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164話 前世から持ってきた娯楽


 どうも、ヒカリちゃんです。

 あれから六日経ちました。


 なんとなく口走ったことから始まったけど、まさか僕が歌とダンスをやるとは。


「……」


 そんなわけで今部室にいるわけだけど。


「なんか凄く恥ずかしい!?」


 僕は今何をしているんだ!?


 え、一人で踊るの? この部室で? みんながいる目の前で?

 終わってるだろ!? 僕は一体今まで何をして来たんだ!?


「『新・音楽部』ですし、歌だけで終わりません?」

「ヒカリちゃんがいいならそれでいいわよ?」

「うっ……」


 なんだろう、全く圧を感じないのに、凄い圧を感じる。

 これがユウ様の力……いや、そんなわけ。


「私は今まで何をしてたの!?」

「迷走してたんじゃない?」

「いやだって!」


 前世ではこれが正解なんだよ! 間違いなく模範解答なのに、一人でやるのが不正解過ぎる!


「本当に……何してたんだろうね……」

「ヒカリちゃんって面白いわね?」

「頑張れ期待の一年!」


 ユウ様はクスクスと笑っているし、フウさんは孫見る目してるし、このままいくとなんか色々と失いそう。


 因みに何故かレオンもいます。


 ユウ様が呼んだらしいけど、本当になんで呼んだよ!?



「…………やるか」


 まぁここまで頑張ったものを不意にはしたくないし、腹の括り方なんてわからないけど、雑に腹を括り、恥ずかしさを堪えて練習の成果を見せる。


 ヒカリちゃん、生バンドで歌って踊ります!





「穴があったら入りたい……」


 恥ずかしくて死にそう。頑張ったよ? 歌って踊り切ったよ?


「不思議な光景だったわね?」

「だな? 随分と可愛らしいダンスだったな?」

「学園祭とかで踊ったら盛り上がりそうだよね!」


 ユウ様とフウさん、モモさんは真剣に講評しているが、僕のアフターケアも忘れないで欲しい。


「頑張ったね、よしよし」

「今すぐ帰りたい……」


 床に座り込む僕をレオンは優しく撫で、唯一アフターケアを頑張ってくれている。



「ダンス見て可愛いって思うの初めてだったね?」

「あの不思議な歌も不思議と聴き心地いいもんね?」


 そして一年生は一年生で盛り上がっている。


 誰もアフターケアせずに盛り上がっている。


「ヒカリちゃん凄く可愛かったよ?」

「もう話題に出さないでぇ……!」


 唯一の救いのレオンも凄い歌とダンスに触れてくるし、マジで何してたんだろう僕。


 前世男とか関係なくクソ痛いことしたんだな……。



「いやでも実際すげぇ可愛かったよな?」

「なんか、いいもの見たね?」


 シイラギさんとソラさんも眼福みたいな顔してるけど、全部前世の作曲家とアヤメさんのコーチングのおかげなんだよな。


「なんか今年の学園祭はこれでいいかもね? アヤメちゃんと上手く連携とって『新・音楽部』と『新・ダンス部』の合同で出し物! 凄くいいじゃん!」

「ユウ様、学園祭まだ半年以上先だよ?」


 まぁ未知の歌と未知のダンスだし、好奇心湧くのはしょうがないよね。



「ヒカリ?」


 僕は居た堪れなさと恥ずかしさに絡まりながらゆっくり立ち上がる。


「恥ずかしいので帰ります」

「あら、凄く可愛かったのに恥ずかしがることなんてないわよ!」

「ありますぅ! 明日ちゃんと来るので帰ります!」

「あらあら、しょうがないわねぇ?」

「おつかれさまです」


 僕は教室の扉に手をかけて出ようとした時、リョウさんが徐に立ち上がる。


「なら俺が見送りをーー」

「いや、僕がついていくよ。候補とはいえ、婚約者だからね。皆さん、お先に失礼します」


 しかし、レオンがリョウさんの声を遮り、そのまま僕の肩を持って部活メンバーに見送られ、レオンと共に教室を出た。



「た……助かった……」


 リョウ・ミドロと話し合いして、距離感考え直してって直接伝えたが、まるで直ってない。


「なんか色々とお疲れ様?」

「本当だよもう!」


 レオンと歩きながら大きく伸びをして、ゆっくり階段を降りていく。


「はぁ、もう終わったんだから忘れよ!」

「あはは……」


 両手で頬をパンと叩き、無理やり色々目を覚ます。


「ねぇヒカリ、時間があるなら少し僕に付き合ってくれない?」

「え、いいけど、どこかいくの?」

「どこにも行かない、学園の中庭に行きたいだけだよ」

「?」


 レオンの意図がわからないままだが、この後用事もないので、一緒に中庭に向かうことになった。

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