↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
220/225

219話 貴族至上主義も黙らせる


「ふーん、貴女が噂の『ヒカリ・ウィンガート』ね?」


 取り巻きでわちゃわちゃしていた中、一人の女性が少々の嫌悪感を露わにしながら歩いてきた。


「ユ、ユウ様、この人はーー」

「あら、私のことも存じ上げないのですね? 流石、お茶会をろくに開かなかった引き篭もり(まぼろし)の令嬢ね?」

「こらユカリ! 何歳下の女の子に敵意向けてるのよ!」


 ユカリと呼ばれた人は、どうやら僕の存在が結構気に入らないようで、露骨に噛みついてきた。



「ごめんねヒカリちゃん、ユカリって根っからの『貴族至上主義』で『公平主義』の人を毛嫌いしてて」

「あはは……」


 学園は平等の筈だけど、やっぱり受け入れられない人もいるんだな。


 この人然り、セイナやルージー然り。


「えっと……」


 まぁ前世でも僕より歳上の人だし、主義がどうとか関係なく、ある程度目上の人は敬わないと。


「一年の『ヒカリ・ウィンガート』です! 私は…………仲良くしてくれると嬉しい……です!」

「っ!?」


 若干あざとい上目遣いになってしまったが、緊張したから仕方ない。


 簡単な礼をしてユカリさんを見上げるとーー


「かっ…………卑怯ですわ……!」

「へ?」


 なんと言うことでしょう、物凄く口角が上がっているではありませんか。

 必死に毅然とした態度を貫こうとしているが、まるで本能が拒否しているみたいだ。



「ははーん! ユカリ、自分以外男きょうだいしかいないから、歳下の女の子に弱いな?」

「ちょっとユウ様? お静かにしていただけませんこと?」


 鋭い目でユウ様を睨みつけるが、全然覇気を感じない。


「ヒカリちゃん、ユカリ陥落させちゃえ!」

「陥落……」


 ちょっと意味がわからないけど、適当に甘えて見てみよう。



「えっと……ユカリお姉ちゃん」

「なっ!?」


 物凄く赤面して、初めて見るほど口角が上がり、初手のプライドの塊みたいな面影は、完全の崩れ去っている。


「か……可愛い過ぎる…………」

「あら〜、七年同じクラスだけど、ユカリがこんなに表情豊かなの初めて見たわ?」

「こ……こんなの、あんまりですわ……!」


 すげぇデレデレなお嬢様だ。

 紫色の髪まで真っ赤に染まる勢いだ。


「えぇ! ユカリいいなぁ! ねぇ私も『お姉ちゃん』って呼んでぇ!」

「俺だと……お兄ちゃんになるのか……」

「おいバカども! ヒカリちゃんは私のだ!」

「ユウが連れて来たのにそれはないよ!」

「わわっ!?」


 今の呼び方がかなり効いたらしく、本当にクラス全員が僕とユウ様の周りに集まって来ている。



「みんな、残念だけどそろそろヒカリちゃん行かないと朝礼に遅れちゃうから!」

「「えぇ〜!!」」

「また連れてくるから、その時はまた私に感謝すると良いわ!」


 見事に声がハモリ、流れに身を任せて僕とユウ様は教室を出て行く。



 なんか、凄く濃い時間だった。



 教室を出て階段を下っている最中。


「これで味方が増えたわね!」

「味方?」

「えぇ! 初日の監禁未遂や、つい先日の監禁事件、シャイナちゃんからルージー侯爵令嬢に打たれたってことも聞いたし」

「あ……そういう……」

「味方が増えれば、ヒカリちゃんに手も出しにくくなるでしょ?」

「……ありがとうございます!」


 それが狙いだったか。

 確かに上級生が一定数味方につけば、下級生の立場は中々苦しくなる。


 いくら侯爵であろうと、目上の方には礼儀をわきまえなければならない。当然のことだ。



「それに、あんなに表情豊かなユカリ見たのは初めてだし、明日も連れて行きたいわ?」

「あはは……」


 実はそっちが本命の目的って訳じゃないよね?


 そんなわけ雑談しながらユウ様に教室まで送られて、いつも通り教室に入っていくとーー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。