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121話 生徒会長


「ヒカリちゃんどこ行ってたの?」

「あ、待っててくれたの?」

「当たり前でしょ?」


 スーちゃんとシャイナちゃんはさっきと同じ場所で待っててくれており、少しぷくりとしている。


「ごめんね、昨日言ってたタロウさんに会いに行ってて」

「あら、レオン以外にヒカリちゃんを射止めた殿方がいるの?」

「そんなんじゃないよ!」


 シャイナちゃんがイタズラっぽくそんなことを言い出したので全力否定。


「それは良かったわ! ヒカリちゃんが婚約者候補から外れたらつまらないもの!」

「あはは……」

「ちょっとシャイナ! 私一人が相手じゃ不満なの!」


 最早蹴落としあいなんて微塵もない三人である。


 和気藹々としながら生徒会室のある五階に向かい、ノックをしてそのまま入る。


「あれ、三人とも!」


 中に入って早々レオンが僕らに声をかけて思わず立ち上がる。


「お邪魔しますわ? 三人でレオンを茶化しに来ました!」

「シャイナ勘弁してくれ!」

「ふふっ!」


 じゃれあいのような冗談を交わして、改めて室内を見回す。


 整頓された机と、清潔を保たれた家具や床。

 そして生徒会全員から集まる視線。


 なんか、居た堪れない。



「その人たちってレオン君の婚約者候補たち?」


 一人の青年が好奇心旺盛に声を上げる。


「そうですよ?」

「凄いね? 婚約者同士ってもっとギクシャクしてるのに、三人は仲良さそうで!」

「そうなんだよ。三人ともお互い尊重しあってて、僕がいつか切られちゃうんじゃないかってソワソワしてます」

「それは怖いね!」


 レオンはかなり生徒会に馴染んでいるようで、声を上げた青年と楽しそうに話している。



「あれあれ! 生徒会にお客さんなんて珍しいね?」


 更に奥から一人、女性の声が上がり、重たそうな資料を机に置いて三人に接近。


「そっか、今年度の新入生は公爵家から二人も来てるんだ! ってことは、こっちの子が噂の『ヒカリ・ウィンガート』さん?」

「あ、はい。初めまして『ヒカリ・ウィンガート』と申します」


 制服のスカートを摘んで礼を一つ。


「えぇ初めまして! 私のことは『ユウ』と呼んで頂戴! 一応生徒会長を務めているわ!」

「ユウさん、ですね? よろしくお願いします!」


 この学園の生徒会長って、責任感やばそう。



「スーちゃんとシャイナちゃんはお久しぶりね?」

「えぇ! 会いたかったわ!」

「お久しぶりでですね!」


 二人はこの女性を知っているようで、簡単に挨拶を済ませた。


「しかし、凄く可愛い子ね? ヒカリちゃんは本当に十二歳?」

「一応ちゃんと十二歳ですよ!」

「そうよね! ごめんなさいね!」


 優しく笑いながら何故か頭を撫でてくる。


「こ、この人誰?」

「え!? ヒカリちゃんユウ様のこと知らないの!?」


 スーちゃんは声を荒げて目を丸くする。


「ヒカリちゃんはやっぱりもう少し世間を知った方がいいわね?」


 シャイナちゃんも、声は荒げていないものの、少しお咎めっぽい口調で呟く。


「そうね、なら形式の挨拶をさせていただくわ?」


 ユウさんは背筋を伸ばして、模範的な淑女の礼を一つ。



「初めまして『ヒカリ・ウィンガート伯爵』様。私、ポーンロンド王国の第一王女『ユウ・オリスティナ』と申しますわ?」

「え……おう……ええぇぇ!?」


 第一王女様!?


「うふふ! 新鮮な反応で可愛いわ!」

「ちょっとお姉様! 僕の婚約者で遊ばないで!」

「しょうがないじゃない! ヒカリちゃんの反応が面白いからいけないのよ!」


 ユウ様は、固まった僕の反応を見て、満足そうに大笑いしていた。

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