがダンスの指導したら?」

「…………え、俺!?」

「えぇ!」


 そんな提案をしたアヤメさんの口は、策士を思わせるようにニヤリとしている。


「私だけが繋がりを持ってても意味ないし、久々に部活動に顔を出したんだし、課題の一つや二つくらいこなして貰わないとね?」

「うっ……」


 凄い渋い顔してる……。


「まぁ別に良いですけど……」

「?」


 今チラリと僕の方を見た気がしたけど、一体なんだろう。


「それじゃあ暫くフィルは、ヒカリちゃんと、モモさんとフィアさんの三人の指導をお願いね?」

「わかりましたよ部長。サボってた分くらいは頑張ります」

「お願いね!」


 可愛らしくウインクをした後、息を大きく吸い上げ、体育館中に響く声で一言。


「「こら皆んな! サボってないで続きやるよ!」」

「げっ!?」

「やばっ!」


『新・音楽部』のお客さんに気を取られていた『新・ダンス部』の人たちが、一斉に部活動に励み出した。


「ごめんね? 前回もそうだったけど、ヒカリちゃんの存在が気になるみたいで」

「あはは……」


 入学してはや三ヶ月。

 未だに僕は幻の存在らしい。



*



「ただいま戻りました!」

「ただいま部長!」

「緊張したぁ〜!」


 取り敢えず話だけ伝え、動ける格好でも無いのでそのまま揃って撤退。


「おかえり! どうだった?」

「ヒカリちゃんが凄かった」

「ヒカリちゃん凄かったね?」

「なんで私?」


 そして何故か僕の手柄になっている。

 偶々アヤメさんと知り合いだっただけなのに。


「その様子だと協力は出来そうね? このまま学園祭までしっかり繋がりを保たないとね!」

「あはは……」


 この人、本当にブレないな……。



「あれ、ハクトさんがいる!」


 各々が楽器を弄ったりしている中、教室の隅で珍しい人物を発見し、軽い足取りで目的の人の元まで歩いていく。


「……何か用か?」

「ううん、特には?」

「…………」


 この人……話す気はあるのだろうか。

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