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159話 帰りには


「なるほど……」

「さすが侯爵だな……」


 一通り話したら、シイラギさんもソラさんも苦笑いしていた。


「僕、ミカさんと同じクラスだけど、学園の外でもあんまり変わんないんだね……?」

「俺のクラスにはルージー侯爵いるけど、そっちもえぐいぞ? 既に派閥出来て虐めが始まりそうでしんどいぜ?」

「あはは……」


 どうやらクラス内でも侯爵のやってることは変わらないらしい。


「ヒカリさんのクラスは…………公爵二人いるから平和そうだね?」

「うーん……クラス自体は平和なんだけど……」

「ん?」


 シイラギさんの頭にハテナが浮かんでいる。


「えっとね、リョウさん『リョウ・ミドロ』さんが、結構しつこく」

「え? 結構人当たり良くて話しやすいけどな?」


 今度はソラさんの頭にハテナが浮かぶ。


「なんと言うか……同性の距離感で詰めて来て、少しビックリするんだよね?」

「うわー、すげぇ納得したわ!」

「僕らも今ヒカリさんには距離取ってるし、そういうのがないんだね?」

「そうなのよ〜……」


 なんか、男子が共感してくれて凄く嬉しい。


 今までは前世の自分しか物差しがなかったけど、やっぱりちゃんとおかしいんだ。



「まぁ悪意ないんだし、いやでもヒカリさんからしたらきついか…………どんまい?」

「酷っ!?」


 一気に突き放されたんだけど!?

 シイラギさん緩い口調してるけど、結構毒あるのか?


「まぁ俺らで良ければ話くらいなら聞くぜ? 俺もシイラギも婚約者いるから二人で会うのは無理だけどな?」

「ありがとね? 気が聞く男子は結構好きだよ?」

「よせよせ照れる! って、ミカさんたちもういないじゃん」

「あ! やっと帰れる!」


 少しお話に夢中になっていたが、気付けばミカさんたちのグループは姿を消していた。


「ありがとね二人とも! また!」


 一つウインクをして、手を振ってせっせと帰路に足を踏み入れる。


「やっば、あの可愛さは魔性だわ」

「婚約者いて良かったわ、おかげでちゃんと自制が聞く」


 僕が去った後、二人はそんなことを呟いていた。





「ふふっ!」


 僕はかなり軽い足取りで帰路を歩いていた。


 なんというか、男子と緩く話して、前世で出来なかった学園生活送れてるなって実感してしまった。


 あの『特別』ばかりに目を向けてた僕は、こういう何気ない日々を謳歌出来てなかったんだなって、十二年越しに思わされた。



「あら、まさかまた会うなんてね『ヒカリ・ウィンガート伯爵』さん?」

「…………へ?」


 そんな風に歩いていたら、まさかまさか、また『ミカ・オウレン』と遭遇してしまいました。


 しかも今度は取り巻き付きで。



 いや、予想するべきだったよね。いなくなって直ぐ帰路を歩き始めたんだから、遭遇する可能性があったって。



「どうやら今回は大事なお味方さんはいらっしゃらないのね?」


 シャイナちゃんがいないだけで、まるで勝ち誇ったような顔をしている。


「ミカさん、この人は?」

「あぁ、皆さんは知りませんわよね? この人は『ヒカリ・ウィンガート伯爵』よ? 忌々しくも今だに婚約者候補に縋るひっつき虫よ」

「あぁ……あの噂の」

「へぇ! 確かに可愛いな?」


 ミカさんの取り巻きには、女子だけでなく男子もおり、計十人ほどの大所帯。



「ねぇ、ちょっと私に付き合ってくださらない?」


 ゆっくり僕に近寄って来て、見下すように笑みを浮かべる。


「嫌だって言ったら……?」

「伯爵が侯爵に逆らうのかしら?」

「……」


 もうここは平等を謳う学園の外だ。


 身分がものを言えてしまう場所。


「おいおいミカ、問題起こすなよ? 俺退学とか絶対嫌だし?」

「え〜、私も退学とか嫌だよ?」

「大丈夫よ? すこ〜しだけ『お灸を据える』だけだから」

「っ……!」


 やばい……凄く、嫌な予感がする……!

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