130話 エイ・オリスティナ第二王女
「シャイナから話はよく聞いていたわ! いつか会いたいって思ってたのよ!」
ふわりと笑みを浮かべるエイ様は、綺麗な礼も相まって模範的な淑女という感じだ。
「凄く綺麗……」
思わず言葉が漏れてしまうほど雰囲気がある。
「あら! こういう素直な賛美を貰うのは久しぶりね?」
「はっ! えっと……はい、とても綺麗で、びっくりしました……」
「ふふっ!」
急いで言葉を紡いだが、小学生の感想みたいになってしまった。
「折角知り合えたのだし、これから仲良くしてくれると嬉しいわ?」
「も……勿論です……!」
なんか、なんか凄いキラキラしてる! 格の高さを凄い感じる!
「ヒカリちゃん顔真っ赤っかじゃん!」
「あら、スーちゃんも私と初めて会った時、同じ反応してくれたじゃない?」
「ちょっとエイ様!」
スーちゃんがケタケタ笑ってたけど、僕の同じ道を辿っていたことをバラされて、真っ赤になって声をあげる。
「へぇ〜、スーちゃん、きゃわいい〜!」
「ヒカリちゃ〜ん!」
「あはは! 可愛いって言われて照れてる!」
「シャイナもうるさいっ!」
恥ずかしそうに声を荒げるスーちゃんは、普段の傲慢さとは離れ、褒めなれない初々しさがあって超可愛い。
「しかし、レオンの婚約者候補の方々は仲良いですね?」
「そうなんだよ。ユアンお兄様もメイお姉様も、婚約者候補の人たちってあまり仲良くなかったから」
「やっぱりそうなんだ……」
ユアン様の婚約者候補同士は仲良くないって聞いてたけど、メイ様も仲良くないらしい。
ブラインさんと仲良くないって、どれだけ歪んだ性格なんだよ……。
「羨ましいわよね? 私ももう少しフランさん歩み寄るべきかしら」
「アリアは充分歩み寄ってるよ。フランがもっとアリアを見るべきなんだ」
ユアン様はアリアちゃんの頭を撫でて慰めており、この光景だけみると、ユアン様の婚約者はアリアちゃんで決定なんじゃないかと思えてくる。
というか凄い今更だけど、王族三人に公爵家の令嬢三人と子息一人、とんでもない大御所の空間だな。
なんか、途端に伯爵の自分が場違いに感じる。
「……えい!」
「ひゃっ!」
突然シャイナちゃんが脇腹を突いてきた。
「どうしたのヒカリ」
「な、なんでもない……」
「ふふふっ!」
レオンが不思議そうに見てるけど、シャイナちゃんのせいだよな?
「シャイナちゃん?」
「ごめんね! ちょっと俯いてたから!」
「あ……」
本当に一瞬だけ場違いを感じただけなのに、速攻で引き戻してくれた。
幼い頃から分かりきっていたけど、ここにいる人たちって、身分なんて気にしないでちゃんと人を見るんだな。
「ありがとうシャイナちゃん」
「ん?」
何もわかってなさそうに首を傾げるが、無意識にやってくれたことでも凄くありがたい。
気付けばエイ様が僕の隣に座っており、シャイナちゃんはエイ様の膝に座っていた。
「シャイナちゃんが甘えん坊さんになってる」
「エイ様はいいの!」
どうやら二人が一緒にいる時はいつもこの様子なようで、ブラインさんも特に何も言っていない。
他のみんなは少し驚いていたものの、何事もなく会話を続けている。
「スーちゃんヤキモチ?」
「なっ! そんなわけないでしょ!」
それはヤキモチ妬いている人の反応なんよ。
「エイ様、スーちゃんも座りたいって!」
「ちょっとヒカリちゃん!」
「ふふっ! ごめんねスーちゃん、今は埋まってるわ?」
「ありゃりゃ、残念!」
僕はわざとらしくがっくりしてみると、スーちゃんが強めに肩を握ってきた。
「ヒカリちゃん、ちょーっといいかしら?」
「待ってごめんスーちゃん! 許して!」
「シャイナからの教えなんだけどね、悪い子にはお仕置きしないといけないのよ?」
「よく……存じています……」
流石に食堂で大騒ぎするわけには行かないので、放課後にスーちゃんのお仕置きを約束されてしまったヒカリちゃんでした……。
人をおちょくり過ぎるのはよそう……。




