15話 勉強初日終了
「魔法……あるの?」
正直続きを聞きたくて仕方ない。
元男子高校生が魔法という言葉ではしゃがない訳がない。
「ママがね、学園で教えてくれるって。十歳に魔力っていうのを測って、クラスが決まるんだって」
「そうなんだ」
「ルカ、ママの話聞いてない?」
ナツの呆れた目が刺さり、少し居た堪れなさそうにしている。
「今から学べないの?」
誰か拾ってくれないかと適当に呟く。
「魔法に関しては、魔力測定を終えた十歳以上の方しか学べません。幼いうちに魔法を使うと、魔力欠乏によるショック死が起こる可能性が非常に高いので」
「ぶーっ……」
言いたいことはわかったし理解はしたが、四歳児の脳では受け入れが難しい。
死にたくないからしょうがないんだけど。
「ユース様の言う通り、ヒカリ様は理解力が素晴らしいですね。ナツさんルカさん、今私の言ったこと分かりましたか?」
「よくわかんなかった」
「あたしも」
シャルの問いは二人には全くピンと来ていなかったらしい。
やっぱ中身高校生って相当アドバンテージなんだな。
「そろそろ上がりましょう。フィリア様とユースさんもお待ちしています」
「「はーい!」」
三人揃って声を上げ、温まった身体をメイドたちがバスタオルで拭き、用意された服に着替える。
ただ、問題が一つあり……。
「申し訳ございません。女性用の服しかご用意出来ず、ルカさんはこちらの服で……」
我が家の子供は僕だけ。お腹の子もまだ性別不明。
つまり、令嬢の服しかこの屋敷にはないのだ!
まじごめんねルカくん。
「なんでですか!?」
そんなわけでルカくんには、僕のパジャマのワンピースを着てもらっています。
「今大急ぎでミューゼ執事長が服を買いに行っていますので、それまでの辛抱です」
まぁ素っ裸で待ってもらうわけにもいかないもんね?
「ルカくん、にあってます!」
「うれしくない!」
僕のフォローは失敗したようです……。
*
あれから部屋でお絵描きしたり、親を交えて一緒に勉強の続きをしたりして、気付けば夕方になっていた。
「ユース、今日はありがとね?」
「こちらの台詞でございますフィリア様! 二人も貴族様の認識が変わったと思いますし、やる気に満ちた方に教えられるのは、非常に楽しく思います」
「そう言ってくれると嬉しいわ? ヒカリもそうよね?」
「はい! たのしかったです!」
事実として楽しかった。日本語の学び直しもそうだし、ナツとルカと遊ぶ時間もだし、なにより、四歳児の好奇心が素晴らしい。
「契約内容はミューゼに渡しておくわね? もう時間も時間だし、馬車用意させるから、家まで乗って行きなさい?」
「お気遣いありがとうございます」
「「ありがとうございます!」」
ユースとナツとルカは深々と頭を下げ、メイドに案内されて部屋を去っていった。
「ねぇヒカリ」
「おかぁしゃま?」
「あなたは、淑女教育も頑張らないとね?」
「……あぃ」
(やべー、結構怒ってる〜!)
でもまだ四歳児だから無理させないでね?
そんなこんなで、さまざまなトラブルありつつも、家庭教師による勉強初日が終了したのだった。




