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193話 見え隠れする気持ち


「ねぇコウくん、婚約者が出来たって本当?」

「本当だよ!」


 ヒカリちゃんがカルラと勉強しているとき、私は庭でヒカリちゃんの弟のコウくんとお喋りしていた。


「オハナちゃんって言って、大人しいけど元気な人なんだ!」

「オハナちゃんって……ブルーム侯爵?」

「ブルーム? ううん、クリアライト公爵だよ!」

「あ……そっか」


 そういえば、アヤメさんのところは公爵になったんだ。


「カルラくんがね、カキツバタくんと仲良くて、僕も仲良くしたかったんだ! そしたらオハナちゃんが婚約者になったの!」

「そっか〜……………………なんで?」

「わかんない」


 いや本当になんで? ウィンガート家って特別ブルーム……じゃなくてクリアライト公爵と繋がりが強いわけではなかったはずだけど……。



「そういえばカキツバタくんは元気にしてる?」

「カキツバタくんは元気だよ? いつもアリアちゃんのお話してる!」

「あはは……そっか〜」


 どうやらまだ私のことを諦めてないらしい。


 まだ口外は出来ないけど、ユアンの婚約者は私で確定の流れで進み始めているし、カキツバタくんは新しい恋を探さないといけない。


「あと、アヤメちゃんはお姉様と仲良しだった!」

「ヒカリちゃんとアヤメさんが?」

「うん!」

「そうなんだ」


 一体どこでアヤメさんと関わったのだろう。タロウもといフィルも『新・ダンス部』だし、そこから繋がったのか?


 色々わからないことは多いけど、ヒカリちゃんの周りは王族や公爵で固まってるから、これ以上手を出すのは難しそう。



 このまま平和な学園生活を送ってほしいけど……。


「アリアちゃん?」

「……ううんごめん、なんでも! それで、コウくんはーー」


 少し不安な気分になったけど、急いで思考を振り払い、のんびり雑談の続きをした。



*



 あれから二時間ほど雑談して、そろそろ正午になりそうな時。


「あれ、二人とも応接室にいたんだね?」

「お姉ちゃんはどこ行ってたの?」

「ん? コウくんと庭でのんびりお喋りだよ?」


 応接室でヒカリちゃんとカルラがのんびりお茶をしていた。果たして勉強は大丈夫だろうか。



 カルラは同い年の中では頭が良いほうだけど、まだ学園に入学出来るほど頭脳明晰でもない。


 最王学園以外なら入れるけど、カルラにとってそれでは意味がない。



「そうだカルラ! コウくんに婚約者が出来たのって知ってる?」

「婚約者…………婚約者!? コウくんに!?」


 カルラは思わず椅子をガタリと鳴らして立ち上がり、コウくんに勢いよく迫る。


「誰!? 僕の知ってる人!?」

「オハナちゃんだよ?」

「オハナちゃん? カキツバタくんの妹の?」

「うん!」

「そっか…………コウくんにも婚約者が……」


「カルラ?」

「おめでとうコウくん!」


 少し俯いたような表情をしているが、そんな顔は直ぐになくなり、元気な笑顔で祝福している。


「じゃあコウくんのために、昼食は豪華にしないと!」

「そこまでしなくて大丈夫だよ?」

「えぇ〜」

「えぇ〜じゃない!」


 ヒカリちゃんにほっぺを摘まれたコウくんは、不機嫌そうに口を尖らせている。


「婚約者……か……」

「カルラくんどうしたの?」

「……なんでもないよ? それよりコウくん、後でこっそりお祝いの何か買ってあげるね?」

「やったぁ!」


 ヒカリちゃんが目の前にいるのにこっそりは無理があるような……。


「しょうがないなぁ。コウ、一個だけにしなさい?」

「あいっ! カルラくんありがとう!」

「しょうがないなぁ」

「お姉様の真似下手!」

「おい!」


 まぁヒカリちゃんの許可も得たし、午後遊びに行く時に私も何か一つ買ってあげよう。


 少しカルラの様子は気になるけど、何かあればカルラは必ず私に打ち明けるので、それまで待っていよう。

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