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182話 二人の交友の話


 堅苦しい挨拶を終え、コウとオハナちゃんは今、庭で一緒に花壇の手入れのお手伝いをしている。


「オハナァ……お姉ちゃんよりコウくんの方がいいのぉ……?」

「お姉様……」


 そして蚊帳の外のアヤメさんはカキツバタくんに呆れられている。


「コウ……オハナちゃんと仲良くやるんだよ……!」

「えっと……何これ?」


 僕もバカみたいなノリをし出したせいで、カキツバタくんが本気で困ってる。

 この手のノリって男子の特権かと思っていたけど、きょうだいが絡むと性別は関係なさそうだ。


「と言うか、そもそもオハナもコウくんもまだ七歳だろ? 俺からしたらお姉様が先に家出て行くか心配だよ」

「あら、カキツバタったら、ジェラシー?」

「うっざ……」


 なんというか、きょうだい仲凄くいいな。



「ねぇオハナちゃん、これもう直ぐ咲くね!」

「一緒に育てたもんね! 楽しみだね!」


 そしてあっちはほっこりするなぁ。



「……そういえば、コウってオハナちゃんとどうやってあったの?」

「ん? ヒカリ知らないのか?」

「え、知らないよ?」


 そもそもきょうだいだからって過干渉になるわけでもないし、いちいち絡んでもウザがられそうだし。


 と言うかなんでお父様は知ってるの?


「まぁきっかけ自体はヒカリと同じだよ」

「私と?」

「コウがオハナちゃんを、屋敷から連れ出したんだ。ヒカリがレオン様を王城から連れ出したのと同じでね」

「うっ……」


 な……懐かしい記憶だなー……ははは……。



「全く、なんでコウはそんな危ないことしたの!」

「ヒカリ?」

「私の時は護衛がいました! 安全です!」

「胸張って言うことではないよ?」

「ごめんなさい……」


 多分僕が僕なりに考えたのと同じで、コウにはコウなりの考えがあったのだろうけど、よく知らずに聞くとハラハラするな……。


「ヒカリちゃんもレオンくん連れ出したんだね?」

「あはは……アヤメさん、うちのコウがすみません」

「ううん! なんか、きょうだいだなって思っただけ!」

「なんか不服!」


 そしてアヤメさんもコウがオハナちゃんを連れ出したのを知っているらしい。



「と言うか、なんでコウはオハナちゃんを屋敷から?」

「その説明は、私からしようかな?」

「わっ!?」


 勢いに任せて話題を変えたら、アヤメさんのお父様の『ホープ公爵』が、子供用シャベルと、台車に乗せた土を引いて歩いてきた。


「……不思議かな?」

「不思議?」

「公爵の主人が、メイドや執事に頼らず、自分で子供たちの備品を持ってくるなんて」

「不思議では……ないと思います。珍しいとは思いますけど」


 とはいえ、ウィンガート家ではメイドや執事が庭の手入れをしているし、重労働をするのは中々見ない。



「お父様、数年前まではこんなことしなかったんだよ?」

「そうなんですか? こんなスポーツマン体型なのに?」

「あはは! お父様スポーツマン体型だって!」

「あ……いやその……ガッチリしてるって意味で……!」


 アヤメさんが大爆笑している。


 初対面の人にクソほど失礼かましたことに大爆笑している。


「あ……う、うちの娘がとんだご無礼を!」


 そしてお父様がめちゃくちゃ青ざめてる。本当にごめんなさい。


「いや構わないよ。なんと言うか、コウくんのお姉さんって感じだね?」

「あはは…………はい……」


 絶対褒められてないけど、褒め言葉として受け取ろう。


「まぁ話を戻すけど、コウくんがオハナを屋敷から連れ出し理由はねーー」


 咳払いして仕切り直し、最初に発した言葉はーー


「オハナを、心配させるためだったんだ」

「心配……させるため?」


 あまりに理解が及ばず、おうむ返しするしかできなかった。



「それって、逆じゃ……心配させないために……」

「不思議だろう? でも、それがオハナがコウくんを好きになった理由なんだよ」


 ホープさんがコウに向けた視線は、全信頼を置いているような、安心しきった目にみえた。

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