133話 それぞれの関わり
「おねえさま……!」
ダイアくんは非常に強く怯える様子でスーちゃんを見る。
(ちょっと、急過ぎたかな……)
流石に無神経が過ぎる発言だったかも。
しかし、そんな自分の気持ちを蹴飛ばしたのがコウだった。
「おなまえ、なんて言うの?」
七歳のコウは、当然だがまだ恐れを知らない子供で、自分の気持ちに従って声をかける。
ただ、距離感をわかっているのか、五歩くらい離れた距離から声をかけている。
「…………ダイア、です」
少しの沈黙はあったものの、ちゃんと自分の名前を答える。
「ダイアくん、あそぶの好き?」
「……多分好き……だとおもう」
視線が沢山泳いでいるが、なんとかコウと目を合わせようとしている。
人に対してトラウマがあるからなのか、意図なんてない無邪気なコウが、ダイアくんを動かし始めてる。
「そう言えば、カルラくんはどうしてうちに?」
「コウくんに勉強しないかって誘われて、気付いたら遊んでました」
「あはは……」
なんというか、男の子だなぁ。
「でも、学校帰りのお姉ちゃんが迎えに来るからそろそろ帰る時間です……って思ったら丁度来ました」
「「ん?」」
僕とスーちゃんで同時に正面玄関に振り返ると、止まっていた馬車からアリアちゃんが降りて来た。
「アリアちゃん!」
「ヒカリちゃんも帰ってたのね? スティア……スーちゃんもこんにちは?」
「こんにちは!」
好きな相手にはスティアと呼ぶ事を許さないスーちゃんは、ダイアの時のような優しい姉感とはまるで別人だ。
「その子は確か……ダイアくんだったわね?」
「ッ!?」
アリアちゃんをみて思わず一歩後ずさるダイアくん。
それを見たアリアちゃんは、少し微笑んでから膝を地面につけて目線を合わせる。
「会うのは二回目よね? アリアって言います。覚えてくれると嬉しいわ?」
とても優しい笑みを浮かべ、そこから特に話す事もなく立ち上がる。
「ねぇカルラ、ダイアくんはコウくんと遊ぶだろうし、私ちょっとスーちゃんと話したいんだけど、どうせならもう少しいない?」
「僕は居たいけど、話したい事?」
「えぇ。ちょっとヒカリちゃんには話せないことで、ヒカリちゃんがフリーになるんだ?」
「いる! もう少し遊びたい!」
「アリアちゃん……」
すげぇ、カルラくんが一気に機嫌良くなった。
まぁダイアくんはカルラくん見て一歩後退りしてたし、まだ距離が必要なのかもしれない。
「スーちゃん、よかったら付き合ってくれない?」
「勿論よ!」
スーちゃんは完全にそっちの空気になっている。
「じゃあカルラくん、私たちはどうしよう」
「デート! デートしたい!」
「え!?」
元気に手をあげてそう叫ぶ。そしてスーちゃんが目を丸くしてカルラくんを見つめる。
そう言えば、スーちゃんはカルラくんが僕のことを好きって知らなかったな。
そもそも初対面だし。
「カルラ、勉強しに来たんでしょ?」
「うっ……」
「あはは……」
というか、そもそも本来の目的は勉強だったんだ。
「なら、一緒に勉強する?」
「え! 良いんですか!」
「勿論よ!」
デートではなくなったが、大喜びしている。
なんか、僕と一緒に居られるならなんでも良さそうだな。
「アリアちゃんとスーちゃんはどこで話す?」
「ダイアを見れるところが良いわね」
「なら外かしら……」
キョロキョロと庭を見渡し、テラスの位置を確認する。
「シャル、アリアちゃんとスーちゃんにお茶お出し出来る?」
「承知いたしました」
「私とカルラくんは……私も、コウも見てたいから……」
テラス自体は三セットあるので、僕らも外で勉強出来るが……。
「そうね、何か甘いお茶とお菓子を貰える?」
「承知いたしました」
甘いもので脳を活性化! という安直な考えのもと、それぞれ遊び、話し合い、勉強のグループに分かれた。




