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216話 どんな顔を見せてくれるのか


「これが……私……」


 たった一分、頬にファンデーションしただけなのに、ビックリするほど変わった。


 なんだろう、少しキラキラして見えるだけで、こんなに可愛くなるんだ。


「ヒカリ様は素材が良いので、あまり手を加えない方が可愛らしく仕上がります」

「ユース詳しい!」

「詳しいというほどではありませんよ? シャルさんの受け売りなので」

「流石シャル!」


 なんにせよ、たった一分で煌めいて見えるメイクは冗談抜きで魔法みたいだ。


 これも髪色変化みたいに魔法で再現できるだろうか。



「ヒカリ様、学園は楽しいですか?」

「うん! うーん…………うん!」

「その間は何ですか……」

「だって、ユースも知ってるでしょ?」

「はい、色々と旦那様から聞いております」


 お世辞にも順風満帆とは言い難い学園生活。


 それでも、ちゃんと楽しいとは言える生活を送れている。

 というか、少なくとも前世の嫉妬まみれの学校生活よりは圧倒的に楽しく。


「スーちゃんもシャイナちゃんも一緒だし、凄く楽しいよ?」

「オーラライト公爵様とミクロライト公爵様ですか。改めて凄い縁ですね」

「うん、二人とも優しい……というか二人が私を箱入り娘にしているような?」

「ヒカリ様は危なっかしいので容易に想像出来ますね?」

「ユース!?」


 同い年なのに、子供のように扱われることがある気がするんだよな。



「ついでに髪も少し整えました。どうですか?」

「おぉ……!」


 軽い雑談の延長で髪を結ってくれた。


「ユース凄い……!」


 まさかのお団子ツインテール! 童顔のヒカリちゃんがますます幼く見える!


 いや十二歳だから幼いんだけど。


「ナツに恋人が出来た時によくやっていたので」

「なるほど!」


 今度ナツに何か奢ってあげよう! ルカは最上位クラスに頑張ってしがみついてるらしいし、ルカにも何か奢ってあげよう。


「さて、私は旦那様とお話しがあるので、これで失礼いたします」

「うん! ありがとねユース!」


 身だしなみと雑談を終えてユースは部屋を去り、僕も学園へ行く準備を整える。


「お父様、シャル、ユース、行ってきます!」

「行ってらっしゃい!」


 丁度執務室に三人とも居たのでその場で声をかけ、家を出て勢いよく馬車に乗り込む。


 目的地は王城。

 さて、果たしてレオンはどんな驚いた顔を見せてくれるのやら!



*



「いらっしゃいヒカリちゃん! 来るの早かったわね?」

「トワ様!?」


 王城に着くと、何故か王妃様のお出迎えというVIP待遇が待っていた。


「昨日の手紙通り、レオンには内緒にしてあるわ? 折角だから一緒に朝食食べないかしら?」

「えっと……」


 まぁ……少しくらいなら。


「はい!」

「よし! じゃあ案内するわ!」


 王妃様の手を取り、広すぎる庭を一直線に抜け、長い廊下を彷徨い、ようやく食堂へ到着。


「な……長かった……」


 改めてマジでデカい。今までちゃんと王城に入ったことはないけど、マジで広すぎる。


 最早迷路だ。


「私も最初は慣れなかったわ? 流石に住むようになってからは覚えるの早かったけど」

「あはは……」


 住めば都とはこのことだろうな。



「そういえばヒカリちゃん、今日メイクしてるのね? 髪型も可愛いわ?」

「ありがとうございます! 弟の家庭教師をしている『ユース』って人がやってくれたんです!」

「あら、いい腕してるわねその人! レオンに見せたらどんな反応するかしら!」


 雑談しながら二人で食堂の椅子に座り、少しだけ世間話に花を咲かせる。


「私も昔フィリアとシャルに沢山髪型いじられたわね?」

「お母様とシャルが?」

「えぇ! あの二人は絶対時間があればヒカリちゃんの髪型おかしくなるまで弄り続けるわね?」

「そんなに……」

「そんなによ? シャルは特に子供が三人とも男の子だからーーって、ようやくレオン来たわね?」


 まぁ時間がないからそんなことも出来ないけど。


 そんな雑談を続けていると、少しずつ足音が聞こえて来た。


 トワ様はどうやらレオンだと察しているらしいけど、足音でわかるものなのだろうか。



 そんなことを思っていたら扉が開き、よく知る声が聞こえた。


「お母様、おはようござい…………え?」

「おはようレオン!」

「えっと……おはよう!」


 そして僕を見た途端、思い切りその場で硬直したのだ。

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