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120話 秘密の関係になる場所


 結局『サッカー盤』はよくわからなかったけど、動きを制限されたサッカーって感じで、見てて面白かった。


「ありがとね三人とも!」


 そんなこんなでマネージャーに見送られてグラウンドを去る。


「ちょっと生徒会行ってみたいわね?」

「シャイナちゃん生徒会入りたいの?」


 まぁ生徒会やってそうなイメージはあるけど。


「違うちがう! みんなでレオンに会いに行かない?」

「おぉ! いいじゃん!」

「確かに……!」


 何の仕事をしているのかわからないが、前世と違ってお飾り生徒会とかではないだろう。


 そんなわけで三人で生徒会室に向かおうとする。


「あ……」

「ヒカリちゃん?」

「ちょっと、先行ってて!」

「え? え!?」


 二人を置いて少し駆け足で廊下を駆け、目的の部屋を探す。


「あった!」

(確か昨日閉じ込められた部屋はここだったはず)


 ドアを開き、タッタっと階段を下り、地下倉庫の扉をノックもせずに『バタン』と開く。


「うぉ! 誰だ!?」

「ふふっ!」


 まるで飛び起きたような声が聞こえ、思わずクスリと笑ってしまう。


「なんだお前かぁ」

「なんだとは何よ失礼ね! 折角可愛い女の子が会いにきたっていうのに!」


 頬をぷくりと膨らませて怒ってみる。


「はいはい来てくれてありがとさん」


 雑にあしらっているが、満更でもなさそうな表情だ。


「タロウさんはいつもここにいるの?」

「まぁな。ちょっと家じゃ居場所がなくて……」

「あ……ごめん……」


 いきなり地雷踏んだらしく、思わず謝罪の声が漏れる。


「いいよ全然。別に隠してもいないし悲観もしてない」


 しかし本当にどうでもいいのか、大きなあくびをしてソファから立ち上がる。



「んで、何しにきたんだこんな薄暗い地下室に」

「何って、顔を見にきただけよ?」

「…………それだけ?」

「えぇ」

「っ……そうか……」

「……?」

「俺もしかしてさそわれてる?」

「……最低なんだけど! もう帰るわ?」

「すまん冗談だ、大変申し訳ございません」


 破竹の勢いで土下座をする。


「あはは! どんだけ嫌われたくないのよ!」


 冗談っぽく『帰る』って言ったはずなのに、本気で謝罪してきた。


「俺の数少ない友達がまた一人消えていく……」

「はいはい許してあげるから土下座はやめて」

「くぅん」

「犬か!」


 馬鹿みたいなやり取りをしてようやく立ち上がる。



「んで、本当にどうしたんだ。何もなかったらわざわざこんな地下室に来ないだろ?」

「うーん、もう気が晴れたからいいんだけど、実はーー」


 なんとなく口が滑り、今日のクラスで『リョウ・ミドロ』という厄介な人が隣の席になったことを話す。


「大変だな?」

「そんな他人事みたいなーー」

「他人事じゃねぇよ! ただ現状どうしようもないからそう答えただけ」

「そっか、どうしようもないか」


 無視するのはシンプルに無理だし、仲良くなりたいとも思わない。


「まぁ席替えを待つしかないね?」

「そっかぁ、席替えかぁ……」

(まだ入学したばかりだから随分と先だなぁ……)


「ありがとう!」

「何もしてないけど、どういたしまして」

「ちょっとやめい!」


 そう言ってタロウは僕の頭をワシワシと撫で出した。


「すまんな、可愛かった頃の妹を思い出して」

「妹いるんだね? っていうか撫でるならレオンみたいに優しく撫でてよね?」

「それは第三王子様に譲るわ。ほらほらもう行った! とっととレオン様といちゃついてこい!」

「はーい! またね!」

「またな」


 軽快に手を振って地下室を駆け上がり、僕は急いで生徒会室に向かった。





 ヒカリさんが去った後、俺はなんとも言えない充実感に浸っていた。


「またね……か」


 また来てくれる、また会える事実がくすぐったく感じる。


 別にクラスで孤立しているわけでもないし、友人は少ないけどちゃんといる、楽しいとも感じる。


 だけど、まだ出会って二日の彼女と話す感覚は、友人のそれとは違うように感じる。


「俺一目惚れなんてするちょろい男だったっけ……」


 婚約者はいないから、多少軽薄でもとやかく言われたりはしないけど、自分で自分の軽さが少し嫌な感じだ。


「……まぁ可愛いもんな」


『顔が可愛いから惚れたように感じているだけ』そう結論づけて俺は再びソファに寝転ぶ。


「婚約者候補……か……」


 もし俺が王子に転生してたら……もしかしたらヒカリさんを……。

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