134話 真っ直ぐさ
「それで、私と話したい事って何かしら!」
スーちゃんはなんでも来いと言わんばかりに堂々としている。
「うーん、正直特にないのよね?」
「え?」
まぁ私の狙いとしては、ヒカリちゃんのことが好きなカルラが、もう少しヒカリちゃんと一緒に居られたらなって考えだったから。
「なら私が聞きたいわ! アリアちゃんの弟さんはヒカリちゃんが好きなのかしら?」
「ふふっ! 流石に分かりやすいわよね?」
デートしたいって直ぐ答えて、勉強に変更しても大喜びで、ちょっと好意が表に出過ぎだよね。
「良いわね、あんな風に真っ直ぐで」
「あら、スーちゃんは違うの?」
スーちゃんもレオン様の婚約者候補の一人だ。沢山関わり持つし、しっかり恋してても変じゃない。
「ん? あ、ごめん、違うのよ。ダイアにはまだ真っ直ぐに頑張れるものがないから」
「あ、そっちね」
私が勝手にレオン様との恋の話だと勘違いしていた。
「まだ両親が死んでから一年経ってないからしょうがないんだけど……」
「……」
公爵家の人間になった以上、いつまでも傷を見て痛がっているだけじゃいけない。
それは、致命的な隙になる。
「ヒカリちゃんに弟がいて良かったわ。シャイナは弟がいないし、アリアさんとカルラくんは歳が離れ過ぎてる。他の侯爵たちはあまり信用出来ないし」
「そうね」
私もオウ侯爵系と関わりがあるけど、ウィンガート伯爵家ほど信用していない。
「あの子はいつかオーラライト家の跡取りになるもの。しっかりしてもらわないとね」
「あら、スーちゃんは跡取りにならないの?」
「私はレオンと結婚するのよ! いくらシャイナやヒカリちゃんでも、譲る気はないわ!」
「スーちゃんらしいわね!」
レオン様の婚約者レースは、まだ先が全然見えなさそうだ。
ユアン第二王子はもうフラン侯爵令嬢と関わり絶ってるし、私で確定の空気が流れてる。
そして、第一王子はーー
*
「難しいね……」
「ここ私も躓いたわ」
カルラくんは現在九歳。
優秀な家庭教師を雇っているようで、勉強はかなり進んでいるように見える。
前世持ちのチートでもないのに、よくこんなに頑張れるものだと感心してしまう。
「なんでこの頃の貴族って、こんなに横暴なんだろう」
「そうね……」
カルラくんは、いわゆる歴史の事件で躓いている。
横暴な貴族が起こしたよくある事件なのだが『平民は国の宝』と教育が行き届いているカルラくんには、理解に苦しむ内容だ。
「カルラくん、もし私がレオンと結婚するってなったらどうする?」
「なんで……そんなこというの……」
「もしもだから! もしも!」
すげぇ切実な声してた。
「それは、諦めますよ」
「なら、もしも名前の知らない平民と結婚したら?」
「それは…………わかんない……」
「ふふっ!」
とても正直だ。ちょっと可愛いけど、弄ぶための質問したんじゃない。
「人によってはね『お前は俺と結婚するべきなんだ!』って横暴に詰め寄る人もいるのよ」
「……そんな人いるの?」
「いるわよ? 私の友達が被害に遭ったことあるし」
「え!?」
ナツとハイス子爵の出来事を思い出す。
自分勝手な貴族は、どの時代にも存在する。
それが大事件として歴史に残るか、一平民と貴族のいざこざとして忘れ去られるか。
「気持ちがわからないのは、カルラくんの心が綺麗だからよ。ずっとそのままでいて欲しいけど、これは教材だからちゃんと理解しないとね?」
「わかった!」
(ピュアだな、カルラくん……)
本当、僕なんかじゃ釣り合わないって思う程に。




