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139話 立ち回り


 四限までの講義が終わり、昨日と同様にレオン、ユアン様、アリアちゃんが教室に来て、六人で食堂へ向かう。


「無理ぃ……」

「ヒカリちゃん……まだ始まって一週間も経ってないのに……」


 机にへばりつく僕の頭をアリアちゃんが撫で、シャイナちゃんが背中を摩る。


 ヒカリちゃん、あまりにストレス耐性がなさ過ぎる。


「兄がエイお姉様との婚約切られて、弟のリョウが焦ってるって可能性もあるからな?」

「勘弁してぇ……」


 僕に標的を向けないでほしい。


「ヒカリちゃんにはダイアのことで恩があるから、私はなんでもするわ!」

「スーちゃんありがとう……!」

「ダイアくんのこと? 何かあったの?」

「昨日、ヒカリちゃんの家であったのよ!」


 スーちゃんはざっとダイアの状況を五人に話す。


 僕含めて、ダイアの境遇を全員知っており、心の傷はかなり深いと感じていた。


「そんな風に思ってたのか……」


 話を聞き終えたレオンは、眉間に皺を寄せている。


「『楽しいが怖い』か。そんな風に考えてしまうなんてね……」


 ユアン様も同様、俯いて寂しそうな顔をしている。


「昨日から吹っ切れたみたいでね、今日なんて別人と見間違えるほど沢山笑ってたわ? きっと本当のダイアが今日のダイアなのよね」

「そうだね。出来るなら、ずっと笑ってほしいね」

「当たり前よ! 私が悲しい思いなんてさせないわ!」

「あはは……」


 スーちゃんらしい宣言だ。


「それで話を戻すけど、リョウ・ミドロのことをちょっと調べてみたんだ」

「調べる? そんなことしていいの?」

「大切な婚約者候補が困ってるし、別に禁止行為でもないからね」


 レオンは爽やかな笑みを一つ浮かべる。


 これで何かしら僕に執着する理由が垣間見えればいいけど。


「リョウ・ミドロ侯爵自体には特になかったが、婚約者が『ルージー・セッカ侯爵令嬢』でね」

「うわぁ……」


 反射的に嫌な声をあげてしまった。


(あれが婚約者……)


「三人の方が詳しいと思うけど、ルージー嬢は未だ僕に執着しててね、リョウ子息とも折り合いが悪いらしい」

「それは……嫌だな……」


 兄が婚約者から切られたことと、婚約者のルージーが自分のことを全く見ていないダブルパンチを喰らっている状態。


「でも、ヒカリちゃんの顔色すら見れない人に、ヒカリちゃんと関わらせたくないわ?」

「シャイナちゃん!」


 それはそう。いくら自分が追い詰められてても、人の気持ちが理解出来ないなら近寄りたくない。


 恋にしろ、打算にしろ、人との関わりは自分一人の気持ちじゃない。



「まぁミドロ侯爵家は強引な手段をとる家柄じゃないし、兄の方も切られたとはいえ、聡明な人間だ」


 確かにユアン様の言う通り、ある程度正しい人間でないと婚約者候補の最後まで残らない。


「リョウくんも時期に自分の関わりの過ちに気づくだろうし、なんならヒカリちゃんから『距離が近いから離れて』っていうのも手段かな?』

「わ、わかった」


 関わるのが嫌だと逃げ続けても、一年は一緒のクラスなんだ。


 僕のためにも、リョウさんのためにも、関わり方の見直しは必須だろう。



「……」


 なんで学園入って四日目でこんなこと考えてるんだろう……。

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