122話 振り返り
「それでは、昨日の社交界の反省会をしましょう!」
三人を招いたまま生徒会面々で反省会が始まる。
『居心地悪いようなら退出していいよ?』とは言ってくれたが、まぁ監禁未遂に巻き込まれた人がいるし、そのまま居座った方が都合がいい。
そんなわけで話し合いをしていたのだがーー
「監禁未遂……聞きたくなかった……」
一人の青年が顔を真っ青にして机にへばりつく。
「偶々閉じ込められた部屋にタロウって人がいたから出られたけど、いなかったらどうしようかと……」
「タロウ? 不思議な名前ね?」
「多分偽名です。『タロウとでも呼んでくれ』って言ってたので」
「学園で偽名? 不思議な人がいるものね?」
ユウ様は理解出来なさそうに首を傾げる。
「まぁそれはいいわ? ヒカリちゃん、心当たりはある?」
「全くないんですけど凄くあります」
「えっと……ん?」
不思議そうに首を傾げていた面々に、ざっと侯爵の話をする。
そして視界には眉間に皺を寄せたレオンの表情が入る。
もしかしたら心のどこかで『自分のせいで……』って思っているのかもしれない。
「新入生のルージーさんと、二年生のセイナさんね? 今はマークしか出来ないわね」
「しょうがないよ。悔しいけど、相手の測ったタイミングが最悪に上手だったって思うしかない。そもそも監禁未遂なんて、お姉様が入学して以来初めての事件だし」
ユウ様とユアン様も渋い顔をしている。
「って初めて?」
「初めてよ? 私は今十八歳の六年だけれど、一度たりともなかったわ」
「おぉぉぉ……」
ヒカリちゃん、これから先何度もやばい事件生み出すんじゃ……。
「大丈夫よ! ヒカリちゃんは私が守るから!」
「スーちゃん!」
ニヤリと可愛く笑うスーちゃんは、不思議と格好良く見えた。
「スティア、今僕がーー」
「相変わらず遅いわねレオン! そろそろヒカリちゃんの婚約者が私になっちゃうわよ!」
「ふふっ!」
もう見慣れた夫婦漫才のようなやり取りを笑い、少し元気を取り戻す。
「まぁ対策としては、社交界の外にも警備を置くくらいしか出来ないし、来年は生徒会だけじゃなくて、他の部活から協力の要請するのもありだと思うよ?」
「そうね? 生徒会だけじゃ人が足りないものね?」
一人の青年がざっと意見を述べ、そのまま受け取ってメモに書く。
「報告書は……ユアン、お願い出来る?」
「え、いつもレオンにやらせてたのに?」
「一年しっかり経験を積んだし、レオンにはヒカリちゃんを守って貰わないと! 婚約者候補はしっかり見るよの?」
「わかりましたお姉様」
「っ……!」
レオンが優しくも可愛い笑みを向け、思わずそっぽむいてしまった。
「あらヒカリちゃん照れちゃって、可愛い!」
「なっ!」
ユウ様に見られてた!?
「そうよ? ヒカリちゃんは可愛い赤ちゃんだからちゃんと守ってあげないとね!」
「スーちゃん! 同い年だよね!?」
同い年どころか前世含めたらかなり大人の筈では?
「ヒカリちゃんは妹っぽいわよね?」
「シャイナちゃん! 同い年だよ!?」
思い切り頬を膨らませてみるが、隣に座っていたユウ様に「えいっ!」とほっぺを突かれて萎んでしまった。
「この子……本当に可愛いわね……?」
「ユウ様!?」
若干目が輝いてるのがちょっと怖い。
なんというか『理想の女の子の特徴はネカマ』って言われる理由がよくわかってしまった。
いやネカマじゃなくて生まれ変わってからずっと女子なんだけどね?




