184話 カキツバタ・クリアライト公爵子息
「そういえば、カキツバタくんは何歳なの?」
「僕は十一歳です! 来年学園に入学します!」
「なら私の一個下なんだね? 一個下って確か王族が一人いたような……」
遥か古の記憶を辿り、そんなことを思い出す。
「ランド・オリスティナ第四王子のことですか?」
「そう、多分その人」
第四王子の名前は『ランド・オリスティナ』と言うらしい。
「ランドくんはね、面白い子だよ? 元気を極めたような感じでね、カキツバタとランドくんが揃うといつも屋敷が騒がしくなるから」
「元気を極めた……」
レオンが大人しい性格だからか、はつらつな性格は中々想像つかない。
あ、でも第一王女のユウ様に影響されたって考えたら少しわかるかも。
「カキツバタも本当はこんな大人しくないんだよ? カルラくんがいつも話題にしてるヒカリちゃんが、どんな人か気になるから大人しいもんね? アリアちゃんにもいい情報が届くといいね?」
「お姉様うざい!」
露骨にカキツバタくんの機嫌が悪くなるが、いつものやりとりなのか、アヤメさんは余裕の笑みを浮かべている。
「ふふっ! アリアちゃんに優しい子だったって伝えておくね?」
「それは…………ありがとうございます」
「アヤメさん、素直で可愛い弟だね?」
「そう? 生意気で意地っ張りな弟だよ?」
「どう見ても素直な弟だろ!」
仲の良い姉らしい評価だ。
「そういえば、アヤメさんって幾つなんですか?」
「私は十七歳よ? ヒカリちゃんの五つ上ね? お姉ちゃんって呼んでくれていいのよ?」
「気にしなくていいですよヒカリさん」
お互いが間髪入れずにツッコミをいれあって、なんというか、漫才を見ている気分だ。
ちょっと面白い。
「じゃあちょっとだけ」
「ちょっと?」
アヤメさんが首を傾げる中、僕はアヤメさんのドレスの袖を摘み、上目遣いで一言。
「アヤメお姉ちゃん!」
「かっっっわいいぃぃ〜〜〜!!!」
「ちょちょっ!?」
そんなバカなことをしたら、思い切り抱きつかれた。
いやぁ、顔が良いって得だねヒカリちゃん。拗らせそうで怖いけど。
「カキツバタにもやってみてよ!」
「は!? なんで俺!」
「うーん、カキツバタくん年下だもんな?」
カルラくんもそうだけど、いくら身長が高くても、やっぱり少し子供っぽく見えちゃうんだよな……凄く不思議なことに。
「いや俺アリア様に大人っぽいねって言われたんだぜ!」
「おぉ……」
鼻高々に言ってるけど、言い分が子供だ……。
「でも、こんな妹が出来たらカキツバタもデレデレになっちゃうんじゃない? オハナにもデレデレだし?」
「なっ! ちげーし!」
「あら、良いお兄ちゃんじゃん!」
「ちげぇし!」
顔真っ赤にして怒っている。ちょっと可愛い。絶対オハナちゃん大好きじゃん。
「いつでもお義姉さんって呼んで良いからね!」
「なんで俺が呼ぶんだよ!」
「妹の方が好み?」
「そういう問題じゃねぇ!」
この子、ボケればボケるほどツッコンでくれる。
「アヤメさん、カキツバタくん面白いね!」
「でしょ?」
「俺は疲れたよ? お姉様が二人になったみたいで」
「あら、ヒカリちゃんを姉に認めたってこと?」
「もうツッコミ疲れたぁ!」
カキツバタくんは脱力感に任せて庭の芝に尻餅をつく。
「カキツバタ、アリアちゃんを諦めたら、次ヒカリちゃん狙ったら? 私、ヒカリちゃんにお義姉様って呼ばれたいな?」
「ごめんねカキツバタくん、私今レオンの婚約者候補なんだ?」
「なんか勝手に振られたんだけど!?」
力尽きてなおい弄られ続けるカキツバタくん。生粋の弟属性だ。




