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126話 ちょっとしたイタズラ


 あれからは特に何もなく、今いる校舎は概ね全て周り終えた。


「この校舎って三棟とも同じ構造なの?」

「僕も行ったことないからわからないけど、一つは同じ構造だけど、もう一つは学生寮なんだ」

「なるほど」


 まぁ一年生〜八年生までいるし、どれだけ大きく作っても校舎が足りないよな。


 そして学生寮は、学園から遠すぎる人だけでなく、他国の学生だったりの受け入れ先だったりするのだろう。


 以前ユースが『婚約者候補は、他国の貴族に言い寄られないための虫除け』って言ってたし、きっとそれに準ずる人もいる。


「じゃあ概ね見終えたのね?」


 純粋に前世で通っていた学校を、そのまま更に大きくしただけだった。


 まぁ過度に期待した訳ではないけど、ちょっと物足りない。


「じゃあ、そろそろ帰ろうかしらね?」

「もういいの?」

「うん、もう全体見たし、部活は明々後日だし?」


 今日はもう学園にいる意味はない。


「ね、ねぇヒカリ!」

「ん?」

「あのさ、この何もないなら、王城(うち)来ない?」

「え、いいけどどうしたの突然?」


 そう言えば最近行ってなかったけど、レオンから誘ってくれるのは初めてだ。


「うん、もう少し一緒にいたいなって」

「あ……ありがとう」


 何食わぬ顔で好意を伝えてくれる。


 最近はもう前世が男とか関係なく簡単に鼓動が高鳴るようになったな……。


「それじゃあ行こう」

「う、うん!」


 今度はレオンに手を引かれて学園を後にして、馬車に揺られて王城へ向かった。





 そのままスルスルと案内され、今まで使っていた応接室を通り過ぎ、今日向かった先はーー


「自室!?」

「うん。スティアとシャイナは招いたことあったけど、ヒカリは初めてだね」

「あ、二人もきたことあるんだ!」


 一瞬びっくりしたが、スーちゃんとシャイナちゃんも来たことあるなら気が楽だ。


「お邪魔します!」


 そんなわけでレオンの自室に入る。


「なんか……いい部屋だわ?」


 王家の人間の自室だし、色々とキラキラしたものが置いてそうなイメージだったけど、非常に質素だ。


 ベッドやソファ、学習机に本棚。


 そして、婚約者候補の髪色の、茶色や白やピンクの置物。


 自室一つ見るだけで、どれだけ三人を大切にしているかよくわかる。



 何より、とても落ち着く部屋だ。


「僕はヒカリが来たことを知らせに少し席を外すから、自由に過ごしててくれ。直ぐに戻るよ」


 そう一言残して部屋を去っていく。


「自由に……か……」


 前世が男だった身からすると、エロ本やゲームのない世界の男子の部屋って想像出来ないんだよな?


「……そうだ!」


 昨日平民服研究部で貰った破棄予定の服、あれに着替えてビックリさせるのはどうだろうか。


 スーちゃんやシャイナちゃんは『殿方に魅せるのはダメッ!』って言ってたけど、レオンは名残惜しそうにしてたし。


「お待たせヒカリ。どうしたの?」


 思ったより早く戻ってきたレオンが、立ち尽くす僕を不思議そうに見る。


「昨日平民服研究部で着た破棄予定の服あるじゃん」

「うん、それがどうした?」

「見たい?」

「えっ?」

「昨日名残惜しそうにしてたから」

「み……見たい……です」

「じゃあちょっと外に出てて?」

「う……うん」


 そのまま大慌てで出ていった。


「思春期だなぁ……」


 そんなわけで暗号みたいな『くろっぷど丈』の服とスカートを取り出してパパッと着替え、鏡で自分の姿を見つめる。


「ヒカリちゃん前世にいたら超モテただろうな」


 まぁそれが今の自分なんだけど、改めてルックスの良さを実感する。


 目はパッチリしてるし、鼻筋はちゃんと通ってて高いし、ちゃんと左右対称の顔してる。



「本当になぁ〜、前世でこの顔だったらなぁ〜」


 なんてバカみたいなことを呟き、鏡から視界を外して、外で待っているレオンを呼ぶ。


「どう?」


 ぴょんと後ろにジャンプして両手を広げる。


「か……可愛いけど、スティアたちが言ってたことも納得」


 入ったばかりのレオンは、頬を真っ赤に染めて視線を逸らしていた。


 思春期男子って、すげぇ面白い。

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