↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
201/225

200話 最も『特別』な人


「頭痛い……」

「全く、凄い熱じゃない! 明日の学園はお休みね?」

「でもヒカリちゃんの護衛が」

「このまま行くとレオンが護衛されることになるわよ?」

「うぐっ……」


 僕は現在、自室で高熱にうなされている。


「全く、レオンってば嫉妬し過ぎよ?」

「そんなことーー」

「ないって自分で言い切れる?」

「…………」


 週始め、ヒカリちゃんから「カルラくんとデートしに行ってもいい?」と言われた時、自分でも驚くほど嫉妬に駆られた。


 当然、まだ婚約者候補なので、僕に許可を取る必要なんてないし、僕に止める権利もない。


 ただ、一週間心がずっと落ち着かなくなるほど動揺していた。


 おかげで寝不足を起こし、睡眠不足による過労で熱発。



「レオン、ヒカリちゃんのことが好きなのは良いけど、スーちゃんとシャイナちゃんも忘れちゃダメよ?」

「わかっています……」


 上のお姉様、ユウお姉様に苦言をされ、自室で一人になった。


「はぁ……」


 婚約者候補は、一人に肩入れしてはいけない。


 勉学、向上心、人柄、話術など、様々な要因が絡み、最終的に一人に決まる。


 当然、国王になるためにも、僕やユアンお兄様も同様にそういった要因が絡む。


『長男だから王位継承権がある』なんて理不尽なものはない。



「このままじゃ……」


 だからこそ、ヒカリちゃん一人に対しての想いが強すぎる僕は今、国王になれる器ではない。


 少なくとも今は、大切な人相手であろうと、平等で公平でいなければいけない。


 それなのに、ヒカリちゃんが他の男の子と遊びに行くって言っただけで、ショックで寝つきが悪くなるほど肩入れしている。



 少しぼーっとしていると『コンコン』とノック音が響き、お母様とメイドが胃に優しい食事を持って自室に入ってきた。


「レオン、調子はどう?」

「お母様…………僕はどうすれば……」

「?」

「えっと…………少しお話ししても……」

「わかったわ? ごめんね、少し下がっててくれる?」

「承知いたしました」


 メイドを一度部屋から出し、お母様はベッドに座って僕の頭を撫でる。


「お母様、僕はそのようなことをされる歳ではーー」

「あら、嫉妬で体調崩す子が子供じゃないとでも?」

「うっ……」


 しょうがないので大人しくお母様にされるがまま撫でられよう。



「それで、何を話したいの?」

「ヒカリちゃんのことでお話が……」


 そこから僕は、お母様に自分がヒカリちゃんに肩入れし過ぎている心内を全て話した。


「全く、レオンは真面目ね? そんなに深く考える必要ないわよ?」

「しかし……」

「いい? これはシャル……えっと、私の子供の頃に支えていたメイドの言葉なんだけど『気持ちなんて理屈で語れるものじゃないわ』?」

「どういうことですか?」

「簡単よ? レオンは子供なんだから、愚直な方が格好いいわよ?」

「愚直な方が……格好いい?」


 寧ろ格好悪い姿を見せそうだけど。



「そもそも、レオンの理屈で言うなら、アリアちゃんに肩入れしまくってるユアンなんて最悪じゃない!」

「それは……フラン侯爵令嬢だし……」


 お世辞にも『フラン・シロ侯爵』は人柄が良いとは言えない。誰だってアリア様とフラン様を比べるとアリア様に傾く。


 しかし、僕の婚約者候補たちは、全員頭が良くて人柄が良くて、何より人想いだ。


「僕は……どうすればいいんだろう……」


 熱でぼやけた頭で考えても、何も思い浮かばないのに、どうしても考えてしまう……。



*



「言っちゃった……」


 僕『カルラ・セルライト』は昨日、ヒカリちゃんに気持ちを伝えてから全然鼓動の高鳴りが治らない。


 お姉ちゃんは学園で、お父様とお母様は領地の視察で朝からいない。


「ハンナ、どうしよう……」

「どうしようと言われましても……」


 他のメイドや執事も休暇を取っており、今屋敷にいるのは住み込みのメイドや執事だけ。


 だから今、ハンナに話を聞いてもらっているのだがーー


「それで、返事はどうだったのですか?」

「保留……だった……」

「保留?」

「うん」


 ハンナにざっと昨日の出来事を話すと、渋い顔をして考え込みだした。


「ヒカリ様のお立場を考えればその選択肢は最善だと思われますが」

「それはそうなんだけど……」


 それでも、悔しいことには変わりない。



「ねぇハンナ」

「カルラ様?」

「僕は、どうすれば良いの?」

「それは…………すみません。私ではお力になれません」

「うん……」


 僕もある程度交友を持っているから、爵位を気にしないヒカリちゃんが稀有な存在なのは知っている。


 でも、最初に好きになった存在がヒカリちゃんだったから、尚更想いが強くなる。


 全ての異性を、ヒカリちゃんを基準に比べてしまうから、どうしても魅力を感じない。



 きっと僕が公爵じゃなくても、ヒカリちゃんは変わらず接してくれる。


「なんで、ヒカリちゃん好きになっちゃったんだろう……」


 そう後悔してしまうほど、一人の女の子に執着してしまっている……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。