224話 勉強会がしたい
「やばいやばい!」
翌日。僕は教室でしっかり焦っていた。
「私、テストの点数が…………このクラスじゃなくなるかも!」
もしもスーちゃんやシャイナちゃんと違うクラスになったら絶対にやっていけない。
「ねぇヒカリちゃん」
「スーちゃん、どうしよう……」
「ねぇ……私もしかして今煽られてる?」
「そんなわけない!?」
僕は本気で青ざめていると言うのに、何に対して煽ってるとか言い出すのだろう。
「凄いわね……ヒカリちゃん、教材の練習問題一問間違えただけでこんなこと言ってるのよ?」
「だって! もしも講師の中に私のことが嫌いで、一問間違えただけでどん底まで落とす人がいたらーー」
「いるわけないでしょそんな人! 目を覚ましなさい!」
「痛っ!?」
スーちゃんが本気で頭を引っ叩いてきた。
超痛い、誰か助けて。
「スーちゃん落ち着いて? あとヒカリちゃんも落ち着いて?」
「シャイナちゃん……!」
苦笑いしながら両手で宥め、徐々に落ち着きを取り戻す。
「被害妄想が凄いわね……」
「他の学園なら妄想って言い切れないけどね?」
スイカとサンも若干引いた目で僕を見ているけど、他校ならあり得るってのは聞き逃さなかったからな?
「しかしヒカリちゃん凄いわね? 間違いが一問だけって、どうやって勉強しているの?」
「どうやって…………うーん……普通に?」
特に特別なことはしていないけど、ヒカリちゃんの地頭の良さに救われているだけなんだよな。
「ねぇ、どうせなら勉強会してみない?」
「「勉強会?」」
「うん!」
シャイナちゃんの嬉々とした提案に、四人揃って首を傾げる。
「皆んなで一緒に、カフェに集まって勉強して、わからないところは教え合って、少しお喋りして!」
「あっ……」
そう言えば以前、そんなこと言っていたような。
確かあの後ルージーたちに逢って…………ってそれは忘れよう。
「凄くいいと思う!」
まぁ以前からシャイナちゃんがそういうのをやりたいって知ってたし、僕は大賛成だ。
「私も賛成よ! もしかしたら婚約者とご一緒するかもしれないけど」
「私もスイカと同じで、婚約者が来てもいいなら賛成かしら!」
どうやらスイカとサンも乗り気なようだ。
しかし、唯一乗って来なかったのが一人。
「申し訳ないけど、私はパスするわ?」
「スーちゃん、どうして?」
「ダイアのこともそうだけど、お母様がもう赤ちゃん生む寸前で、出来る限り家にいてあげたの」
「あ、それもそうね?」
流石にこればかりがしょうがない。友達との勉強会より、母親の出産の方が圧倒的に大事だ。
「埋め合わせはいずれするわ!」
「うん、楽しみにしてる!」
こう言ってくれてるし、いつか来るいずれを楽しみに待っていよう。
そんなわけで今日も講義が始まる。
テストまでどうやらおおよそ二週間らしい。
僕も気合を入れなくては。
*
「今日の講義はここまで。もう直ぐテストが始まります。このクラスは大丈夫だと信じていますが、くれぐれも酷い点数は取らないように」
講師の締めの挨拶が終わり、いつも通りまばらに生徒が教室から去っていく。
「ヒカリ!」
「レオン、ちょっと待ってて!」
いつも通りレオンがやってきて、周りから相変わらずだなぁという視線を感じる。
いや護衛なんですけどね。
「それじゃあ四人とも、また明日ね!」
「うん、また明日!」
「またね!」
急いで荷物をしまい、軽い足取りでレオンの元へ向かおうとーー
「ストップ!」
「ちょっ!?」
した時、急にリョウさんに手を掴まれ、思い切り引っ張られた。
「ねぇ何すーー」
「静かに」
口元に人差し指を指され、思わず口をギュッと閉じる。
「厄介な人が来てる。絶対にレオン様に任せた方がいい」
「厄介なーー」
思わず誰か確認したくなったが、声が聞こえただけで誰か直ぐにわかった。
「レオン様、何故私どもの元には来てくれませんの?」
「前にも言ったけど、僕は婚約者の方が大事だからね」
この声、僕の知らない誰かだけど、一体ーー
「ヴィカだ。あいつはやばい」
リョウさんですら、冷や汗をかくほどの相手。
どうやら僕が思っている以上に、やばい相手がいるようだ。




