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181話 婚約者の繋がりは


 こんにちは、ヒカリちゃんです。


 遂にコウの婚約者の屋敷に行く日になりました。


 流石に僕もドレスに着替えさせられ、全員が格式を重視した、正に貴族と言った格好をしている。


「ヒカリは会うの初めてよね?」

「はい、初めてです」


 そもそも誰と会うのかすらわからない。


 いや相手が誰であろうと、コウのことを尊重してくれて、コウのことを大切に見てくれて、コウのことが大好きな人じゃないと絶対無理。



「ヒカリ、顔が怖いわよ?」

「おねえさま顔こわい!」

「だって、コウの婚約者に会うんだよ……強張るのも無理ないよ」

「自分で言うんだね」


 お父様もお母様も呆れているけど、むしろなんで二人は平然と…………いや、相手をよく知ってるから平気なのか。


(何も知らないの僕だけかぁ……)



 そんなわけで馬車に揺られることおおよそ三十分。


「意外と近いね?」


 まぁそもそも馬車が速いから距離単体で見るとそんなに近くはないのだが、アリアちゃんの屋敷まで一時間って考えると、三十分はかなり近く感じる。


「到着だ。粗相のないようにね」

「はいっ!」


 コウの元気な声が場を和ませ、全員でゆっくり馬車を降りる。


 中庭には一人のメイドと執事が立っており、洗練された礼を一つ。


「お待ちしておりました『ウィンガート伯爵』様御一行」

「旦那様と奥様、それから婚約者のオハナ様が応接室でお待ちです」

「ありがとう、案内よろしく頼むよ」


 メイドと執事も緊張しているのか、固い声と足取りで屋敷に案内される。



「緊張しますね……」

「ヒカリは初めて来るからね?」

「お父様は来たことあるのですか?」

「数えるくらいしかないけどね。コウの付き添いで何度か」

「なるほど……」


 僕が知らない間に、コウはちゃんと交友関係広げていたんだ。


 お姉ちゃんは関心だぞ?



「こちらです」


 そんな雑談をしていたら、応接室に到着。『コンコン』とノックをして、ゆっくり扉を開く。


「失礼いたします。旦那様、奥様『ウィンガート伯爵』様御一行が到着されました」

「ありがとう。二人とも下がりなさい」

「「承知いたしました」」


 僕らが中に入ると、メイドと執事は中に入らず扉を閉める。


「お久しぶりです、本日はお招きありがとうございます」

「いえいえ、わざわざお越しくださりありがとうございます」


 互いの主人は礼をして手を取る。中々慣れ親しんだ様子だ。


「オハナちゃん久しぶり!」

「コウくん久しぶりね!」


 そしてコウは礼も忘れて『オハナ』と呼ばれた女の子の手を取る。


「この子が、コウの……」

「ヒカリ、挨拶なさい」

「あ、はい!」


 コウの婚約者を気にかける前に、粗相の無いよう自己紹介が先だ。


「初めまして。『ウィンガート伯爵』の娘『ヒカリ・ウィンガート』と申します」


 叩き込まれた淑女の礼を完璧に決め、無礼を回避。


「君が噂の伯爵令嬢だね。初めまして、私は『クリアライト公爵』の主人『ホープ・クリアライト』だ」

「妻の『ショウブ・クリアライト』と申します!」

「え、クリアライト!? もしかしてーー」


 思わず目を丸くして二人を見つめる。


 すると、応接室の扉がゆっくり開き、一人のよく知る女性が入ってきた。


「お父様、オハナの婚約者様はお越しにーーヒカリちゃん!?」

「アヤメさん!」

「ん? 二人は知り合いか?」


 案の定、アヤメさんだった。


「ちょっと縁があってね? そっか、オハナの婚約者ってヒカリちゃんの弟さんだったんだね?」

「びっくりですね?」


 相手がアヤメさんとわかった瞬間、コウの婚約者相手に途方もない安心感が出てきた。


 コウ、今すぐ結婚して良いんやで?


 そんな浮かれた気持ちになっていたら、もう一人、知らない男性が入ってきた。


「失礼します」

「お、カキツバタ、オハナの婚約者さんもう来てるよ?」

「お姉様、お客様の前でその砕けた口調はお辞め下さい!」


 若干呆れた様子でアヤメさんをお姉様と呼ぶ男性。


「カキツバタも来たし、私も挨拶しないとね?」


 そして、アヤメさんともう一人の男性が姿勢を正して一礼する。


「初めまして。クリアライト公爵家長女の『アヤメ・クリアライト』ト申します」

「長男の『カキツバタ・クリアライト』です」


 二人の綺麗な佇まいは、紛れもなく公爵のオーラだった。

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