17話 いざ、公爵家へ
こんにちは、ヒカリ・ウィンガート伯爵令嬢です。
今とってもご機嫌なのです。
「ヒカリ、フィリア、馬車の準備が出来たよ?」
「ありがとうあなた?」
「おとぉしゃまありがとう!」
何故なら、これからアリアちゃんの家に向かいます!
あの後お父様がしっかりコネクトを取り『今度は奥さんも交えて話しましょう』と約束。
家族総出でセルライト公爵家に向かいます!
「おとぉしゃま、おかぁしゃま! 早くいきましょ!」
どうにも抑えられない興奮に馬車を揺らす。
「ヒカリ危ないわよ?」
「ごめんなしゃい」
そう注意しつつお母様も足取りが軽いご様子。
因みに僕は、アリアちゃん家に行くのもそうだけど、初めて乗る馬車に心躍らせています。
なんかもう今日は全部楽しい。
ようやくお父様もお母様も馬車に乗り、屋敷の留守をシャルやミューゼたちに任せ、セルライト公爵家に出発。
「おとぉしゃま! ばしゃはやい!」
「そうだろうヒカリ? 凄いだろう?」
「貴方が自慢してどうするのよ!」
正直前世の車とかと比べると大して速くないはずなのに、ヒカリちゃんが初めて馬車に乗るものだから、ありえない速度で走っているように感じる。
「落ちたら危ないから、お父様の膝の上で大人しくしてるんだよ?」
「あいっ!」
「ふふっ!」
お父様に抱かれ、お母様に撫でられ、馬車を引く人に微笑まれ、のんびり向かう。
「まさかセルライト公爵家と仲良くなるなんてね?」
「ヒカリがいなかったら関わってなかっただろうね?」
「……なかわるいの?」
四大貴族だっけ? そんな風に言われる程身分が高いんだ。貴族間だと良いイメージ持つのは難しいのかもしれない。
貴族の諍いなんて嫌だなぁ。
「そんなことないよ? ヒカリのおかげで尊敬している人と繋がれたんだ」
「そうなの?」
「そうだよ? ありがとねヒカリ?」
「うん!」
やっぱりアリアちゃんのところは凄い良い人たちなんだ!
*
「ついた!」
セルライト公爵家。うちとほぼ同等の大きさを持つ屋敷と庭。
「「お待ちしておりました、ウィンガート伯爵様!」」
そして庭でお待ちしていたメイドと執事数人が、声を揃えてお出迎え。
「おかぁしゃま! メイドさんたちかっこいい! すごい!」
こんなビッチリ歓迎されるともうね、四歳児の心は大興奮だよね。
「そうね、凄いわね? 流石公爵家の使用人だわ?」
僕の手を握るお母様。少し緊張しているのか、声が固い。
「初めまして。ウィンガート伯爵の主、オズワルド・ウィンガートと申します」
「妻のフィリア・ウィンガートと申します」
お堅くも綺麗な例をする二人。
でもお父様はあまり緊張している感じがしない。多分前回でかなり打ち解けたからだろうな。
「むすめのヒカリ・ウィンガートと、もうします!」
母の真似事の礼をして、チラリと使用人の顔を伺う。
(おお〜)
全員ほっこりしたような笑みをしている。幼女パワーすげー!
「ようこそウィンガート伯爵様。旦那様と奥様が心からお待ちしておりますので、早速ですがご案内させていただきます」
「よろしく頼む」
執事長らしき人の後を歩き、家の屋敷と同等の大きさの家を歩き、応接室前まで到着。
後はノックして入るだけ、だというのだが……。
「アリア、落ち着きなさい?」
「おとーさま! アリアおちついています!」
「はしたないわよアリア?」
「だって! もうすぐヒカリちゃんがくるのですよ! はやくあいたい!」
「焦らなくたってもう来るよ? 馬車が到着したの見えただろ?」
「「……」」
もの凄い一家団欒の声が響いている。
というか、アリアちゃんそんなに僕に会いたかったの? 超嬉しいんだけど?
執事長が場を誤魔化すように一つ咳払いをし『コンコンコン』とノックを三つ。
「失礼致します。旦那様、ウィンガート伯爵様がお見えです」
「ヒカリちゃん!」
「アリアちゃん!」
扉が開いた瞬間、僕とアリアちゃんは礼儀なんて一切忘れて駆け寄り、手を握り合わせる。
「ひさしぶり! ずっとまってたわ!」
「アリアちゃんひさしぶり! ヒカリもあいたかった!」
「アリア、先に挨拶を」
「はっ! あたしったらはしたない!」
手を離して数歩後退り、ドレスを摘んでお辞儀を一つ。
「おこしくださり、ありがとうございます! アリア・セルライトが、みなさまをかんげいします!」
「アリアちゃん……すごい!」
以前の真似事とはまた違う、拙くも綺麗な礼を見せてくれた。




