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180話 解決寸前


「…………」


 一日一日が長い。


 毎日レオンが迎えに来て、学園に行って部活動して、楽しく過ごしているはずなのに、あと一日がやけに長い。


 そしてしっかり五日間も長く感じた……。


「あと一日ぃぃぃ!」

「ヒカリちゃん……」


 まだ朝ですか……ホームルームすら始まってないのはバグですか?


「でも気持ちはわかるわ? 私もダイアに婚約者が出来たら…………うっ……」

「スーちゃん……」


 弟のいる僕とスーちゃんは、激烈に胃痛を感じている。

 そしてシャイナちゃんは呆れてる。


「あ、そういえば、お兄様から『監禁事件』について進展があった、というか、もう大詰めだって言ってたわよ?」

「ブラインさんが? なんで知って…………そっか、エイ様から情報が」

「そうよ?」


 シャイナちゃんのお兄様のブラインさんは、第二王女のエイ様の婚約者だった。


「目撃者情報が集まって、明日には『ラジア・リコリス子爵』を拘束するって」

「ラジア・リコリス……」


 確かセイナが僕に水をかけさせた人がそんな名前だった気が……。


「そっか、その様子だと『セイナ・スカラ』まで足が届かないか」

「そうね、残念だけど『拘束』でこの事件はお終いね」

「そっか……」


 まぁこの一件で全てが片付くなんて思っていない。


 ただ、尻尾切りだけで、セイナには微々たるダメージだったことくらいはわかる。


「でも、良い見せしめにはなるわね!」

「確かにそうね?」

「え、どういうこと?」


 スーちゃんの言葉の意味がよくわからず、大きく首を傾げる。


 一方シャイナちゃんはしっかり理解している様子だ。


「簡単よ! またヒカリちゃんに同じことをしたら、今回同様に、事件に格上げして、拘束まで動くって意思表示よ!」

「なるほど、確かに見せしめだ」


『学生だから許される』なんてことはなく、犯罪として扱ってくれるんだ。



「あ、やっぱりあの『監禁事件』ってヒカリちゃんだったんだね?」

「………………」


 そして隣の席のリョウさんが会話に混じってきた。


「……ここで話したのは迂闊でしたね」


 同時にシャイナちゃんが頭を抱えた。


「盗み聞きなんて紳士のすることとは思えないわね?」

「あんな大声で話しておいてその言い草はないんじゃないかスティア・オーラライトさん」

「聞いてない振りも出来ないのねリョウ・ミドロさん?」


 相変わらずスーちゃんとリョウさんの相性は最悪っぽそうだ。


「リョウさん、あんまり盗み聞きは、しないで下さい」

「ヒカリちゃんがそう言うなら気をつけるけど、一つお願い聞いてくれない?」

「お願い?」


 リョウさんはニコリと笑みを一つ作り、嬉々と声を上げる。


「学園内の護衛、レオン様から俺に変えて?」

「無理ね?」

「スティア・オーラライト、君には聞いてないのだけど」

「無理よ? レオンを護衛に指名したのは『トワ・オリスティナ王妃』様なのだから」

「…………そっか、残念だ」

「残念ね?」


 良かった……護衛をレオンに決めたのがトワ様とスーちゃんとシャイナちゃんで。


 よっぽどこの先覆らなさそうだ。


 リョウさんは不服そうな顔してるけど、これを機に色々諦めてくれ。


「じゃあ他のお願いにーー」

「図々しい男は好かれないわよ? 諦めたら?」

「さっきからスティア・オーラライトには聞いてないって言ってるんだけど」

「ヒカリちゃんが嫌がってるのにも気付けないのに、一丁前にお願いだけ通そうとしてるの?」

「え?」


 ようやくリョウさんが顔を持ち上げ、僕と目を合わせる。


「…………そうだね、ごめん」

「うん」


 その途端、やけに素直に引き下がった。まぁそっちの方が有難いけど。



「静かにしろ、ホームルーム始めるぞ」


 そして鐘がなり、ジョン先生が扉を開き、騒がしい教室が慌ただしく静かになる。


 あと一日、この一日乗り切れば、僕のコウの婚約者が……!

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