131話 居心地悪い空間
食事も摂り終わり三人で教室に戻ると、半数ほどがまだ戻ってきておらず、教室はかなり空いていた。
「あと十五分、もう少し食堂にいても良かったわね?」
「だね?」
何せ、空きが目立つ中でもリョウは教室にいたのだから。
そしてクラスの男子とコミュニティを広げていた。
いくらうざいとは言え、コミュニケーション能力自体はそれなりにあるし、良くも悪くも臆さず話す人だ。
クラスが始まったばかりで、友人のいない男子からしたら、有難いことこの上ない。
まぁ僕に対しては『悪く』の方が刺さっただけで。
「あ、ヒカリちゃん戻って来た!」
「ゲェ……」
不意に集団に混じっていたリョウが、僕の名前を大声で呼ぶ。
「そんなところで何してるの?」
「……」
「ヒカリちゃん災難過ぎるわね……」
お前がいるから入るかどうか迷ってたんだよ!
なんてことは言えないので、シャイナちゃんの同情を聞きながら、三人で教室の入って席に着く。
「俺廊下側だからちゃんと見たの初めてだわ……」
「この子が噂の……」
リョウ除いた男子六人が物珍しそうに着席した僕を見つめる。
「自己紹介の時にも見たけど、超可愛い子じゃん!」
「だよね?」
「いいなぁレオン様こんな可愛い子婚約者候補に出来て」
多少賑やかだったクラスが、この七人のせいで更にざわつく。
「本当、顔しか見ないのね」
「まだ始まったばかりだから……」
スーちゃんの毒をシャイナちゃんが必死に収める。
「自分で言うのもあれだけど、私ってそんなに魅力的?」
「当たり前じゃない!」
スーちゃんが何を今更と言わんばかりの声を上げる。
「レオン様の婚約者候補ってだけでも箔が付くのに、伯爵なんて公爵と違って狙いやすいじゃない!」
「あぁ……」
顔云々言ってるけど、絶対『狙いやすい』の一点で物を見てるなこいつら。
「まぁヒカリちゃんってふわふわしてるし、ちょっと幼いから守ってあげたいのよね?」
シャイナちゃんは席に座る僕の頭を優しく撫で、癒されてそうな顔をしている。
つまり、ロリ枠…………いや『ちょっと』幼いだから一つか二つ下に見えるんだ。
きっとそうだ。
「スーちゃんとシャイナちゃんは高嶺の花って感じだよね?」
「そうね!」
「えぇ〜、そんな高貴に見えるかしら?」
流石スーちゃん、自信満々に肯定した。
一方シャイナちゃんは、口では自分のことを皮肉っぽく言っているが、満更でも無さそうにしている。
やっぱりエイ様に憧れてると『高嶺の花』って魅力的に聞こえるよね。
いやシャイナちゃんも実際に高嶺の花なんだけど。
「ねぇ、そういえば来週から魔法学基礎始まるんだけど、あれ初回以降はペアでやるんだよね?」
「ふーん」
リョウが嬉々と話に入って来て、講義のネタバレをしてくれた。
(そういえばトワ様から魔法習った時もレオンが居たし、感情云々でペアが必要なのか……)
ふと魔法を習っていた時のことを思い出し、一人で感傷に浸る。
「よかったヒカリちゃん、俺とペア組まない?」
「まだ先の講義でしょ、今決めてどうするの……」
そもそも貴方と組みたくない。組むならスーちゃんかシャイナちゃんが良い。
「そっかぁ、でも考えておいてね?」
「……」
マジで話す話題が無いなら無理に話しかけなくて良いじゃん!




