145話 部活体験
どうも、ヒカリちゃんです。
昨日は散々な目に遭ったけど、ようやくレオンと部活動を見て回る日になりました。
「はぁ……」
結構楽しみにしてました。楽しみにしてたんですねどね。
「ヒカリちゃん、どうしたの?」
私の前で座ってるシャイナちゃんが不思議そうに首を傾げている。
「なんか……うーん……」
僕は今、レオンと同じ問題にぶち当たっている。
そう、仮に入部したとて、リョウさんが付き纏ってくる可能性、侯爵家が嫌がらせをしてくる可能性。
そういうのを考えると、中々どうして入りづらい。
「レオンの気持ちが今すごくわかるわ……」
「?」
一切の濁りなく、現状が終わってる。
「スーちゃんは部活動何に入るの?」
嫌な気持ちを逸らすために、後ろの席のスーちゃんに話題を振る。
「私は入らないわ!」
「…………入らないの!?」
スーちゃんならどんな部活でもやっていけそうだけど、何か不満でもあったのだろうか。
「私は生徒会に入るから部活動は入らないわ!」
「なるほど……」
生徒会しながらでも部活動は出来るだろうが、一ヶ月後に王妃教育も迫ってるし、後から入部も出来るし、堅実な判断だ。
まぁ生徒会選挙なんてまだ先だろうけど、スーちゃんなら生徒会に入れるだろうって謎の信頼がある。
「私も入るの辞めようかなぁ?」
「辞めちゃうの? 私、ヒカリちゃんが部活動でチヤホヤされるの見たいわ?」
「スーちゃんは私をなんだと思ってるの?」
チヤホヤされるほどの技能なんて持ち合わせていませんが?
前世は特別に憧れて一生嫉妬してた怪物ですが?
「それなら、私と同じ平民服研究部に来る?」
「シャイナちゃんと同じ部活か、良いかも!」
「ダメよ!」
「スーちゃんなんで!」
ちょっとありだと思ったのに、部活に入ってないスーちゃんが速攻で却下してきた。
「私だけ仲間はずれなんて許さないわ!」
「あ、スーちゃん嫉妬だ、かわいい!」
「ヒカリちゃ〜ん?」
「あはは、スーちゃんって繊細な乙女だね?」
「うるさい!」
「きゃぁぁ!?」
首裏に爪を立てられ、思わず身体が硬直する。
スーちゃん怖い、弄るのは週一程度で我慢しよう。
「まぁヒカリちゃんが何を思ってるのかわからないけど、自分の入りたい部活動を辞めてまですることなのかしら」
「うーん……」
入りたい部活もまだないし、侯爵は怖いし、僕は一体どうしたいのだろう……。
そんなことを考えていたら始業の鐘が鳴り響き、今日の講義が始まる。
*
そんなわけで全講義が終わり、放課後の時間がやってきました。
「それじゃあ行こうか」
「うん、スーちゃんシャイナちゃん、また明日ね!」
「楽しんできてね?」
「ちゃんと自分で選ぶのよ!」
二人に見送られ、レオンと校内を歩き出す。
「さて、どこにいく?」
「考えてない」
「そっか……考えてないか……」
(僕前世何部入ってたっけ……)
もうそれすら覚えていない。
「うーん……」
今となっては前世の存在が、余計な知識として楽しむ邪魔をしている。
「とりあえず、下の階から回っていく?」
「そうする」
ここにいても何も始まらないので、教室を見て回りながら上層階へと登っていく。
部活自体は沢山ある。
囲碁部、将棋部、オセロ部みたいな頭を使う部活、シャイナちゃんが入った平民服研究部の他にもドレス研究部。
美術部、社交ダンス部、ピアノ部やオペラ部。
様々なものが前世から流用されており、廃部なんて存在しないように、どの部活動にも人が沢山いる。
「あ……」
「ヒカリ?」
そんな中で僕が足を止めたのはーー
「新・音楽部」
あまりに未知すぎる部活動。
単純に名前に惹かれただけだったが、気になるものは気になる。
「レオン、入ってみたい!」
「うん、それじゃあ行こうか!」
そんなわけで僕とレオンで教室を開き『新・音楽部』に足を踏み入れる。




