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18話 セルライト公爵家


「アリアちゃんすごい!」


 以前やっていた真似事とは完全に何か違う。


「ふふん! すごいでしょ!」


 アリアちゃんは自慢げに手を腰に当てる。


 いやマジでなんでこんなに違う? まだ何も知らない僕でも一目見て違うって理解出来るんだぞ?


「アリアね、今おかーさまからね『しゅくじょきょういく』してもらってるの!」

「アリアちゃんすごい! すくじょきょういく!」


 少し前まで淑女教育なんてって思ってたのに、アリアの綺麗な礼を見ると、僕も早くやりたくなってしまう。


「十歳からだからだいぶ早いのでだけど、どうしてもヒカリちゃんのお姉さんになりたいって言うからね?」


 アリアちゃんの母が微笑ましそうにそう呟く。


 一通り僕とアリアちゃんのわちゃわちゃが終わったところで、公爵夫人の立つ前に移動。


「本日は御招待ありがとうございます。オズワルド・ウィンガートと申します。こちらは妻の」

「フィリア・ウィンガートと申します」


 完璧な紳士淑女の礼を一つ。


「そう言えば以前は名乗っていなかったね。メロード・セルライトと申します。こちらは妻の」

「メイ・セルライトです」

「おーきなおなか……赤ちゃんがいるの?」


 座ったままのアリアちゃんのお母様、メイ様に思わず尋ねてしまう。


「ヒカリ!?」


 お父様は焦ったような顔をしたが、メイ様は『ふふふ!』と笑みを浮かべる。


「そうよ? アリアの弟さんがいるのよ?」


 しかし、メイ様は怒る様子もなく、僕の頭を優しく撫でてくれた。


 この人、凄く良い人だ! アリアちゃんのお母様だから当然か!


「アリアちゃん、おねえちゃんになるんだ!」

「すごいでしょ!」

「すごい!」


 だから僕にも色々教えたかったのか。弟が出来るのと、自分を慕ってくれる僕の存在が、妹のようで。


 凄い年頃の女の子って感じで超可愛い。もうアリアちゃん大好き!


「ヒカリもね? いつかおねえちゃんになるから、アリアちゃんみたいなおねえちゃんになる!」

「そうなの?」

「うん!」


 あまりの嬉しさに、お母様の妊娠のことも全部ぶちまける。


「フィリアさんのお腹にも?」

「えぇ。まだ性別もわからないほど小さいけれど」


 僕の話にメイ様がお母様に話題を振り、わざとらしく手に口を当てる。


「なら早く身体休めないとね? よろしければ私のお隣如何?」

「ではお言葉に甘えて!」


「ではオズワルド様、こちらの椅子でよろしければ」

「ありがとうございます、失礼します」


 お母様はメイ様の座る柔らかい椅子に腰掛け、メロード様とお父様は、応接用の綺麗な椅子に腰掛ける。


 なんか、お母様たちは初対面とは思えないおおらかな空気を纏っている。


 子供同士の仲や夫の繋がりが、こうも簡単に空気を和らげるとは……。



「アリアちゃん! ヒカリいまね? もじおべんきょうしてるの!」

「ほんとに? じゃあいっしょに本よみましょ?」

「うん!」


「アリアとヒカリちゃんは本読むのか? なら、アリアの部屋に子供本があるから、そこでもいい?」

「うん! あたしヒカリちゃんをお部屋にショウタイする!」

「アリアちゃんのおへや!」


(楽しみ過ぎるんだが!?)


 凄い心許してくれてるじゃん!


「ヒカリちゃん。アリア昨日『ヒカリちゃんを呼ぶ』って言って頑張ってお掃除したんだ。一緒にお部屋で遊んでくれる?」

「あい!」


 元気に手を上げ、満開の笑みをメロード様に贈る。


「ありがとう。アリア、案内お願いね?」

「はい! おとーさま!」

「ハンナ、ここはいいからアリアたちと一緒に」

「承知いたしました」


 扉の前にいたメイドと、アリアちゃんと一緒に部屋を出て、軽い足取りでアリアちゃんの部屋に向かった。



「さて、改めて今日は来てくれてありがとう」


 メロード様の口調が少し砕け、お固い笑みも和らぐ。


「今日は公爵とかそう言う立場関係なく、父と母として、お二人とお話がしたいのだけど」

「勿論ですよメロードさん」

「そう言ってくれると嬉しいよ、オズワルドさん」


「フィリアさんも!」

「ならお言葉に甘えるわ、メイさん!」


 子供がいなくなった今、子供の前では見せられない、悩める父と母の、くだらなくも楽しいおしゃべり会が始まろうとしていた。

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